それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
中庭、木の影に置かれ心地よい風を提供してくれるベンチに彼女【95式自動歩槍】は座りゆったりとしていた、特に何をするわけでもなく座りゆったりと
そしてそれを少し遠巻きに眺めるのが指揮官とM1895、別段彼女が何しようが自由なので構わないのだがこと、彼女に関してはああなってる原因に心あたりがあるので心配になっているのだ、主に指揮官が
「……やっぱり、97式が居ないのがショック、と言うか寂しいのかな」
「いやぁ、多分それはないと思うのじゃが、一応こっちからも要望は出しているが良い答えはまだ返ってこんがな」
97式、正式名称【97式自動歩槍】95式の妹であり来た当初も彼女は居るかと聞いてきたほどに妹思いの95式、ならば今の現状はやはり辛いものがあるのだろうと指揮官は考えていた。
だがこればっかりはこの基地ではどうしようもなく、上手く要望が通るのを祈るくらいしか出来ない、それに業務や作戦行動中は十分に戦果を上げるほどの実力を奮ってくれるので何かしら問題が出てるわけではない、ないが
「どうにか、してあげれないかなぁ」
「そうは言ってものう、それに本当にそれが原因でああやっておるのか?」
「い、いや、直接聞いたわけじゃないけど、業務後とか休日とかああやって何処かでぼーっとしてることが多いから、そうなのかなって」
それを聞き改めてM1895は95式を観察する、確かに彼女が他の誰かと話していたり絡んでいる所をあまり見たことはないが、どうにも97式が居ないが原因には思えないのだ。
スチェッキンが前に話していたことだが97式が居ない基地があったらしいがそこの彼女は何も問題なく過ごしていたらしい、つまり
(97式が居ない、が直接な理由にはならない。だとすればどうして?)
「もしかして、メンタルモデルに何か、いや、でもヴァニラさんは何も問題ないって定期診断で言ってるし」
二人が真剣に様々な憶測を浮かべ難しい顔で頭を悩ます、指揮官は勿論なのだが副官であるM1895も何だかんだ言ってこの基地の仲間たちは大切に思っており何かしら問題が出ているのならば解決のために助力、又は自身で動いたりする出来た副官である。
結構二人は深刻に考えているこの問題だが、当の本人95式は勿論だがそういった理由でぼーっとしてるわけではない、確かに彼女の中では居ないと知り少々寂しい感情はあっただろうがそれだけ、ここは何だかんだ賑やかであり皆がよく話しかけたりしてくれるので本人はものすごく気に入っている基地である、ではなぜぼーっとしているのか、それは単純に
「……すー」
彼女、オフになった瞬間に妹である97式が居なければぽやぽやした性格にスイッチが切り替わるからだ、寧ろオンの時の彼女は張り切っている状態でありこっちがこの基地の彼女の本来の正確なのではという話まである。
基本的に穏やか、のんびり屋でマイペースでぽやぽやしてて、P7のような戦術人形と遊んでれば最初は振り回されていたのが気付けば振り回し、最後にはみんな仲良く寝ていたり、なので問題があるわけではなくただこういう性格だという話。
しかしそれを知らない二人はむーんと唸っていると一匹の鳥が95式の肩に止まった、鳥が止まる、つまりそれほど深く眠っているのだろう。
「ねぇ、おばあちゃん。もしかして95式寝てる?」
「む、どうしてそうおm、鳥が止まっておる」
その事に気づいたのは指揮官、それをM1895に伝えれば驚いた顔になる。その間にも鳥は更に止まる、一羽が二羽に、三羽にと着々と数を増やしていく、流石にそれを見れば指揮官はもしかしてと呟き
「考えすぎてた?」
「らしいな、まぁ良かったのじゃ、うむ」
にしてもあそこまで微動だにせずに寝れるのかと感心するM1895に釣られ嬉しそうに頷く指揮官、同時に安堵の息も吐いたので相当心配していたらしいことがわかる。
とりあえず気持ち良さそうに寝てるからそっとしておこうかと二人はその場から去る、後に残るのは未だ微動だにせずに眠る95式と気付けば両肩に合わせ10羽の小鳥、一部は羽根を整えたりしているのも居るので相当リラックスしていると思われる。
二人が去って日が暮れ始めた時間、今日の夕食は何かなっとスキップを挟みながら中庭に現れた指揮官が見たもの、それは
(まだ寝てる!!??)
「すー」
最後に見てからそれなりに時間が経っているはずだと言うのに体制を一切変えずに寝ている95式の姿、しかも彼女の周りには猫犬、鳥が集まりなんだか凄いことになっていた。
流石に起こすべきだろうか、いやしかしと悩む指揮官、そこでふと白いまん丸を見つけ眼に輝きが灯された、白いまん丸、この基地の不思議生物と言われる猫、大福だ、しかも無防備もいい体勢で眠っていた。
普段起きてる状態の大福を触れた試しがない彼女は此処ぞとばかりにソロリソロリと出来る限り足音を殺して接近を試みる、着実に縮まる距離、思わず笑顔になる顔を抑えあと一歩で触れれる距離になった時、気怠げに顔を上げた大福と目が合った。
「……触らせて」
「にゃ」
思わず大福に話しかけてしまう指揮官、だが無情にも大福は一つ短く鳴いてから起き上がり行動を起こそうとした時、彼女は踏み込んだ、一か八かの突撃
だったのだがそんな物が大福に通用するわけもなく、ピョンと飛び突っ込んで来る彼女の頭を踏み台にして逃亡、しかも器用にも彼女に一切の衝撃も何も与えずの行動に痛くもない頭を擦りながら
「大福って、凄い猫だね、うん、絶対に抱きかかえてやる」
「ん、あ、指揮官ってあれ、今何時ですか?」
「えっと、もうそろそろ夕食の時間かな」
95式が目覚めるのと同時に動物が一気に散らばる、どうやら割りと本気で置物と思っていたらしい、特に一部の猫は飛び上がって驚いていた、それを機にする様子を見せつつ彼女は思った以上に眠っていたことに驚き、それを見て笑う指揮官。
最後に、その日の夕食は彼女のお手製の中華料理であり、指揮官は大満足だったと書いて今日は終わろう。
ぽやぽやお姉さんって好きなんですよねって話、因みにリアル司令部で彼女を迎えたら三人に増えた、いや、妹連れてきて……
低体温症やろうやろう思って結局、お空のACしてたりしました、のんびり頑張らないとね、うん