それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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黒くてぶっとい物を食べる指揮官達の図


美味しくいただきます

2月3日、その日、一〇〇式はと言えば食堂の調理場にて割烹着姿にてフンスと鼻を鳴らし気合十分と言った感じで居た。

 

彼女が張り切る理由、それは今日が日本にあった節分と言う日だからである、本来であれば豆撒きから始めたいところだったのだがそもそもにして巻くほどの豆、大豆がそう簡単に、更に安価で手に入るわけでもなく別のもう一つの料理の材料を揃えたら資金が微妙になってしまったので中止となっている、尚、一〇〇式本人はものすごく残念そうであると追記しておこう。

 

だがそこで落ち込むだけじゃないのが彼女、豆撒きが出来ないと言うならばもう一つの行事でこの基地に福を呼ぶんだと用意したのは海苔、白米、かんぴょうに卵等などetc、そう恵方巻きと呼ばれるものの材料だ、因みにお値段を聞くと一〇〇式の目が曇る、一応スチェッキンやカリーナを利用して安く抑えては見たがそれでも曇る程度には高かった模様。

 

そして、何もこれは彼女だけが用意したのではない、同じく割烹着姿の人形が居る、64式自と62式の二人だ。

 

「気合入ってるね、一〇〇式」

 

「まぁ、こうい日本由来の行事は指揮官が凄くいい食い付き見せますからね」

 

「はい!それに今年に入ってから何か指揮官にも副官にも色々起きすぎてますから再度、福を呼び込めるタイミングには呼び込まないといけません!」

 

フンス!とこの娘、こういうキャラだったかなぁと思いつつ気合い入りすぎて恵方巻きが崩れかねない彼女をサポートしようと心に決める64式自、だが甘い、彼女が見張るべき存在は62式もだった

 

彼女は彼女で、こういうのはこう感覚で行けるでしょという人形で、こっちも巻き始めたら間違いなく崩れそうでありその巻き方を見た瞬間

 

「二人共、手順通り、丁寧に作りますよ!」

 

ワイワイガヤガヤと調理場が賑わい、自然と食堂の人形たちの視線がそっちに向かえば日本組の何とも和気藹々なやり取りに思わず笑顔になる、その中には最早コンビでは?となっているFive-seveNとヴァニラ、そして巻き込まれたFMG-9

 

「……気合い入りまくりでから回る一〇〇式(長女)……」

 

静かに語り始めるヴァニラ、突然なんだこいつという視線を送るFMG-9だが隣のFive-seveNはそれに続くように

 

「何事も感覚でやって失敗するがそれでもメゲない62式(次女)

 

「そんな姉二人に振り回されるしっかり者の64式自(三女)、この場合は彼女が周りからは姉に見られる現象が起きるわね」

 

それだけ語り二人は頷きあう、何だコイツラと遠い目になるFMG-9、ていうかそもそも何でこの二人は此処に居るんだと思っていると指揮官が食堂に現れた、どうやら一〇〇式達に呼ばれていたらしくそのまま調理場に顔を出せば

 

「あ、いらっしゃいませ指揮官、もうすぐ完成するのでお待ち下さい!」

 

「恵方巻き?だっけ、それってやっぱり特別な日に食べるものなの?」

 

「そうですね、恵方巻きは具材を七種、これは七福神と呼ばれるものをイメージしておりそれを食べることでその恩恵を受ける、まぁ諸説様々ありますが大体こんな認識でいいと思いますよ」

 

「へ~」

 

と恵方巻きを見れば結構太さを感じた、更に付け足しで解説された事は恵方に向かって願い事を考えながら丸かじりし一言も発さずに一気に食べきると良いということ、日本って面白いこと考えるなぁと能天気なことを思う指揮官の後ろ、それを聞いていたFMG-9は気付いた。

 

「あ、あんたらまさか……」

 

「指揮官が黒くて長い太いものを咥えると聞いたから」

 

「い、いや、私は違うわよ?」

 

「何の説得力も無いことに気付けよ変態、あと57は少しは隠す努力をしろよお前……」

 

ああもうコイツラと頭を抱えるFMG-9、その仕草に良かったまだ常識人は居たんだと人知れずとあるHG娘が涙したのは余談だ、とにかく現在食堂には少し邪な者や、指揮官と同じく恵方巻きを食べてみたいという者、ただ単に見に来たものと気付けばそれなりの数がこの場に居た。

 

指揮官が来て数分後、調理場から三人が出来たから食べる人は受け取って下さいとアナウンスが入り、指揮官は勿論、食べるために来た人形たちと偶々お腹が空いたのでやってきたカリーナも混ざり、全員が貰った所で

 

「えっと……方角どうなってるんだ?」

 

「確か東北東、だっけ?」

 

「そうですね、この位置です!」

 

一〇〇式の案内で恵方巻きを受け取った全員がそっちを向く、そのタイミングで目の色が変わるFive-seveNとヴァニラ、人知れず沈められたピンク髪、やりきった顔のM4とSOPに詰まらすなよ~と声を掛けるM16、それから

 

「うお、何じゃこの光景……」

 

「恐らくは恵方巻きを食べるためかと、あ、お嬢様も居ますね」

 

「あれ、咥えるのですか?」

 

PPKの心配を他所にではいただきますと一〇〇式の号令でそれぞれが齧り付いてモグモグと食べ始める、やはりと言うべきかそれなりに太い恵方巻きに悪戦苦闘する光景が広がり、そうとなれば指揮官も辛いのではと(一部の期待したものも混ざる)視線が彼女に向けば、そこにあったのは

 

(ガッガッガッ、グググググ)

 

「いや~、美味しそうに恵方巻きが消えていきますね……」

 

「ホントね、何か私達が求めてたのとは何かが違うけど、うん、私達が悪いわねこれ」

 

流石にいつものにこやかな笑みを浮かべる余裕はないのか少し苦戦気味の表情、なのだが恵方巻きは確実に、それもアストラとFNCと並ぶ勢いで飲み込んでいく指揮官の姿にヴァニラは感心しFive-seveNは自分の中の何かが洗浄されていくのを感じていた。

 

「(モグモグモグモグ)っん、ぷは~、美味しかった~」

 

「呵々、良い食べっぷりじゃったの、何を願ったのじゃ?」

 

「……あ」

 

「忘れてたのですねお嬢様」

 

「ふふっ、指揮官らしいですけどね」

 

その一連のやり取りで笑いが溢れるが恐らく彼女が願ったのはきっとこんなことなのだろうと誰もが思ったとさ、因みに言い出しっぺ一〇〇式達はと言うと

 

「んっ、ぐっ」

 

「ほれ、もう少しだ64式自、見ろ、一〇〇式は既に終えて、あ、いや違うなあれ」

 

「自分の分の数入れるの忘れてました」

 

「ぶっふぉ!?」

 

割りと大惨事になっていたらしい。




恵方巻きでエロ?指揮官に?無理でしょ(曇りなき瞳)

指揮官に物を食べさせる時は、幸せで、救われてなきゃイケないんだよ……

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