それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
趣味というものは一つの空間の中だとよく伝染することがあると思う、例えば416のボトルシップ制作、初めは彼女だけだったそれは今ではM38から始まり一つのグループのようなものが出来上がるほどになっていた、集まるということはほぼしないが制作に行き詰まったりこれどうすればと言う状況だったりで相談すればやり取りが行われるほどにはなっている。
こうしてこの基地では趣味は一人に一つではなく、多趣味な人形が増えているのだがそこは今回の話には関係ないので割愛、場面移してここは射撃場、なのだが集まっている彼女たちが撃っているのは銃ではなく……
パシュ……ドスッ!
「嘘、ミリでズレましたの?」
「あらあら、調子が悪いのかしらSIG510?」
「なっ、た、偶々ですわ!ま、SKSにはこのミリズレでも勝てますでしょうけど」
「へー、このエリートたる私にそんな自信を向けるんだ、ふーん」
【SIG-510】の挑発に【SKS】が答え準備に入る、定位置まで行き、手に持った弓、その中でも滑車を用いたコンパウンドボウと呼ばれるものに矢をつがえ集中、狙いを定めて、放つ
彼女たちが行っているのはアーチェリー、元々はSIG-510が倉庫から引っ張り出されたそれを手入れし、何となしに射ち出したのが始まり、それから主にスナイパー組が集中力を鍛えるのに丁度いいかもなと続々と参加者が増えている。
そして先程、SKSが放った矢は一直線に的に飛んでいき、SIG-510の当てた位置から更に数ミリ外にズレた場所に刺さりモニターで確認してたSIG-510が思わずグッとガッツポーズする。対してSKSは認められないという表情で
「え、嘘でしょ」
「ふふふ、私の勝ちですわね~」
「は~、今のは練習ですし?そもそも本気じゃない私に勝って嬉しいとかちょっとプライド低いんじゃないの?」
「あら~?負けたのに吠えるなんて無様ですわね~」
「お前らなんで煽り合ってるんだ……次、私が行くぞ」
そう言って現れたのはダネルNTW-20、いがみ合うSKSからコンパウンドボウを受け取り、同じように定位置まで向かって集中、因みにだがこの基地の倉庫でも弓はこのコンパウンドボウ一つしか出てこなかった、どうやら前任者はそこまでアーチェリーには興味がなかったようだ。
ダネルの目が任務中のそれに変わる、その瞬間、彼女には己の息遣い以外の音が消え、視界には的しか映らなくなるがこれではいけないと視野を広げる、これは訓練だと言い聞かせ再度、集中を掛ける。
(任務中、戦闘中は周りに味方が居たとしても絶対安全ではない、自分でも周りに注意し動けるようにならなければ……)
対物ライフルたる彼女がそれを行うのはかなり状況が不味いときではと?という内容のシチュエーションで己は今戦場にいると言い聞かせ、その体で弦を引き絞り、電脳に浮かぶターゲットが来た瞬間
ヒュッと小さな風切り音、そしてドスッと的に当たり、ダネルがモニターで見ればそこにはキレイに的のど真ん中に突き刺さる己の矢、だが喜びもなにもない、何故なら当然だからだ、一射一撃、それが対物ライフルの基本であり例え得物が変わろうがそれが出来なければならないと考えているからだ。
だがそれは観戦してた後ろ二人には関係ないとばかりに
「うわ、一発、ああ~、ダネルに勝てる日は来るのかしらこれ……」
「何で諦めてますの?良いこと、見ていなさいこの私が直ぐにど真ん中を貫いてみせますわ!」
「……それは良いが先に矢を回収しないともう無いからな?」
「あら、ほらSKS、行ってきなさいな、現状は貴女が一番中心から外れてたのですから」
「はぁ?あれで勝負アリとか何それ卑怯でしょ!しかも五本中なら私のほうが中心多いんですけど!?」
お前ら本当になと静かにダネルが呟けばSIG-510を恨めしそうに睨みつつSKSは矢の回収に向かう、その間にまた一人参加者が増えた、G11と似た雰囲気を醸し出し何となく髪も似たり寄ったりな【ゲパードM1】彼女も機会は多くないがこうやって訓練に顔をだす時があり今日がその日だったらしい。
「あれ、先客がこんなに……一発、いい?」
「ええ、よろしいですわよ、SKS、早く回収なさって?」
「好き勝手言わないで!ほら、回収してきたよってゲパードじゃん、射つの?」
一回だけと短く答えてから、ゆったりとした動きで定位置に向かい、ダネルたちとは違う独特な空気を醸し出しつつ、集中もそこそこに放たれた矢だが寸分違わずど真ん中に突き刺さる、が本人な何かが不満だったのかうーん?と唸っていた。
「どうした、そこまで悪い内容じゃなかっただろう」
「いや、まだちょっと狙うのが遅いかなって……」
「ふむ、あまりそうは見えなかったが」
何やらよく分からないが凄いことを語りだす二人にSKSとSIG-510はいきなり置いていかれた感覚になる、実際そうなのだが。
そんな二人は他所に、ダネルとゲパードの会話は更に盛り上がる、ゲパード的にはもうあと数秒縮めたいと言うのだがダネルは一発を確実に当てるならばもう少し狙ってもよいのではと返せば
「それじゃ、逃がすかもしれない、そうすると面倒」
「分からなくはないが、だからといって素早く撃てばいいという話ではないだろう」
「あ~、状況によりけりってやつじゃない?ゲパードが言うような狙い方をする場面もあれば、余裕があるならダネルの狙い方みたいな、それじゃダメなの?」
急激に二人の間の空気が悪くなり始めたのを感じ思わずSKSが口を挟めば、目を丸くする二人、これにはSKSもSIG-510も同じことを思わざるおえなかった。
この二人って自分のやり方に絶大な自信持ってるからなぁと、ようは自分が一番当てやすいと自負してる節があるという話である。
こうして何とか場を収め、何故かやる気になったゲパードを含めた四人はその後もアーチェリーに精を出すのであった、がSKSとSIG-510の戦いは続いていたらしく、結果は
「それで、誰がエリートって話でしたか?」
「あああああああ!!!何故よ、何でミリで負けるのぉぉぉぉぉ!!!」
「五月蝿い」
SKS、エリートを自称するほどの腕前は確かにあるのだが、此処ぞという勝負事になると妙な負け癖が出やすい少女、今日もわりと元気である。
SKSとSIG-510のコンビが妙に書きやすかったぞ、何でだ
あと完全平和世界線の喫茶店のレイラ一家が尊すぎて浄化されそう、した