それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
今回は『いろいろ』様の作品『喫茶 鉄血』とコラボぞよ!!くっそ平和な世界線で代理人がマスターをしている喫茶店の話だから心が本当に安らぐからぜひ向こうも読もう!!読め!!(豹変
休日の昼下がり、昼食も終え指揮官はと言うと珍しく自室に居た、と言うのも少しだけ眠気が襲ってきたからだ、お腹が一杯になったからかなと本人は思うがそれにしては急だなぁと思いつつベッドに腰掛ける。
「おぉ?あ、そう言えば今日干してたっけ?フワフワ……うん、少しだけ、少しだけ休憩するだけだから」
そう自分に言い訳しつつ横になれば、数秒としない内に気持ちよさそうな寝息が彼女から聴こえる、ここの彼女はこれで深い眠りに着いた。
場面が変わる、ここは『本来起きるはずだった事柄全てが起こらず平和に時が流れた』世界、そのS09地区のとある街、そこのメインストリートから外れ、隠れ家のように佇む一軒の喫茶店、名前は『喫茶 鉄血』店名の通り、この喫茶店の店員はマスター含み鉄血のみ、だがこの街では有名であり受け入れられている。
その喫茶店のマスター【代理人】の朝は非常に早い、開店まだ数時間前には起き、何時ものように開店準備を始めるのだがその日だけは違った、と言うのも彼女が窓から何気なく外に目を移した時、視界にグリフィンの制服に身を包んだ『見た目』少女が目に写ったからである、それだけならばスルーした、だが公園のベンチで体育座りをし絶望に似た雰囲気を窓越しでも感じられればそうも行かなくなる。
(……はぁ)
基本、良い人(この場合は人形であるが)の代理人は小さくため息をついてから喫茶店を出て公園の少女へと向かえば、声というか涙声のつぶやきが聴こえ、だがその声に代理人は驚くことになる。
「グスッ……気付いたら知らない街……みんな居ない……お腹空いた……ここどこぉ」
聞いたことがあった、それもつい最近、だからこそありえないと思ってしまう、なぜならこの声の主は
「ユノ、さん?」
「ふえっ?」
向けられた顔は髪の色こそ違うもののやはりあの時の少女だった、あの母親と幸せそうに居たはずの彼女がなぜグリフィンの制服を着て何故一人で此処に居るのか、いや、それ以上に代理人には衝撃的だったのは
(目が、義眼?それも鉄血のものらしいですが、こんな物知りません……一体、彼女は)
「鉄血……?(この靄の大きさ、ハイエンドモデル!?あ、でももうどうでもいい)助けて……下さい」
はっきり言えばもう彼女に余裕は存在しなかった、縋るようなその言葉を聞いた代理人はそっと手を差し伸べ、喫茶店に案内するのであった。
これは本来、交わることはないはずの世界線が何らかの原因で交わってしまった物語、夢のようなほんの一時のお話である。
店内、とりあえずカウンター席に座らせココアを出した代理人とそれを受け取り飲んで心を落ち着かせる指揮官、それから簡単に互いに自己紹介をして、どうして公園でという話もしていれば代理人と指揮官のは一つの推測が浮かんだ。
(第三次世界大戦、蝶事件、
(何も起きてなくて、私がお母さんと……うぅん、もしかしてノエルさんたちみたいな事が私に起きたってことかな)
どちらも常識外のことに慣れすぎている感じはある、ともかくその御蔭で彼女たちは自然と打ち解け、開店までにはどうにかするという条件で店内にいることになり準備を進める傍らで指揮官は
「でもそうか、この世界の私はおばあちゃんとお母さん、二人と一緒に過ごしてるんだ、あれ?G36とPPKは居なかった?」
「見てませんね、Vectorは居ましたが」
「Vector?あれ、じゃあ、おばあちゃんの話の途中までは起きてたのかな、でもそうか、きっとすごく幸せなんだろうな」
嬉しそうに、だが寂しそうに呟く指揮官、それを聞き代理人は一旦手を止め、ココアのおかわりを聞きつつ
「ユノさんは、今はどうなのですか?どうぞ、ココアのおかわりです」
「ありがと、幸せだよ、正直言っちゃえばお母さんの記憶はないから基地の皆が家族だから」
掘れば掘るほど黒くなる指揮官の話、だが代理人は無表情で分かりにくいがきちんと受け止め、それでいて言葉を選びつつ彼女の話を聞いてくれるのでついつい話してしまう指揮官、気付けばそろそろ開店の時間という所まで近づいた頃、ふと突如指揮官が扉の方を向いた。
「如何なされましたか?」
「え、今、音が聴こえなかった?」
音?言われ耳を傾けるが何も聴こえない、強いて言うならば何時もと変わらない街の喧騒だろうか、それを伝えればあれという顔で彼女も再度耳をすませば
「私にだけ?もしかして……」
「時間、ですかね」
「うん、そうだと思う、短いけど楽しかったよ代理人さん」
「いえ、私も楽しませてもらいましたよ、またのご来店、お待ちしております」
ニコリと笑う指揮官に代理人は深くお辞儀を返す、それからガサガサと何かを漁る音、暫くしてそれが聞こえなくなり顔を上げればそこのは誰も居なかった。
まるで始めから存在しなかったように、扉も開く音がしなかったので本当に側から消えてしまったのだろう、夢や幻のような存在だった彼女、だが確実に居たと言える証拠があった、それはカウンターに置かれた飲み切られたカップと
「これはこの世界では使えませんよ、ユノさん」
恐らくこれくらいなら足りるだろうとカップの側に置かれていたのはこの世界中を探し回っても恐らく存在しないだろう柄のコイン、代理人はそれを手に持ち、少し眺めてからそっとポケットに仕舞う。
そしてこの喫茶店は思い出したかのように他の従業員が現れ、開店すれば利用客で賑やかになりだす、今日もこの喫茶店は人形と人が笑い合う賑やかな一日を過ごすだろう。
一方、指揮官はというと目が覚めボンヤリする思考のまま起き上がっていた、キチンと覚えていないがなにか凄く暖かい夢を見ていた気がすると、だけどなんだかこれは誰かに、夢に出てきたその人物に届くように言わなければと宙を向いて
「わたしは、わたしの居場所でよろしくやっていきます。辛いことも、悲しいこともあるけど幸せ一杯のこの場所で」
ニコリと一つ笑ってから立ち上がり部屋を出る、がどうやら寝すぎたようで副官のM1895がとてもいい笑顔で部屋の前に立っていた、彼女の午後は説教から始まったのは言うまでもないだろう。
初コラボなのにSessionで分けなかったんですか?言われそう、ごめんなさい……あくまで夢の時間のお話って感じで書こうとして、うわぁ、相変わらず酷いっすねこいつ(自虐)
コラボ許可いただいたのにこの体たらく本当に申し訳ございませんでした!!!