それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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割と何でもやる


警備部門の仕事

この基地、一応警備部門は存在したりする、主な仕事は当然ながら基地の警備、だが他の人形もローテーションを組んで夜間警備に協力していたりするのでこの部門が専門で動くのは昼間が主であり、更に言えば別段此処は警備が専門という組織ではない。

 

「では定例会議を始めたいと思います」

 

「って言っても基地内では何も起きてないよね~」

 

「そう言いながらお菓子食べ始めないで下さいバイキング!」

 

纏まらないな~と呟くは警備部門のまとめ役【MP40】他に居るのはやる時はしっかりやるがそれ以外は少々いい加減な【MP-446】小さな体でも意外と力はある【Gr MP5】今しがたドアを開き書類の束を持って現れたのは代表の【Fr FAMAS】彼女はそんな空気の警備室を見て

 

「皆さん、いくら此処が平和な基地だとしても気を緩ませ過ぎではないでしょうか?」

 

「緩めてるのはバイキングぐらいですけどね、とりあえず全員揃いましたね、いや、正確には全員ではないですが」

 

MP40の言葉とおり、本来であればまだ人員は居るのだが中々揃うということは難しいということで定例会議では大体この四人で行われることが多い、これで大丈夫なのかと言われそうだが後で議事録なりで他のメンバーにも分かるので問題はない、そして他の面々は何をしているのかと言えば

 

「P08は92式の手伝いに駆り出され、ステアーとP7は相変わらず、PP-2000はどうしました?」

 

「彼女なら今、買い物(情報収集)に行きました~」

 

「態々このタイミングじゃなくてもいいでしょうに……P38は、いえ、彼女は聞くだけあれですね」

 

農業エリアと題された一角、よいしょ!と鍬で耕していたアイドル人形がくしゃみする音が聴こえた気がした。

 

とにかく、それぞれが警備以外にも手伝いやらで駆り出されることが多いので定例会議でも集まらないことがよくあるという話であり、それを理解しているから四人は気を取り直しFAMASがそれぞれに書類を配る。

 

「じゃあ、これに目を通して下さい、今月のお客様の数です」

 

「毎度のことながら少ないね~」

 

「と言うより『殆ど』が搬入だったりですねやっぱり」

 

「まぁそこは仕方ないですよ、指揮官さまも積極的に外部とやり取りするわけではないですから」

 

他の基地よりも恐らくは少ないその外部からの人間のリスト、しかも殆どはスチェッキンが見定め信頼できる搬入業者なので絶対ではないが少人数の警備を付ける程度で済んでいる。

 

その話題はそこで終わり、次のページを開く、そこには同じく何かのリストなのだろうがこちらは先程と違い少々数字が大きい、ではこれが何の数字かと言えば

 

「で、こっちがアポなしの方々です、殆どがP7のイタズラ(デストラ)に引っ掛かって帰ってもらってますけど」

 

「こっちは、増えてますね……一時期は少なくなってたのに」

 

「恐らくは副官が倒れた際の事が流れたかと、あの廃工場には地下施設があったことも知らなかったようでそこから引き抜いた情報が欲しかったのでしょうね」

 

この会話から分かるように、この警備部門、設立当初は本当にそれだけだったのだが最近になりこの基地の暗部と繋がりを持った、流石に深い所までは情報漏えい対策で知らされてはいないがそういうお客が来ることは彼女たちの耳にも入っている。

 

その御蔭で侵入者はあらゆる裏口も潰され、残されているのはP7のイタズラエリア、これを抜けれるような存在は早々居ないし、よしんば抜けたとしても作動したという事実で既に入り口には待ち伏せが完成され排除、こうやってこの基地の平和は保たれていたりする。

 

が勿論、この警備部門はこれだけではない、続いてページを捲ればそこに書いてあったのは依頼にも似た文面の数々、基地内部からは当たり前、中には近くの街や他基地から流されてきた依頼も含まれている。

 

「……多くない?」

 

「何も今この場に居る者で全てやるという話じゃないんですから、それに大体がやれたらって話ですし」

 

「警備部門って何でしたっけ」

 

「だってこうでもしないと暇ですよ」

 

いや、そうですけどねと苦笑を浮かべるMP5、しかも外部からはきちんと報酬が出る、この辺りはスチェッキンが上手く話を折り合い付けたらしく本部からのお咎めはない、そしてそれを聞いた警備部門の面々は彼女は一体どこに向かっているんだろうかと思ったとか、余談だがその時、車の整備中だったアイドル人形がくしゃみしてたらしい。

 

依頼は主に基地内からはこの日にこれやるから人手が欲しいが大半で、外部からはこの日の警邏、または街の住民から困ったことがあるからという内容と多岐に渡る、その中で自分達に解決できそうなものを選び遂行する、警備部門だけでは難しそうならば基地の出来る人形にも手伝ってもらい遂行する、そんな流れが出来上がっている。

 

「この日とこの日の警邏は私とMP40が行きますね」

 

「あ、P38にライブして欲しいって来てるよ」

 

MP-446の言葉に一瞬場が固まり、それから思い出したかのようにああっと声が漏れる、彼女にライブをしてくれと話が来るのは久し振りだったので全員がそういやアイドルでしたねと思い出すのに時間がかかった。

 

「久し振りじゃないですか、ライブの依頼は」

 

「だね、これは後で伝えておくよ」

 

「絶対に歓喜する姿が嫌でも想像できますね……」

 

こうして誰がどれを担当するかは決められていき定例会議は無事に終わりを告げた、その頃、ふぅと顔に付いた土をを拭った話題のアイドル人形が輝かしい笑顔で空を見上げてからもうひと頑張りです!と様になりすぎてるフォームでまた畑を耕していた。

 

がMP-446がその事を知らせに行くと『一瞬固まった』後、先程のとは違う笑顔で鍬を丁寧に置いてからバッと両手を上げて

 

「本当ですか!?やったー!ゲリラじゃないライブだ、何か凄い久し振りですけどやったー!!!」

 

「じゃあ、宜しくね、あ、なにか用意して欲しいものがあったら言ってね~」

 

「はい、あっと、こうしちゃいられない、農作業を終わらせてダンスの練習を更に濃密にしなきゃ」

 

最後に、ライブは大盛況であり何故か彼女のグッズを販売していいかと言う問い合わせが基地に来て指揮官は笑い、副官は困惑していた。




戦術人形ってなんだよ(哲学)P38が街のアイドルになってるしそろそろ銃より鍬が馴染むとか言い出しそうだけど、まま、えあろ!

グッズは街の雑貨屋とかスチェッキンの移動式屋台で売られてるらしいっすよ(タペストリーとかキーホルダーとかタオルとか)

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