それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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こいつ何時も動物に囲まれて油断晒してんな


わーちゃんの一日

WA2000、彼女がこの基地に配属されたのは初期も初期、まだ最初から許可されている3部隊、カリーナが言うには今ではもう帰りたくないブラックデータベース時代と言われる頃に彼女は本部からこの基地へと来たのだが指揮官を見て放った第一声は

 

「いよいよ、人手不足も深刻ね」

 

それはまぁ当然と言えるだろう、何も事情を知らない者からすればそこに居たのは未成年の少女、しかも特別に軍に携わってますというわけではなくとりあえず詰め込まれただけの軍事知識しかない少女となればWA2000が落胆にも似た声を上げたのも無理はないだろう、とにかく彼女が持ったこの基地の第一印象は直ぐに別に基地に配属になりそうだった。

 

が、そう言われた彼女たちは特に動じず、寧ろM1895に至っては

 

「呵々、いくら人手不足言えど幼子に基地を任すほど落ちぶれてはおらぬ、だがなコヤツは特殊でな」

 

「特殊?」

 

そこから聞いた指揮官の事情にWA2000はとりあえずこの頼りない指揮官を自分がどうにかしようと決意する、流石にあんな儚げな表情で家族はこの基地の皆だけとか言われると強く出れないどころかやるだけやりますよもう!となるのはWA2000らしい所だろう。

 

「いい、指揮官の目は私達からしても便利だわ、だけどそればかりに頼ってはダメよ、状況を見て即座に戦術を組み立てられる頭も必要、分かった?」

 

「うん!」

 

特に当初は力を入れていたのは戦術部分、ヘリアンから教わったとは言えそれはあくまで卓上の話、実戦は全くと行っていいほど経験がなかった彼女に厳しい言葉ながらも的確に指摘し彼女に考えさせ、それに対してアドバイスを送る、そうして彼女は順調に戦術という物を覚えていき、今では安心して指示を聞けるくらいには成長したと言えばWA2000が施した教育が素晴らしかったと言えるだろう。

 

気付けばWA2000にとって指揮官は手のかかる妹という存在になっていた、最近は基地も賑やかになり彼女が笑顔の時間も大幅に増え、PPKという特別も出来たことでWA2000は自身から手が少し離れたことに寂しさも覚えつつもそんな彼女を眺めることを楽しんでいた。

 

今日もカフェにてそれを眺めているとコーヒーを出しながらスプリングフィールドが

 

「お疲れ様です、WA」

 

「何よ突然」

 

「知らないとでも?指揮官宛に来る手紙の中でも彼女が読めば辛くなるようなものは率先して処分してるってこと」

 

スプリングフィールドの言葉に、特に反応せずにコーヒーを飲みつつWA2000は目を細めつつ、それを思い出す、がその一瞬だけでも思わず舌打ちが出そうになってしまう、彼女がそれを請け負うようになったのは配属され戦果も上げ始めた頃、偶々カリーナが苦い顔をしていたのを見つけ声を掛けたことが始まり

 

益になる批判とかならば彼女は厳しく指揮官に流すだろう、だがそうじゃない、ただ殴り書かれたような悪口、取引に見せかけた乗っ取りの提案、下心丸見えの食事の誘いなんかもあった、どれも一度は副官に目を通させ、処分している。

 

当初はシュレッダーだったのだが最近では焼却炉に打ち込み完全に焼却されるまでその場で睨みつけている姿が目撃されている、目撃したもの曰くあれは完全にブチ切れているとのこと。

 

「別に、指揮官がそれを読んでなにか身になるものがないのに読ますだけ無駄だから処分してるだけよ」

 

「だとしても一度読むというのはやはりキツイものがあります、ご無理はなさらないようになって下さいね」

 

「ふん、あの程度でどうにかなるほど軟になった覚えはないわよ」

 

コーヒー、ご馳走様と席を立ちカフェを後にするWA2000、他の人形や指揮官が居た手前ああは言ったもののPPSh-41のカウンセリングを一度受けた際にメンタルモデルに少し許容できない程度のストレスが検知されてはいるレベルには負担が掛かっているのも確かである。

 

これに関しては副官にも黙っててほしいと頼みPPSh-41しか知らないが、そんな彼女がPPSh-41に勧められ今では室長になってまで行っているのは

 

「はいはい、みんないい子にしてたわね」

 

ここは救護室、彼女が入出するや保護されたりこの基地で飼っている動物達がワチャワチャとWA2000に集まり、遊べ遊べと催促するように飛び跳ねたりする。

 

それを宥めつつ、同時に戦術人形の性能をフルに生かして異変が起きてる子が居ないかを目を通していく、今日は特に居ないようでふぅと息を吐いてからトイレやケージの掃除、餌と水の補充をじゃれついてくる犬猫をいなしながら進めていく

 

「んで、どいてくれないかしら大福」

 

「……にゃ」

 

(この猫……!!)

 

と一匹の猫の存在で掃除できない所もあるがそれ以外は済ませ、ここまでくれば後は彼女の自由な、そして至福の時間が訪れる、先ずは部屋の扉に入室の際はノックと言う札をかけて、次にボールやら猫じゃらしやらを取り出し、そして

 

「ほら、取ってきなさい!」

 

犬猫と遊び始める、これが彼女のストレス緩和の時間であり、休日に限らず平日でも業務後はこうして救護室の犬猫を構うことを日課にしている、これは彼女自身のストレス発散もあるが同時に救護室という閉じられた空間にいる動物達のストレス発散にも繋がっているので結果、どの動物も元気一杯に動き回り、病気などに掛かってもすぐに異変に気付ける環境ができあがっていた。

 

こうして彼女は動物達に囲まれ幸せそうに顔を緩ませている時は普段のキャラは消し飛ぶ、ツンデレではないデレデレな彼女、この状態になると何故か他の誰かが入ってきてもキャラを取り繕うとすることもせずにそのままのキャラで応対するという光景が見れるようになる、今日もキャリコがノックしてから入ってきたというのに

 

「んへへへ~」

 

「動物と、指揮官と、カフェが私の胃を癒やしてくれる……」

 

「ダメよ、この基地で色々深く考えちゃ、ほらガトーショコラ抱いてみなさい」

 

「え、いや、私今はパグ助撫でてるんで」

 

どっちも愛でればいいじゃないと緩みに緩んだ顔で言うWA2000、幸せそうなのでそっとしておくがこの人も指揮官の影響をモロに受けてる一人だよなぁとキャリコは静かに思いつつパグ助とガトーショコラを愛でるのであった。




すっげー久し振りにWA2000単品の話書いたかもしれん……もう誰がどのくらい出たかなんて覚えてるけど曖昧だよ……

最後のキャリコとWA2000を会話させたのは深い理由はないけど、コンビ組ましたくなるってだけよ

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