それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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閉幕


失温症(仮) Session7

《こちらカリーナ……敵司令部から爆発を確認、しました》

 

帰りのヘリ、第0部隊及び第一部隊、それと捕虜という形で保護したアーキテクトの面々。

 

カリーナからの通信を聞いたM1895はそっと窓からその基地が存在していた場所を見れば黒煙を上げ崩落していくさまが少しだけ見えた。

 

「アヤツは……安らかに眠りにつけたかのう」

 

《爆発の寸前、指揮官さまがお母様と話され、最後に感謝を告げてました》

 

「そうか、ならばアヤツはもう大丈夫じゃな……指揮官は?」

 

《今はとても話せる状況ではないです……》

 

それを聴きどこか納得したようにそうかと一言呟いてからM1895はまた窓から外を眺める。

 

今はそっとしておこう、それがその場の全員の考えだった、だが、とウィンチェスターの視線がアーキテクトを貫く、否

 

「あ、あの、どうして私は銃を向けられてるのかなぁって」

 

「あら、撃たれてないだけマシじゃなくて?」

 

「ヒエッ……」

 

結構本気なウィンチェスターの声にガチビビリするアーキテクトは視線を誰でも良いから助けてと送る、一応の説明をされているので現状で殺されることはないはずなのだがやはり怖いものは怖い。

 

そんな視線を受け取ったのはVector、彼女はそっとウィンチェスターの銃に手を当て降ろさせてから

 

「殺すのはまだ後」

 

「待って?」

 

あれ、もしかして助からねぇんじゃね私と涙目になり始めるアーキテクトを不憫に思ったのか、G36がそんな二人に

 

「止して下さいVector、彼女はお嬢様を救う鍵を持っていますし、ハイエンドモデルであるならば様々な情報も握っているはずです」

 

「そ、そうそう!この機械にはさっきも言ったけどジュピターのことだって吸い出してあるし、一応話せることはバンバン話しちゃうよ!」

 

ありがとうメイドさん!!と思いつつ彼女の言葉に続くようにそう伝えればウィンチェスターは渋々と言った感じに、Vectorはふふっと笑って冗談よと一言。

 

割と賑やかになる機内、だがやはりハイエンドモデルが何故反旗を翻したのかは気になってしまう物であり一〇〇式なんかは割と顔に出して悩んでいるとハッと何かを思い出したかのような顔になり

 

「あ、やっべ!?ゲーちゃんが無事なのか確認するの忘れてた!」

 

《だろうと思ってこっちから繋げてやったから感謝しろアーキテクト》

 

「ゲーちゃん!!大丈夫だった?」

 

突如繋がれた通信、モニターに映されたのはAR小隊が戦闘したと言っていたゲーガー、だが見れば到るところに包帯を巻き、何かと大規模な戦闘繰り広げたような状態であり無事には無事だが恐らくは一つ間違えれば今こうして通信を送れる状態だったかは怪しかっただろう。

 

だが今彼女はどこに居るのだろうか、一応彼女側の通信でもヘリのメインローター音が聞こえるので機内だとは思うが、とここで予想外の人物が通信を変わる。

 

《あ、F小隊隊長のF45です》

 

「F小隊!?え、どういうことよ」

 

《こちら、404のUMP45、実はこれも私達の任務だったんだ、【アーキテクト】【ゲーガー】両名をこちらに保護するためのね》

 

「そうじゃったのか……しかし上層部が黙ってるのか?」

 

窓から外を眺めながら呟かれたその言葉に答えたのはアーキテクト、彼女は先ほど見せた小型の機械とは別のUSBメモリのようなものを取り出して、ニヤリと笑いながら

 

「そのための私ってことよ、これにはジュピターのデータは勿論、鉄血に関することを限りなく纏めた物が入ってる、まぁこれのお陰で予定より早くバレたんですけどね」

 

《次あったら覚悟しておけ》

 

「何も言えねぇ」

 

《いやぁ、ゲーガーが襲われてるって聞いた時は焦ったよ~、お陰で急いでF小隊に通信を繋げてバレないように私達が率先して大暴れして……あ、ごめん思い出したら腹たってきた私にも殴らせて」

 

つまり、彼女達404小隊はこの二人の離反の為にもこの地区に来ており、だが思った以上に苦戦したので自分たちの基地にも救援要請をしてきたのかと第0部隊と第一部隊は納得する。

 

まぁ最初の救援はデータ回収の方の任務でのイントゥルーダーが一枚上手だったと言うだけなのでハイエンド組に保護の方とは関係ないのだが

 

とりあえず詳しくは基地に戻ってからとなり、次に話題に上がったのは指揮官の眼のデータについて、うだうだ聞くつもりはないとばかりにWA2000が

 

「で、そのデータがあれば指揮官の眼をどうにか出来るんでしょうね?」

 

「出来る、と言うよりこれがないと話にならないって感じ、このデータを繋げることで初めてあの眼のシステム面をイジれるって感じだね、所でユノっち、今どのくらい侵食されてる?」

 

「六割、そう聞いております」

 

六割、その数字を聞いてアーキテクトの顔が少し難しい表情になる、まさかもう手遅れなのかと言う空気が彼女達を襲うがいやいやそうじゃなくてねと直ぐに

 

「そこまで行っちゃうと眼の摘出はもう無理だねって思っただけ、侵食自体は止められる……ただ眼の機能その他諸々は残っちゃうね」

 

摘出は無理、薄々思ってはいたことだがいざ言われると少々辛いものがある、重い空気が流れ始める、がそれを変えたのは

 

《ふぅ、あ、皆、ごめん……無事、だよね?》

 

「指揮官?無理せぬとも良いのじゃ」

 

声からして泣いていたのだろう指揮官、当然だろう記憶がなくとも母親を失ったというのはやはり心に響いてしまう、だが彼女は

 

《うん、正直言えばちょっとまだ辛い、でもいつまでも泣いてたらさお母さんに笑われちゃうよ》

 

《強いね、指揮官》

 

《ううん、皆が居るからこうして立ち上がれるだけ、それより全部隊、状況報告》

 

嬉しいことを言ってくれるのじゃと笑うM1895、無論彼女だけではなくAR小隊も404小隊も同じような感想を抱いている、それから各部隊から全員無事だという知らせを聞けば、通信越しだと言うのに安心した表情がわかりやすい声で

 

《良かった……それと、えっとゲーガーとアーキテクトの両名はこっちで?》

 

《いえ、ゲーガーだけはF小隊の方の司令部に送るわ、あそこならハンター達も居るしなんとか本部にも融通が利くでしょ……いや、まぁ聞かせるんだけど

 

「んで、アーキテクトちゃんはユノっちのところでお世話になるってこと、よろしく!!」

 

響く陽気な声、捕虜だと言うのに何だそのテンションと言う視線が注がれる、しかもピースを作って目に当てるポーズを取るくらいに余裕があるのが何とも彼女の性格がよく分かる。

 

《一応そんなのでも元上司だ……迷惑をかけたら伝えてくれぶん殴りに行く》

 

「あれ、ゲーちゃん?」

 

《あ、あはは、じゃあ全員の帰還をもって、今作戦の終了といたします、えっと、皆ありがとう》

 

何となく理由はわかるその感謝の言葉、だがM1895が彼女に言った言葉は

 

「さて、礼を言われる理由がわからぬのう」

 

その顔は穏やかで、優しい微笑みを浮かべていた。




404小隊
実はデータの件もあったがゲーガーとアーキテクトの両名の保護も任務に含まれてた。割とハードだったとのちに語った模様

という訳で失温症(仮)編、終了です。次回ともう一話くらい事後処理話を書いたら指揮官とPPKの式の話とかアーキテクトちゃんが馬鹿やらかす話とかまた日常に戻ります。

疲れた(本音)


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