それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ダンスとアイドルと歌姫と


永久の誓いを此処に Session6

ステージに現れたD地区の彼女達は先ず軽く自己紹介をしてからそれぞれが準備に入り、大凡の準備が会ったのだろうか、417が二人とアイコンタクトを飛ばし頷いたのを確認してから彼女達の余興が始まる。

 

ヴァイオリンの演奏に合わせ歌いながら踊る417と416の二人、相当練習したのだろうと分かるそれは見ている観客を魅了し、勿論その中には

 

「凄い、それに楽しそう」

 

「この音楽は、確かClassicでしたか、招待状から期間はそこまでないと思いましたのに綺麗に踊りますわね」

 

「ダンスなら私も踊れるわ!」

 

「P7、いきなり張り合わなくても……」

 

指揮官一家も存在している、因みに見様見真似でP7が挑むも途中で追いつけなくなった模様、そしてこの一家、と言うより指揮官とP7、ステアーの関係は先程の写真撮影時に説明されていたりする。

 

流石にあの場でP7が恥ずかしげもなく『おかあさん』呼びをすれば何ぞとなるので事情を話せばすんなり受け入れられ指揮官は少しホッとしたと後に語る。

 

「これってどういう歌なの?」

 

「ふふ、貴女はまるでこの世界モノとは思えないほど美しい存在、確かそんな感じでしたわね」

 

「おお、じゃあPPKの事だね」

 

「いえ、ユノのことに決まってますわ」

 

互いになぜか譲らない、がそこに割って入ったのは娘二人であり彼女達は妙な所で張り合う二人に

 

「二人にじゃないの?だって今日の主役じゃない」

 

「はい、私も、そう思います」

 

片や胸を張って、片や恥ずかしそうに伝えてきた二人に思わず頭を撫でてしまう夫婦、無論その間もしっかりと彼女達の歌と踊りを見ている、笑顔で、曲に合わせ楽しそうに踊るHK姉妹にこちらも笑顔が自然と漏れる。

 

いつまでも見て聴いていたい衝動に駆られるが終わりはあるもの、最後にポーズを決めれば喝采の拍手が彼女達に送られ、退場の前に

 

「結婚、おめでとうございます!!」

 

と一礼してから彼女達はステージ端へと消える、だがまだ余興は終わらない、そしてあれだけ素晴らしい歌と踊りを見せられこの基地のTOKIO系アイドルたる彼女が黙って見ているはずがなかった、のだがその前に待機場所を通りかかった彼女達にP38はそれは熱い勧誘をしたらしい、曰く

 

「あそこまで踊って、そして歌えるならアイドル行けますよ!どうでしょうか、是非とも一度一緒に、え、駄目ですか、そうですか……あ、後で農業について語りません?」

 

「え、ええ、楽しみにしてるね」

 

「では、続いてP38です」

 

「おっと、では行ってきますね!」

 

割りとドン引かれた模様、そんな彼女だが伊達や酔狂で街のアイドルをやってるわけでも、そして固定ファンが付き、更にグッズが売り出されている訳ではないと言うことを先に伝えておこう。

 

呼ばれステージに駆け出てきた彼女はそのままのテンションでまずは挨拶を挟む

 

「ハァイ!本日は指揮官とPPKの結婚式にお集まりいただき、本当に、本当にありがとうございます!!では早速ですがお二人の今後の幸せと、そして今回集まっていただいて皆様に向け、この歌を送ります!」

 

誰もが思った、場馴れしてんなぁとそれくらいに自然な笑顔とトーク、更に身振り手振りも交え相手を楽しませる事を熟知しているようであった。

 

そして曲が始まる、それは好きだという気持ちを伝え、そして愛してくれてありがとうと言う歌、それを彼女は持ち前の笑顔と今日までに培ってきた歌唱力とダンスで歌詞を紡いでいく

 

先程の三人のは魅せるダンスと歌、勿論だがどれも素晴らしく完成されていた物だと言い切れるほどの出来栄えだった。

 

それに対してP38のは自然と勇気と笑顔と元気が溢れてきそうな歌とダンス、小難しいことは一切抜きのただ思いを伝えそれでいて相手に元気になって貰おうという物だった。

 

「うおぉ、あれが本業ですか」

 

「あ、417、お疲れ様、凄かったし見てて楽しかったよ!」

 

ステージから帰ってきた三人のそう告げればお礼を言われ、だけどと416がステージのP38を見て

 

「話には聞いてたけど、実際に見ると本当に凄いわね、戦術人形って何だったかしら?」

 

「最近、銃より鍬のほうが馴染むんだよねって言ってたよ?」

 

「戦術人形とは……」

 

P7の言葉に呆れ声で417が呟けば指揮官もアハハハと苦笑いで誤魔化す、正直P38に関しては戦場に出るより地域密着とかで農業とかライブのほうが天職なのではとも思われつつある、因みに別に本人は戦いたくないとかは言ってないことは述べておく。

 

尚、それは会場の全員が思ってたことであることである。そんな彼女、P38の一種のライブは特にトラブルもなく歌い切り

 

「はぁ、はぁ、ありがとうございました!そして、指揮官とPPK、結婚おめでとうございます!!」

 

この一曲だけならばと全身全霊で挑んでいたようで少しだけ息が切れながらも挨拶をしてから彼女もステージに端に消える、後は誰がやるんだろうと指揮官が周りを見ればふと気付いた。

 

「Vectorが、居ない?」

 

「そう言えば見てませんですね……え?」

 

PPKが困惑の声を上げた、どうしたのかと聞けばゆっくりとステージを指差し、彼女もそこを見ればえ?と同じように困惑する。

 

そこに居たのは緑のドレスを着飾ったVectorの姿、どこか神秘的でありオフの時のでもかと言って戦場にいる時の彼女でもない雰囲気に会場が驚きに包まれる。

 

この基地のVectorを知ってる者はギャップに、この基地は知らずともVectorという戦術人形を知ってる者はどう考えても普通じゃないVectorの雰囲気に言葉が出ない。

 

「……Vector、歌います」

 

注目をされているはずの彼女だが特に動揺をするわけもなく手に持ったマイクを構え、そう告げれば荘厳なイントロが流れ彼女はゆっくりと歌い出せば

 

「おいおい、そっちのVectorってこんな隠し玉あったのか?」

 

「い、いや、わしも初めて聴いたのじゃ……あやつ、歌えたのか」

 

アレクサンドラが称賛しつつ近くの副官に聞くが彼女もVectorの歌声は今初めて聴いたので困惑が隠せないでいた、しかもこれがかなり上手い、内容は恋を初めて知った女性の思いを綴った歌、まるでそれは最初の頃のPPK、もしくは恋というものにやっと気付いた指揮官を歌ってるような歌詞

 

何よりそれを歌うVectorの声があまりに本気過ぎた、しかも表情までどこか切ない感じで歌っていく、手による簡単な振り付けだけなのだが逆にそれがこの歌とマッチし会場を飲み込んでいく。

 

「おぉう、すげーなこれ」

 

「何だろ、心がキュッとなる、でも嫌な感じじゃなくて、うーん」

 

夢中になれば体感で感じる時間は短くなる、だが彼女の歌は寧ろ心地よく時を遅く感じさせた、そして

 

「ふぅ、ご静聴ありがとうございます。ふふっ、流石に久し振りは疲れるわね」

 

不敵に笑いお辞儀をすれば拍手が巻き起こる、これにて余興は大盛況の中終わりを告げ、あとは食事を楽しみつつ会話を楽しもうかなと指揮官一家も行動をしようとした時……

 

「では、二人の馴れ初めエピソードを話すにゃ」

 

「は?」

 

余興は終わったと言ったが催し物が全て終わったとは言っていないとばかりに大きめのスクリーンと黒のミニスカドレスのIDWが不敵な笑みを浮かべ前に立っていた。

 

あの猫は馴れ初めエピソードと言った、そしてその場に立っているのはPPKが相談相手としてよく話を聞いてもらった彼女、つまりはと気付いた所で彼女の額に冷や汗が流れ始める。

 

どうやら、PPKの受難はこれからのようだ




D地区組は『MKTO - Classic』をP38は『愛言葉』を歌って踊り、Vectorは『こいかぜ』をガチで熱唱した、因みにこいかぜは中の人ネタだぞ!

D地区の余興此処まで書いて間違えてる言われたら自害する覚悟ある

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