それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
馴れ初めエピソード、と言ってはいたが早い話がIDWによる大暴露大会とも言えてしまうそれを止めようとPPKが動き出す更にその前にIDWは無情にも語り始める。
「今でこそなんかかっこいい感じに収まってるPPKだけどにゃ?最初の頃はそれはもう酷いヘタレだったにゃ……」
「あ、IDW!」
「止めるのかにゃ?それは無理な相談にゃ、馴れ初めは誰もが気になること、と言うか散々振り回されたこっちの身にもなるにゃ」
真顔でそう言われればPPKもうっと言う顔になり黙るしか出来ない、実際に彼女をことあることにカフェに連れ込みあれこれ相談してしまっているので今となって罪悪感が出てきたのだ。
そして、それを確認したIDWはうんうん、分かってるならいいにゃとわざとらしく頷き
「じゃ、遠慮なく暴露していってやるにゃ」
そこから語られるはIDWとPPKのやり取りの数々、始まりのカフェでの指揮官とのもう少し仲を深めるにはどうしたらいいか、そんなことから始まった彼女の恋路の援護、なにかするにも何故かヘタれる当時の彼女をどうにか背中を蹴り動かしてたのを懐かしむように語っていく
「ある日は指揮官と出掛けるがどこが良いのか、ある日は食事に誘いたいのだがどうすれば、ある日は……二度キレかけたにゃ」
(意外と少ない)
PPKは心の中でそう思いつつ、だが先程から暴露されている内容に顔を赤くする、自分でもしっかり覚えているしあの頃の自分は『少々』奥手だったのも自覚している。
が、こうやって大勢の前でそれを語られるのはかなり恥ずかしい、一応馴れ初めエピソードとしては非常に分かりやすくしかもあれでも簡潔に話しているのがあの畜生猫の凄いところだろう。
「まぁ、馴れ初めとしてはこんなもんにゃ、オチ?うーむ、指揮官からの雑談に混ぜたサラッとした告白に返事もできずにぶっ倒れたって所かにゃ?」
「何でそこで飛び火させたの!?」
「ふむ、何でだろうにゃ?」
最後の最後で爆弾を放り投げIDWによる赤裸々馴れ初めのエピソード語りは終了する、因みにだがIDWがオチの話をした時、ご丁寧にスクリーンにその時の映像が流れていたので更にダメージが加速した模様。
しかし、軽快なテンポで面白く、だがそれでいて真剣な所できちっと紹介したそれの最後にIDWは
「ま、そんなPPKがこうして結婚式を挙げるまで進んだのは素直に祝福するにゃ、おめでとう、図らずもキューピット役になったけどまぁ楽しかったから許すにゃ」
「あ、ありがとうございます、何だかくすぐったいですね、貴女にそう言われると」
「で、やっぱり年始はあの流れで食っt「それ以上口を開けば花を咲かせてあげますわよ?」おお、怖いにゃ」
この畜生猫はと思いつつ隣の指揮官を見れば…年始のあれを思い出してしまったのだろう、顔を真赤にし湯気まで見えそうな姿がそこにあった。
「ユノ?」
「ひょえ!?あ、え、な、何でもないよ?」
食われたんだろうなぁと会場が察するのは時間の問題だった、と会場はまた盛り上がりを見せその後も指揮官一家はガンスミス組の所に行けば、例の大規模作戦の話や後輩ちゃんの事。
アレクサンドラ組の所に行けばあれからの戦術の勉強の話やこの基地のG3はやはりそっちとは違ったりするのか。
改めてD地区組に行けば、丁度P38が417と農業のノウハウや今後に役立ちそうな事等を話しており、416はこちらの416とボトルシップについて会話に花を咲かせていたので指揮官達はD地区の指揮官とUMP姉妹と雑談をし。
F小隊組に行けば、どうやらハイエンドモデル同士がどんちゃん騒ぎになっており、と言うより
「ま、待ってF45、うん、確かに私がジュースと偽ってお酒を渡したのは悪いね、うん、だけど、動くなァァァ!!」
「アーキテクトは、わたしのこと、きらい?」
「そんな事ないよ~?ゲーちゃんの妹分だもん、好きだよ~、でもそれとこれから君が行おうとしてるスキンシップは違うじゃん?」
「?すきなら、するんでしょ?」
「おい、誰だこの純粋無垢な娘に間違った知識植え付けたのはっ!?(強…!速・・避…無理!受け止める…(F45を無傷前提)無事で!?できる!?否…(初体験の)死)」
アーキテクトのファーストキスはこうして酔っぱらいF45によって終えるのであった、とそんな感じを眺め、何時までも続きそうだった披露宴、だが
「指揮官、PPK、そろそろ席に戻ってもらえるか?」
「え、あ、もうこんな時間だったんだ…P7、ステアー、ごめんね、ちょっと行ってくるよ」
見れば、閉宴予定の10分前、そろそろ締めに入らなければとなり指揮官とPPKは始めに入場した時の席に戻り、それを確認してから副官が
「盛り上がっている所すまぬ!そろそろ閉宴の時間が近づいているのでな、最後に指揮官から言葉を貰おう」
呼ばれ、マイクを手に前に出る、全ての視線が彼女に注がれ思わず緊張で息が詰まりそうになるが副官がするようにコホンとわざとらしく咳払いをしてから
「えっと、今日はこんなに沢山の人達に集まってもらってとても嬉しかったです!今までこうやって祝われるとか無くて、今回初めて『おめでとう』っていう言葉を掛けられて、その、えっと、あれ?」
ポロッと不意に涙が溢れてきた、悲しくもない、だと言うのに溢れ出したそれが抑えられずにポロポロと流れていく、挙式の時から我慢していたそれが、遂に流れ始めたんだと気付くのにそう掛からなかった。
「ご、ごめんなさい、ひっぐ、だからその、えぐ、今日はありが……ありがとうございます!!」
言葉が紡げないがそれでもと感謝の言葉を送り頭を下げれば拍手が送られる、それを聴いて更に溢れてくる涙をどうすればいいか分からないでいるとPPKが傍に寄り添いそっとハンカチで彼女の涙を拭いつつ
「あたくしからも深い感謝を、皆様のお蔭でユノに、新しい幸せな思い出を残せましたわってこれは開宴のときに副官が言ってましたわね」
「呵々、では非常に名残惜しいがお主らも基地を長々と開けるわけにも行かぬじゃろう、これにて披露宴をお開きとする。改めて本日は急な招待でありながらこれだけ集まってくれて感謝じゃ、ありがとう」
「あ、でも引き出物はちゃんとあるからこっちのカタログから選んでね~、それとダイナゲートの人は言ってくれれば一基地25体まで送れるからこっちも宜しくね~」
副官が締めたと思ったら、スチェッキンの言葉でまた別の盛り上がりが始まり、その間に副官は警備部隊の再配置、及び帰りの各基地へとついていく護衛部隊に連絡、残りの人形たちには後片付けを指示
指揮官とPPK、P7にステアーはその後も来賓者が皆帰るまで最後まで一人ひとりに感謝とお別れの挨拶をしていた、また出会える日を楽しみにしながら……
こうしてこの基地での総出で行われた大規模な基地間交流であった指揮官とPPKの結婚式は幕を閉じる、この思い出は何時までも彼女の中に残り、部屋にはその時の写真の数々が飾られている。
またその翌日、指揮官は一人屋上にて写真を収めた手紙をプラスチック製の軽量なボトルに入れそれを風船に結びつけたと思えばそれを飛ばした、理由は唯一つ
(無理かもしれないけどマスターさんに届くと良いなぁ、ノエルさんが空を飛んで帰ったからもしかしたら繋がるかなって思うけど……無理かなぁ)
その日、あの世界線の例のカフェの前に手紙が入ったボトルが落ちたらしい。
ダイナゲート(着せ替えセット付き)
アーキテクトが警備のために開発した特別製、の割には普通に量産されている。ボディ内蔵型テーザー銃を搭載し近接にはスタンガンも装備、どっちも人間だろうが人形だろうが一撃で昏睡させる威力。AIはベースは犬
引き出物(好きなもの持ってけ)
これにてユノとPPKの結婚式話を終わりとさせていただきます。今回のお話では『通りすがる傭兵』様『Big Versa』様『カカオの錬金術師』様『スツーカ』様『いろいろ』様、名前だけの登場でしたがMSFの『犬もどき』様、大切な作品のキャラをコラボとして貸していただき、誠にありがとうございます!自分の実力不足で上手くセリフを回したり描写ができませんでしたが登場キャラ全員、楽しめている感じを想像しつつ頭をフルスロットルで書いてて楽しかったです!!
総勢20キャラ、凄い大コラボ回でしたね……今回のことを糧に目指すは一周年、ですかね
ともかく、本当に、ありがとうございました!