それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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ホワイトデーやで


貴女の瞳に

盛大な結婚式を迎え改めてオシドリ夫婦として、更に当日に二人の娘まで認知された幸せいっぱいな指揮官だがかと言って業務を疎かにするわけもなく今日も今日とて仕事を処理していた。

 

が丁度、今回の結婚式の際に発生した経費や、消耗した資材の書類に目を通している時にふと気付いた、計算が微妙に噛み合わないことに、しかしカリーナが間違えるわけもないし、そういった話は聞いていない、はて?と思った彼女は

 

「ねぇナガン、これ見て」

 

「なんじゃ…ああ、これか」

 

どうやら彼女はなにか知ってるらしいと聞いてみれば、今回会場の改修工事の為に資材を頼んでいた補給基地が気を利かせたのか多少水増しをしてくれたらしいとのこと

 

その時期はまだ挙式については彼女には秘密裏の段階だったので指揮官には伝わらず副官で止めてたのだが伝えるのをすっかり忘れてたと付け足されれば

 

「そ、そうだったんだ、何かお礼の文でも送った方が良いかな…」

 

「うむ、まぁ向こう曰くささやかな祝儀みたいな物とのことじゃが、そうだな文面と…菓子折りと酒類でもお礼に贈ろう、水増しも多少なりとリスクが発生しとるからな」

 

じゃあそれでと、この話題はそこで終わりまた書類を片付けていると執務室の扉がノックされ、入ってきたのは第四部隊の部隊長スプリングフィールド、警戒任務に出ていたが帰ってきて報告書の提出をしてきたらしい

 

それを受け取り、一通り確認してから一つ頷いて

 

「うん、問題ないよ、お疲れ様。今日はもうゆっくりして」

 

「分かりました、では失礼致します」

 

そう告げ彼女は執務室を出てふぅと息を吐く、今日も何もなく平和な警戒任務だがやはり仕事中は神経を多少なりと使うので疲れると言えば疲れるのだ。

 

だが本日の業務は終わったのでこれからどうしましょうかと悩みつつ歩き出そうとした時

 

「お、スプリング!」

 

「!?あ、ヴァニラさん、いきなりなんでしょうか?」

 

「ああごめん驚かしたね、今日はもうフリー?」

 

突然のその質問に何故と思いつつ、肯定の意を示せば良かったとばかりに安堵の息を吐かれる、それを見てスプリングフィールドは疑問が更に膨れ上がり、遂に聞いてみれば

 

「いや、今日はホワイトデーじゃない、だからよ」

 

「…?あ、ああ、え、あれ本気だったんですか?」

 

「勿論じゃない、じゃあ、今から1時間後に正門に来てくれるかしら、街に行くわよ」

 

「え、ちょ、えっと、はぁ」

 

伸ばす手は中途半端に泳ぎ、背中越しに手を振り去っていくヴァニラを見つめ、どうしようかとも悩んだが誘われてしまったのならばと自分を納得させて準備のために自室に戻ることにした。

 

街に出るのだからと言う理由を頭の中で復唱しつつ化粧も身なりも少々気合を入れて整え、50分後スプリングフィールドは正門前に居た

 

(十分程早かったですが、まぁ遅刻するよりは断然マシです。ええ、決して浮かれてるとかじゃありません、ええ)

 

と言い聞かせた所でいやなんで言い聞かせる必要があるんですかとハッとなり、ああもうと自分の思考の暴走に呆れてしまう彼女の前に一台の車が停車し運転席から出てきたのは女性らしさを残しながらもキリッとしたカッコ良さを醸し出すスーツ姿のヴァニラ。

 

思わずスプリングフィールドの思考が停止する、街に行くと言われただけなので自分はいつもの格好だと言うのに相手はどこかレストランでも行くのかという恰好なのだ、もしかして着換えた方がと思う彼女だったがそれよりも早くヴァニラが助手席の扉を開けて

 

「よし、じゃ、行こうか?」

 

「ああ、いえ少しお待ちを、今すぐ着替えて…」

 

「それは大丈夫よ、向こうで準備してあるから」

 

え、準備?と疑問が浮かぶもさぁ乗った乗ったと促されスプリングフィールドは助手席に座り二人は街へと走り出した、走り出して数十分、停車した車から降りればそこは1軒のドレスショップ、しかも見ただけでどれも上物だと分かるようなドレスの数々に圧倒されていると

 

「ほら、スプリングこっちよ」

 

「ヴァニラ、その高そうですけど?」

 

「気にしない気にしない、じゃ宜しくね」

 

戸惑うスプリングフィールドを女性店員に任せて暫し待つ、用意してたものはそこまで時間の掛かるものではないが少し掛かるだろうなぁと思っていると一つの影がヴァニラの前に現れる。

 

んっと見ればまるで占い師のような姿であり顔はフードに覆われよく見えない、だがチラッと見えた髪と肌から

 

(人形?)

 

「こんばんはお姉さん、少し占いに付き合ってくれないかしら?」

 

「占い?悪いけどあまり信用する口じゃないのよね私」

 

「ふふ、なら代金は要らないから少しだけ占ってあげよう…」

 

声からして少女はどこからともなくテーブルを取り出して占いが始まる、大アルカナだけを使った簡単なタロット占い、そしてその内容は彼女の闇を刺激した。

 

「えっと、ヴァニラさん「どこから聞いた」っ!?」

 

「タロットからよ、どうかしら、占いも馬鹿に…」

 

「巫山戯んな、私の前から去ってくれ…頼むから」

 

声に殺意が溢れていた、その時のヴァニラはスプリングフィールドが初めて見る顔をしていた、怒っているようなだが何か突かれたくないことを突かれてしまったようなそんな顔、対して占い師の少女は意味有りげな笑みを浮かべてからせっせとテーブルを解体して

 

「ごめんね、折角のデートの雰囲気悪くしちゃって、じゃあ」

 

「ああ、出来れば二度と顔は見たくないな」

 

嫌われちゃったという顔で去っていくがその際に一枚のカードが落ちて彼女の足元に滑ってきた、スプリングフィールドがそれを拾えばそこに書いてあったのは『Ⅵ The Lovers』それを急いで拾い上げ占い師に返そうとしたが既に人混みの中で探せない。

 

どうしたものかと思いつつそれを持ってきていたポーチに入れてからヴァニラの方を見れば、思い詰めている顔をした彼女が居た。

 

「ヴァニラさん?」

 

「え、あ、ごめんごめん、いやぁ変なのに絡まれてさ、それよりドレスに合ってるわよスプリング」

 

「…ありがとうございます、それでこれからどちらへ?」

 

ちょっとお高めのレストランさと先ほどの表情が嘘みたいにいつもの彼女に戻ったのを見て少しだけ息を吐く、だがそれでも先程といい占い師に去ってくれと言った時の顔がこびり付いて離れない、だが

 

(踏み込んで、いいのでしょうか)

 

踏み込めない、頭を振って一旦考えを中断させる、今日は彼女に付き合おう、そうすればまた明日から彼女は普通に接することが出来るはずだからと。

 

だがその考えはヴァニラに案内されたレストランを見て吹き飛ぶ、そしてあれよあれよとテーブルに着かされシャンパンの入ったグラスと明らかに高いのが分かる料理を見つめつつ

 

「ここ、凄く高いところだって聞いたことあるのですが…?」

 

「そうよ~、予約取れたのもびっくりなくらいだからね、ほら、値段は気にしないで私ほらお金基本使わないからさ、ホワイトデーのお返しもあるんだから遠慮しないで」

 

ニコリとヴァニラがグラスをスプリングフィールドに向ける、ああも言い切られてしまえば彼女も無碍には出来ないので腹をくくってグラスを持ち

 

「では、ありがたく」

 

「そう来なくっちゃ、じゃ、そうね…スプリングの綺麗な瞳に」

 

「それ、ちょっとキザですね」

 

互いに少し微笑みながら乾杯を交わし食事を楽しむ、今日はホワイトデー、穏やかに流れる一日であった。




ホワイトデーで春田さんとヴァニラさんのやり取りしようとしたら占い師に持っていかれた不具合、一体誰なんだ…

まぁ、明確に分ける訳じゃないですが結婚式までを第一部とするならここから第二部な感じでまたほのぼのしていきますよ~
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