それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ピピピピ、そんな古典的な目覚まし時計の音が響く部屋、音の発生源のベッドの掛け布団がもぞもぞと動いたと思えば病的に真っ白い細い腕が伸びて目覚めを告げる時計の頭部分のスイッチをペコンと叩き静かにさせる。
ベッドの主はそれで満足したのかまた伸ばした腕を戻してもぞもぞと位置を直し…
【起きろよ、クソ上司】
「ふやあぁああああ!!???…ああ、そういやそんな機能付けてたかも、うぅ、離れてもゲーちゃんに起こされるなんて」
二度寝を見越して目覚まし時計に付けられた対象者がアラームを止めてなおも起きなかった場合に鳴る音声に見事ベッドから飛び起きたのはこの基地唯一のハイエンドモデルにして鉄血から自身が面白くないという理由で離反した快楽主義者のアーキテクト
彼女は保護された当日に一度グリフィンの重鎮たち、及び社長であるクルーガーと対面し待遇の話をしているのだが彼女が言い放った一言は割りと波紋を呼んでいる。
『悪いけど私、ユノっちの司令部以外に尻尾振るつもり一切ないよ。じゃ、それ前提にお話しようか?』
目と声に一切の冗談を乗せず、言い切り不敵な笑みを浮かべ余裕の態度を崩さないアーキテクトにヘリアンとクルーガー以外は得体の知れない恐怖で怯むほどだった。
結果、USBのメモリーのこともあり彼女の要望はほぼ通ることとなり今の彼女は捕虜ではなく技術協力者という独特な立場を確定してこの基地で過ごしている、しかし技術協力者とは言ったが早朝のこの時間に起きた理由は
「うんうん、作ってみるもんだね~」
「お陰で助かってますよアーキテクト、流石に私とスペクトラのダミーだけじゃ手が徐々に回らなくなりつつあったので」
「にっしっし、手間暇も大事だけど、楽できるところは楽にしなくちゃね~」
「楽したかったがこういうのを1から作れるってのはこの基地でも流石に居なかったから」
彼女が居るのはこの基地の農業エリア、今まではP38とスペクトラのダミー含めた12人でどうにかしていたのだがそれを見たアーキテクトがだったら楽になる機械作りましょと制作したのが今、農地をぴょこぴょこ移動しながら水やりなどを行っている農作業用ダイナゲート『アグリカルチャー』、通称『グリカちゃん』ボディはダイナゲート、色は緑をベースに何故か頭に当たる部分に小さな麦わら帽子を被っているのが特徴だ。
これのお陰で農業が更に加速した、具体的にはP38が新たにトマトとイチゴに手を出して研究を始めた、安定させるまでは無理だが安定した暁にはスチェッキンの屋台にジャガイモだけじゃなくトマトとイチゴが並ぶ日が来るだろう
「んじゃま、終わらせちゃおうか~」
と彼女が早朝に起きるのは農業の手伝い、実際にやることで機械に頼れる部分を見極めるためだと本人は言っているが顔を見れば非常に楽しんでいるので恐らくはやりたいだけだと思われる。
そしてそれが終われば、シャワーで汗と汚れを流してサッパリサッパリと爽やかな気分で食堂に着けば、ガヤガヤと心地の良い騒がしさの中に指揮官一家の姿を見つければ先ずは朝食を注文して受け取ってから
「やっほー、ユノっちファミリー、空いてるそこ座っていい?」
「おはよう、アーちゃん。遠慮しないで大丈夫だよ」
「おはようございますアーキテクト、この基地にも慣れたようですね」
「アーちゃん、ダイナゲートが大福に負けてたわ!」
「大福、強いです」
キャットコンビの報告におぉうマジかよと唸るアーキテクト、因みに大福はアーキテクトを見ても唸りも鳴きもせずに普段どおりの様子で彼女を見つめ特に何をするわけでもなく去っていったらしい
その後は彼女が配備した基地清掃用ダイナゲート『スイーパードッグ』に掃除だから退けとちょっかいを出されては返り討ちにするという光景がよく見られるようになった、しかしそれでもこの基地から出ていかないところを見るに大福は相当此処が気に入ってるとも言える。
「そっかー負けるか、まぁその内にスイちゃんのAIが学習して大福のことは諦めると思うから放おっておいていいよ」
「スイーパーが諦める前提なのですか…」
「でも大福が負ける所想像できないよね、うん」
指揮官の呟きにそうだねと思いつつ朝食を楽しみ、食後は少々胃を休めて次に向かうは彼女に与えられた工房、流石にまだ一人だけとはいかずそこには丁度いいからとヴァニラとFMG-9が居着いた。
「おはおは、お二人さん」
「ああ、おはようございます」
「おっはー、アーキテクト」
と言っても此処で彼女達は各々自分の仕事をしているだけであり、別にアーキテクトの監視というわけではない、FMG-9は情報収集と整理、最近では例のPMCの動向も向こうに悟られない程度に集めている
ヴァニラはこの基地の人形の各種のメンテナンス、及びモニターをし異常が確認されたら即座に修復ができるようにしている、そしてアーキテクトはと言うと
(うーん、あまりこの辺り派手にやっちゃうと面倒になるよなぁ、でもこの基地が襲撃されないって保証がない以上こういった防衛兵器は欲しいよね)
此処数日で集めたこの基地についてや周りからの評判、そこから万が一を想定などをし現状この基地に必要そうな物の開発に勤しんでいた、今は防衛設備をあれこれ開発中である。
だがあまりに目立ち過ぎれば色々言われてしまうと言う人間の面倒な所にため息と呆れを思いつつ、とりあえずで考案しているのが小型ジュピター『ドッカノンちゃん』この時点でいろいろアウトである。
「(これなら基地の到るところに隠していざって時は出現させれば周りからは何もないように見えるから問題ないよね?)どうかな、エフっち、ラーちゃん」
「エフっちで収まるんですか…っていやいやジュピター自体がアウトですからね?それって一応我々PMCの物じゃなくて正規軍の物ですから」
「と言うかサラッとあれよりも小型なくせに出力2割減程度で済ますってどんな技術よ」
更に言えば小型化に加え簡略化で製造コストも抑えられているが結局、PMCが所持してはアウトに近いという理由は保留となった。
では仕方ないと次にモニターに出したのはもっと問題の小型マンティコア『ミニマムディフェンサー』当然ながら保留であり、シクシクと態とらしい声が部屋に響くのであった。
こうして業務を終え、夕食を終え、寝る前に自室でF小隊に保護されたゲーガーと軽く通信をしてから就寝する、これが彼女の平日であり、翌日も彼女は変わらず楽しげに過ごすのであった。
こいつ何でこんなに生き生きしてるん?
ドッカノンちゃん
小型ジュピター、小型化と簡略化に成功してコスト面も非常にリーズナブルな防衛砲、今回は案が通らなかったが一応まだ計画自体は生きている。
ミニマムディフェンサー
小型のマンティコア、ドッカノンちゃんとほぼ似たような経緯、しかしよくよく考えればダイナゲートを改装すればいいじゃん?とアーキテクトが気付いたため若干お蔵入りに近い