それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ウィンチェスター散弾銃、当初は対イントゥルーダーだったが随分とあっさりケリが付いてしまったため現状はその体に使われた新技術のモニターとしてこの基地で業務や任務をこなしている存在、今日はそんな彼女の休日を見てみよう。
時間にして朝の6時、雑に締められたカーテンからの陽の光が晒すのは乱雑に積まれた書類、一応固めてあるように見えるが畳まれているわけではない衣服の類、転がる酒瓶、と女性の部屋としては色々死んでしまっているこの部屋はウィンチェスターの自室、はっきり言えばひどい有様である、そして部屋の主である彼女はと言えば下着だけという姿でベッドで寝ていた。
「…ん、朝?」
日の優しい光が彼女の顔を照らせばその眩しさに目が覚める、身体を起こして寝癖等でボサボサになった髪を乱暴に掻きながら首を鳴らして伸びを一つ、それから壁に掛けてあるカレンダーを見つめて今日が休日であることを認識してからベッドから降りて適当なTシャツとジーパンを山の中から引きずり出して着替えてから共有スペースである洗面所に向かう。
「あら、ウィンチェスターって酷い顔ね…また遅くまで飲んでたのかしら?」
「ええ、何時も通り呑んでたわ」
RMB-93にそう返しつつ顔を冷水で洗い頭を覚醒させる、それからまた部屋に戻り今度は作業着を引っ張り出して着替え今度は彼女の趣味の品がある場所へと向かう、途中何人かとすれ違えば適当に挨拶を返し、着いたのはガレージ
ここにはグリズリーのようにドライブが趣味だという人形たちが自身の愛車を保管し整備などを行うために作られた、入れば各々の愛車が並び、その中にはウィンチェスターのバイクである『ファットボーイ』もある、因みに彼女が配属されてきた時に乗ってきたのもこれだ、グリフィン本部の倉庫で埃を被っていた所を彼女が譲り受け今では立派な足として使われている。
そしてこの場にはいま来たウィンチェスターだけではなく、一人既に先客が来ていた、それが今『ヘミクーダ』の整備をしているグリズリーだ、彼女はウィンチェスターが入ってきたと気付けば車体の下から現れて
「ウィンチェスター、来たんだ」
「勿論よ、今日はちょっと走るつもりだから」
「お、いいね。私も整備が終わったら調子を診るついでに走ってくるかな~」
貴女何時も乗り回してるじゃないと返せばそれは言わない約束よと笑いつつ彼女はまた整備に戻る、ウィンチェスターも工具箱を持って自身のバイクに近付いて簡単な点検と調整を始める。
このご時世、ガソリンは中々に貴重なのでとヘミクーダもファットボーイも燃費周りは割りと容赦なく、と言うよりこの世界の技術に合わせて手を加えていたりするので実を言えば互いに皮は古いが中身は化け物だったりする、だがその御蔭で整備を手を抜けば一気に機嫌が悪くなるという繊細な部分が生まれてしまったが
しかしそれもこの趣味の醍醐味だと勝手に思っている二人は黙々と作業を進めているとまたガレージの扉が開かれ入ってきたのはおにぎりとサンドイッチ、お茶とコーヒーが乗ったトレイを持った64式自、これだけを見ただけでは態々朝食を運んできただけという印象を与えそうだが意外にも彼女も二人と同じ趣味の持ち主である。
「はぁ、二人とも朝食を持ってきましたよ、食べずに作業始めたんでしょ?」
「悪いね、いやいや、朝から始めないと走らせる時間なくなっちゃうからさ」
「ええ、その点少し弄りすぎたと思ってるわ…貴女のカタナが羨ましく思うわよ」
グリズリーは気に入ったという理由でおにぎりを、ウィンチェスターはサンドイッチを貰い食べつつ64式自のバイクであるカタナに視線を送る、彼女のは二人のとは違い燃費周りだけに抑え他は控えめなカスタマイズで済ませているので手はそこまで掛からないようになっている、だが結果二人と共にドライブに出ると少々置いていかれる事態になってしまうことがある。
それでもエンジンとかも手を加えて速度は普通より速い方なのだけどねと64式自は思うがそもそも二人のはネジ一本外れている改造なので別についていこうとかは考えていない。
「二人は整備が終わったら何時も通りですか?」
「そのつもり、今日は少し遠くに行ってみるかな」
「あら奇遇ね、私も少し遠くに出てみるつもりよ。貴女は64式自」
「この辺りを、ですかね。最近は一〇〇式達と過ごす時間が長く乗れてなかったので」
はは、良いことじゃないかと笑いつつおにぎを平らげ、礼を言ってからグリズリーは最終調整を始める。ウィンチェスターも同じく礼を告げてから調整を始め一度跨がりエンジンに火を付ける。
彼女にとって心地の良い重音なエンジン音がガレージに響く、中々の音量だったが他二人には慣れたものなので驚く様子は当然なく寧ろ
「いい音だ、調子良さそうだねファットボーイ」
「機嫌良さそうね」
このように二人でも音で状態を判断してくれるので助かったりするとウィンチェスターは思いつつ特に異常が確認できなかったことに安心しつつファットボーイから降りて二人に挨拶をしてからまた自室に戻り今度はいつもの服に着替え、外に出た時、そこにネゲブが居た
「洗濯物、少なくとも3日くらい前から貴女の見てないんだけど溜めてるでしょ」
「…忘れてたわ」
「忘れてるんじゃないわよ、ほら出した、洗うから、今から洗濯するから、早く」
尚、出てきた量に半ギレになるネゲブに思わず謝るウィンチェスターと言うレアな光景が見れた模様、と少々出鼻を挫かれてしまったが彼女はガレージからファットボーイを出して銃を直ぐに取り出せる位置に固定し通信機を確認して、アーキテクトが開発した小型ホログラムマップ発生装置『いまここちゃん』がきちんと起動するかを確認後、ジャケットの内ポケに入れてから跨がり
「ふぅ、さてじゃあ今日はどこに行こうかしらね」
ま、走りながら考えましょうかとエンジンを吹かしファットボーイが彼女を乗せ走り出す、意外と高性能ないまここちゃんのお蔭で知らない土地でも走れると言うのは心強くその日彼女は気付けばD地区まで走らせていた、本人はいまここちゃんを見るまでどこかは理解してなかった模様。
途中何やらイカした元気なご老人達が集まるスポットで彼らと対談してからウィンチェスターは基地に帰投する、今日は満足に走れたらしくその日残りは機嫌よくBARでお酒を呑んでる姿が目撃された、彼女の休日は大体これで終わる、もしドライブに出なければネゲブ怒りの洗濯物出せ要求でもなければ部屋でダラダラしていると言うことも付け足しておくがまぁそれは非常に稀である。
勝手にD地区にまで進出してるバイク乗りが居るらしい
この基地の現状のドライブが趣味の人形と愛車
グリズリー『ヘミクーダ』
64式自『カタナ』
ウィンチェスター『ファットボーイ』
何で64式自がカタナなんだって?いや、特に何かあるわけじゃないっす、はい。
アーキテクトの開発コーナー『いまここちゃん』
小型のホログラムマップ発生装置。『何故か』現在位置が分かり周囲の地形データも読み取りマップを移してくれる優れもの、3Dだけじゃなく平面マップも表示できる、だけどナビゲートとかはしてくれない、あくまで唯の地図。