それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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任務中に何考えてんだこのマシンガン


あらゆる事も出来る、そう、それが私だ

ついこの間まで暖かくなったと思われていた気温が一度の雨で急に下がったある日、最近部隊の再編成が行われた第五部隊は警戒任務ついていた、と言っても第四部隊がよく担当する地域ほどではないがここも暇になりやすい地区ではあるが。

 

《こちらグリズリー、定時連絡だけど異常はない?》

 

部隊長に就任したグリズリーから通信が入れば【PK】【PKP】【エルフェルト】そして【Gr MG5】が淡々と応えていく、意外だと思われそうだが警邏の時は騒がしいエルフェルトもこのような警戒任務の時は人が変わったかのように静かになる。

 

「こちらMG5、特に異常は見られない…だがこの雨は厄介だな」

 

《こちらPK、異常なし…でもそうね、面倒》

 

《PKP、異常確認できず、ふん、ワタシ達以外に動くのが居たら一度警告しそれでも来るならば穴だらけにするだけだ》

 

《えっと、こちらエルフェルトです、特にありません》

 

んじゃ、また一時間後ねと部隊長からの通信が切れればまた静かな、雨の音だけが支配する空間が出来上がりMG5はただいつでも撃てるようにしつつ適当なことに思考を少しだけ割く、つまり暇なのだ。

 

では何に割くか、彼女もこの基地のご多分に漏れず少々凝った趣味に目覚めた戦術人形であり、しかもP38のように多趣味でもある、つい最近までは狂ったようにジグソーパズルをしており最後には『ホワイトパズル』と呼ばれる文字通り真っ白いパズルを黙々と挑戦していたほどだ、そんな彼女が次に目覚めたのは

 

(そう言えば、今日だったな…『バウムクーヘン用のオーブントースター』が届くの)

 

急に作りたくなった、なので手始めにこの基地でも作れる方法を調べて作ったのだがどうにも納得がいかなかった彼女は迷いなくスチェッキンの所に行き、あるだけの財産を提示して

 

『突然済まない、バウムクーヘン用のオーブントースターを頼めないか?』

 

『また、珍しい注文だね、オーケーオーケー、探してみるよ~』

 

と二つ返事で了承したのが数日前、そして昨日スチェッキンから今日には届くよと伝えられた時は彼女は驚きと喜びのあまり見せたことのない笑顔で感謝を述べるほどだった、と言うより今もそれを思い出すとついつい顔が緩んでしまいそうになる。

 

とにかく、今日は何事もなく帰りバームクーヘンを作りたいのだ、やはり専用の物で焼いた物で食べてみたいのが彼女の心情である、この基地のMG5は少々凝り性らしい。

 

「ふふふ、これがそうなのか」

 

食堂、その調理場の一角にそれは鎮座していたオーブントースターを前に嬉しさを隠せないMG5、側には設置を担当していたP38とアーキテクト、そして今回の仕入れを担当したスチェッキンも居る。

 

「ごめんね~、もう少し短い期間で用意できると思ったんだけど思いの外、見つからなくてね」

 

「いや、こちらこそ無理な注文だったというのに見つけてくれて感謝する」

 

実際、スチェッキンとしては二三日あればと思っていたのだが思ったよりも日数を使ってしまい申し訳なさそうにするがこのご時世にこんなピンポイントなオーブントースターが形を残していたことが素直に驚きである。

 

「とりあえず私達で調整と修理出来る場所はしたから普通に焼けると思います」

 

「にしても人間って面白いこと考えるよね、一種類のお菓子のためにこんなもの用意しちゃうなんて」

 

「そういう考えは嫌いか、アーキテクト?」

 

「まさか、こういう遊びこそ大好物さ。それに一度全部見たから今度からは自前で作れるよ」

 

MG5の質問にアーキテクトがにやりと笑いながら質問に答えついでとばかりにそんな事を告げれば今度はMG5が驚く、見たと言っても細部までは見てないのではと思ったがそれを見越して彼女は額にかけていたゴーグルを指さして

 

「ふっふっふ、これぞ私が開発した新たな装備『まるみえちゃん』特殊な赤外線で物体をスキャン、コンマレベルの誤差で細部までこのゴーグルに写してくれる優れもの、なのでバラさずとも破損箇所も分かれば内部設計も分かるのだ~」

 

凄いでしょ?最高でしょ?天才でしょ?とこれまた絵に描いたようなドヤ顔で腕を組み胸を張るアーキテクト、コイツ本当に毎日が生き生きしてるなと三人は同時に思いつつとりあえずで褒めておけばでしょ~?と喜ぶ。

 

チョロい、それが彼女である、因みに褒めたので恐らくすぐに改良版か新しい開発が生まれる模様。

 

「んじゃま、お代は提示額とできたてホヤホヤを頂こうかな?」

 

「あ、私も食べてみたいです!」

 

「私も私も!」

 

「ああ、任せてくれ、初めて作るから少々不安ではあるが出来る限り腕をふるって作ってみせるさ」

 

楽しみにしてるよ~と三人が調理場から出ていったのを確認してからMG5は準備に入る。

 

そして数十分後、遂にその時間がやってきた、待ちに待ったこの瞬間が来たのだ、P38があの短時間で把握した限りの説明書をよく読んでから機械にスイッチを入れ、芯にあたる棒に生地を少量かけてバーナーの直火で焼き、丁度良く焦げ目がついたのならばまた生地をかけ焼くを繰り返す、これは棒を回しながら行うのだがこれは機械によっては自動で行ってくれるものもあるがこれは小さめのオーブントースターだからなのか手動で回すタイプ、なので集中に集中をし全神経をこのバウムクーヘンに注ぎ焼いてゆく

 

だがその顔は笑っていた、着実に形が出来ていくのをが面白いのだ、そうこれこそが私が求めていたバウムクーヘンだと、そしてそれは食堂から見ていた面々には伝わるほどであり、匂いにつられてやってきた指揮官は思わず

 

「あんな楽しそうなMG5、初めて見たかも」

 

「だね~、うーんいい匂いだ」

 

「おぉ、これは今度教えてもらいたいです」

 

「おっほ、匂いだけでお腹が空く…」

 

丁寧に丁寧を重ね数十分後、もしかしたら1時間は過ぎていたかもしれない調理を終え、芯から焼き上がった生地を抜いてから全員が見える位置まで持ってきてそこで包丁を入れ輪切りにすれば、感動の声が上がる。

 

「グーテ、初めてだがいい感じに出来上がったな」

 

「う~、美味しそうだね!」

 

「これを食べれるなら用意したかいがあったってものだよ」

 

「これがバウムクーヘン、はよ、はよ食べよう!」

 

「ですね、あ、MG5後で作りから教えてくれませんか?」

 

その日から暫く、MG5はバウムクーヘン作りにハマったのは言うまでもないだろう、甘い匂いに釣られる人形も多く気付けば人気メニューにまでなっていたとさ




いや、仕事中にバウムクーヘンを楽しげに焼くMG5の絵面が浮かんだので…ホンマどうしたそんな光景が浮かんだのだ…?

あとアーキテクトが某天才物理学者を憑依しだしたからそのうち変身しだしそう(しない)(出来ない)(やらない)

アーキテクト製品紹介コーナー
『まるみえちゃん』
少々メカメカしてるゴーグル、スチームパンク感あるデザイン。作中でも説明があったように特殊な赤外線でスキャンして、コンマレベルの誤差でゴーグルに細部まで表示してくれる品物、主に初めて見る機械とかに使われるが調整すれば暗視ゴーグルにも悪天候時視界確保にも利用できるとのこと
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