それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ペンタブ勢


整備士の休日

うーむと言う何かを悩んでいる声が部屋に響く、ここはこの基地唯一の人形整備士、ヴァニラの自室。

 

部屋には一通りの家具に数台のパソコン、モニターも数個あったり指揮官からすれば見慣れない機材も幾つかある、そんな部屋の机に彼女は座り何かを書いているのだろう手に持ったペンをクルクル回しながら

 

「…やっぱり指揮官はどう動いても総受けよね~」

 

これでもこの基地唯一であり、腕も確かな整備士である、だがここ最近真面目な空気ばかりだったが故に忘れられていそうだが彼女は色々残念な女性である。

 

因みに今、彼女がデジタルで描いているのは所謂『薄い本』しかも百合、相手は勿論PPK、見つかればどう考えてもアウトのものだがこの部屋に人を入れることはほぼ無いので問題ない、いや、あるのだが無い

 

「まぁあの娘が攻めるって所が思い浮かばないってのもあれよね、魅力よね」

 

うんうんと凄く勝手に納得してから書き途中のそれを保存してバックアップを取ったのを確認してから電源を落とす、それから一度伸びを挟んでから立ち上がり部屋から出ると丁度通りかかったのかそこには

 

「おや、息抜きかな?」

 

「やぁ、K5そっちこそどちらへ?」

 

気さくに挨拶を互いに返す、この基地に彼女が来たときは不仲説が流れたり何やら相性が悪いんじゃ的なことが噂された二人だが、第一印象があの占い故にヴァニラが少々警戒していただけで今では普通に会話もするくらいの仲である

 

だが妙に仲がよく見えるためか、それを眺めているカフェのマスターがまた勝手に生まれる不満を抑え込みながら料理をしていることを彼女は知らない、そして知らないが故に

 

「どう、これからカフェでお茶でも?」

 

などという誘いも出来てしまう、無論これは彼女が悪いわけでもスプリングフィールドが悪いわけでもないのでどうこう言える問題ではないのだが、そんな誘いを受けたK5はふむと少し悩んでから徐にタロットカードを取り出してみれば書いてあったのはⅩⅥ『The Tower』の逆位置

 

意味は『混迷』『脅迫』『誤解』『事故』この場で意味を読み解くならばと考え彼女が出した結論は

 

「ふむ、では行こうかな?それと着いたら先ずはマスターに声を掛けておくのをオススメするよ」

 

「スプリングに?まぁ勿論そのつもりだけど…ちょっと、何が視えたのよ」

 

「何がか、一つ言うのならば誤解はされたくないだろってことだよ」

 

う、うーん?と困惑の声を上げるヴァニラを見て笑みを浮かべつつK5はさっさとカフェに向け歩き出す、彼女は決まって占いに結果はどうとでも取れる言い方で伝える癖がある、曰く全てを言い切ってしまうとそれが事実になってしまうからとのこと。

 

と二人は特に何事もなくカフェに着き入店すれば、マスターであるスプリングフィールドが二人を見て一瞬だけ空気に亀裂が走りかける、が直ぐに押し留め営業スマイルで

 

「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」

 

「おはようスプリング…いや、もうこんにちはか」

 

「やぁマスター、じゃ私はいつもの場所で開いてるから君はマスターとの会話を楽しむといいよ」

 

じゃあね~とK5はスプリングフィールドにコーヒーを注文してから入って直ぐの、扉近くのテーブルに陣取り占いの準備を始める、彼女は休日になると決まってこの場所で占い屋を開くことにしている、因みに的中率は今の所9割と中々に気味が悪い確率を保っている。

 

一方、ヴァニラは言われた通り、いや言われなくてもお決まりの定位置なのでそこに座るのだがカウンター席に腰を下ろして

 

「コーヒーとマフィン頂戴」

 

「畏まりました、では少々お待ちください」

 

注文からそんなにせずにコーヒーとマフィンが出てきてそれぞれ一口、いつもと変わらない美味しさに安心しつつ、ふとあのホワイトデーの感想を貰ってなかったなと思いだして

 

「ねぇスプリング、ホワイトデーのレストラン、どうだった?」

 

「え、ああ、大変美味しかったですよ…まぁあのような場所に慣れてなくて緊張はしましたけど」

 

「あれ意外、その辺はてっきり慣れてるとばかり」

 

しかし思えばドレスを着た時も何処と無く慣れてない感じを醸し出していたので、本当に慣れてなかったのかとヴァニラはもう少しエスコートしてあげるべきだったかと後悔する。

 

「うん、じゃあ今度食事に行くときはもう少しスプリングがリラックス出来る場所を選ぶか」

 

「へ?あ、ん?また誘ってくれるのですか?」

 

「そりゃ勿論、親睦を深めるのは大事だからね~、K5、貴女も今度どう?」

 

「それは嬉しいけど、先ずはマスターさんの機嫌を取るほうが先決だと思うよ?」

 

言われ見てみるがそこにはいつもの笑顔を浮かべたスプリングフィールド、だが纏う雰囲気が違う、怒ってはいないが不機嫌と言うべきだろう空気を感じ取れた。

 

ヴァニラも何故?と一瞬考えるがそこは経験値はどこで稼いだのか不明だが察しはいい彼女、もしかしてとすぐに勘付き

 

「拗ねてる?」

 

「っ!?そ、そんな事ありませんよ、ええ!!」

 

「あ~、だよねごめん、誘っておいてすぐに別の娘に話し振るのはいけない…そこは反省するよ」

 

「ま、まぁ、そこまで私は気にしませんが、確かに気をつけたほうが良いですね、ええ」

 

面白い二人だな~とK5は思いつつちょっと占って欲しいと来たIDWに今さっき出たタロットの結果を見て目を瞑りながら読み解いていき

 

「…ふぅん、君は事こういうことに大きな信頼を寄せられていて、そうだな故に教示を求められることは確かだね、そこで気をつけるべきは公正に、そして献身にを心がけてほしいよ」

 

「あ、うん、なんだかそれは予感してたにゃ」

 

それは良かった、と笑うK5にIDWはそっと疲れたため息を吐くのであった。

 

こうしてカフェでの時間は過ぎていき、夕食前、朝のあの作業がまた一段落ついてあとは色かぁと呟きながら食堂に向かえば、Five-seveNが何とも清々しい死に顔を晒しているではないか

 

「57…貴女、またなのね」

 

「勝手に殺さないで、それに貴女だって変わらないでしょうが」

 

ほら、と指を刺された場所に視線を送ればそこには指揮官一家とメイドと祖母が勢揃いしており、しかも

 

「…思うのよ、なんでこれって苦いのかなって」

 

「んなこと言っても減らぬぞ」

 

「苦くなかったよ、ほら大丈夫、P7なら食べれる」

 

「私は、食べれます」

 

「偉いですわね、P7大丈夫ですわ、G36が作ったのですから」

 

「はい、どうぞ食べてみて下さいませ」

 

よくある家庭の一場面、それを見たヴァニラは決心した、今のを書き終えたら彼女達のほのぼの系を書いてみようと、だがそれはそれとして

 

(もしかしてあれよね、ワンチャン指揮官も攻めに回れないかしらね)

 

「言葉にしなくても何考えてるか分かるって凄いわよねFMG-9」

 

「言葉にしなけりゃこの際いいですよ」

 

今日も平和でした。




ヴァニラ姉貴制作の百合薄い本、忘れかけてたけどこいつこれが趣味だったわ、尚官能小説も書ける模様

次のスキンガチャでメイド祭りやんけ!!

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