それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
指揮官、それは基地おいて一番偉いというわけではないが最高責任者であり、なにか行動を起こす前には先ずは指揮官を通して許可を得る物…だよねと彼女は今自身が置かれている状況を見ながら一人思う。
「これでよし、エフっち、そっちどう!?」
「OK、いつでも大丈夫ですよ!」
そんな彼女の気持ちを知らずにアーキテクトとFMG-9はせっせと準備を進めそれが終わったらしく、よぉしじゃあ始めようか~と元気な声がこの部屋に響く。
因みに指揮官もアーキテクトも何時もの格好ではなく、指揮官はツインテールに緑の小さな帽子を被り、服装はオレンジの胸に黄色のポケットが付いたオーバーオールの下にTシャツという格好。
アーキテクトは何故かうさぎの着ぐるみという格好、しかも鼻の部分はきちんとうさぎの鼻を付けている。はっきり言えば謎極まる格好であり指揮官としてはこれに何の意味があるのか聞いてみたいくらいだ。
「…ねぇアーキテクト」
「ん、どったのユノっち?」
「今から何が始まってどうして私は仕事してたのに突然拉致られて着替えさせられたと思ったら此処に居るの?」
「これから新種のダイナゲートの発表をするからだよ!因みに指揮官なのは一番いい感じのリアクション取ってくれそうだったから!」
私の意思は?と聞いてみたところでこのテンションのアーキテクトには意味がないことは他の似たようなテンションの人形たちで習っている彼女はその歳にして何かを悟った顔でそっかと呟くだけに留まる。
それにだ、新種のダイナゲートと言うのは非常に興味があるので別段嫌だということではない、せめて一言だけでも欲しいという話だ。
「ええっと、ボス、アーキテクト、そっちも大丈夫ですかね?」
「うん!」
「今気付いたけどさ、何で撮影するみたいな空気なの?」
「え、そりゃあ新種のダイナゲート発表『会』だもん」
あ、アーキテクトが着ぐるみの理由ってそういう事と理解する、がそれでもダイナゲート発表会という点だけで色々アウトなのではと思ってしまうがまぁどうせ駄目なら誰か止めるかと開き直り
「私も大丈夫だよ!」
「はぁい、じゃあ撮影始めますよ~…3、2、1、スタート!」
FMG-9のカウントダウンと同時に軽快な音楽が鳴り場を盛り上げる、指揮官は突然のことで驚きキョドっているがそんなの知らぬとばかりにアーキテクトが動き出し
「は~い、良い子のみんなおはこんばんちは!『みらくるふぁくとり~』のマスコット『アーちゃんうさぎ』だよ~、でこっちがご主人の『ユノっちおねえさん』!」
「え、あ、そういうノリ!?」
「ん~、ユノっちおねえさんは色々知らされずに此処に来たから驚いてるけどまぁいいか、じゃあ尺もあまりないからドンドン行くよ~」
(これ絶対に半世紀前の教育番組とかのノリ…)
尚、FMG-9が事前に知らされた番組コンセプトはアメリカンかぶれな通販番組のノリだったがどこからどう見ても違うだろこれと言わざる負えなかった、が始まってしまった以上止めることは出来ないのでカメラを回し続ける。
ステージの方ではアーキテクト改めアーちゃんうさぎがコイツ天職なのではというノリのこの撮影の趣旨を話していた、因みに指揮官改めユノっちおねえさんは完全に置いてけぼりである。
「この『みらくるふぁくとり~』はアーちゃんうさぎが作ったものを発表して、ドヤって、何だったらお電話一本で配送するよって番組!という訳で本日の商品は…チェケラ!!」
「待って!?お電話一本で!?マズイよね、それ絶対にアウトだよね!?」
ユノっちおねえさんの正論なツッコミはアーちゃんうさぎのその大きな耳に届きつつもスルーされ、彼女の掛け声で登場したのは三体のダイナゲート、どれも専用のカラーリングと飾りが施されている。
三体はそのままキレイに整列するのかと思えば…
「ぬわぁぁぁぁ!?ま、待って、今は戯れる時間じゃないから、あーkえ、あ、はい、アーちゃんうさぎ、止めて!?」
「(ナイスカンペ!)ほぉら駄目だぞダイナゲート共、ユノっちおねえさんと遊ぶのは後で、今はほら整列する!」
(あっぶね)
前もってやらかしだろう事柄をカンペで用意しといたお陰でユノっちおねえさんがアーちゃんうさぎの本名を言ってしまうトラブルを回避して三体のダイナゲートは無事彼女の前に整列する、それを確認してからアーちゃんうさぎは細長い指揮棒みたいなものを取り出して虚空を叩くような動作をすれば空中投影モニターが映し出される。
「あ、すっごい、それ初めて見た!」
「ハッハッハッハ、アーちゃんうさぎに不可能はそんなにないからね~、さて今回紹介するのはこのダイナゲート三体、じゃあ右から行こうか。この娘の名前は『見回りちゃん!』見ての通り警備を目的としたダイナゲートだね」
と一番右端のダイナゲートが前に出る、ボディカラーは白を基準に黒のラインが一本、頭部には警察帽を被っている以下にも警察犬ですという感じのお座りをしている。と言ってもこれは現在配備されている警備用ダイナゲートを更にそれ用にカスタムした物、なので基本スペックもそこまで大きな変更はない、強いて言うならば
「もし万が一この娘がやられた場合は即座に信号を送りその基地の他の警備ダイナゲートに通達、更に登録さえ済ませておけば人形たちにも送られる優れもの!」
「じゃあ、つまり警備ダイナゲート達のリーダーみたいな形になるの?」
「そうだね、その形で配備したほうが良いかもね。数体買って小隊ごとに別けるなんて使い方もオススメだよ~」
はいはい、じゃあ次ねと前に出てきたのは見回りちゃんより一回りかそれより少し大きいボディのダイナゲート、カラーリングは白一色で頭部にはナースキャップが特徴的でどことなく今までのと比べると落ち着いた雰囲気を持っている。
「この娘は『ファーストキュアー』え、名前がまとも?私はいつも真面目だけど…?まぁいいや、名前と見た目の通りこの娘は医療専用に作ったんだよ!」
「怪我を治療したり?」
「そうそう、怪我は人間人形問わずにある程度まではその場で治療できる装備を積んでて、心停止用にAEDと救難信号を発信する機会も積んでる、お蔭で大きくなっちゃったけど…」
「でも大きいダイナゲートってのも可愛いね、それに他の子と比べると大人しいから良いと思うよ?」
「AIをそう調整したからね~、じゃあ続けて紹介しちゃおうか最後の娘は『ストアハウスキーパー』」
と紹介されたのは黄色いを主体にシマウマのような黒のラインが入ったこれまた大きめなダイナゲート、頭部には安全第一と書かれた黄色いヘルメットを被っている。
この娘は見てもらったほうが早いねと指示を出せば先ず他のより少々分厚い四足から自身を安定及び固定させる補助足が現れそれから背面が開き、先がグラップルと呼ばれる物をつかめる形状になっているアームが迫り上がり自在に爪を操ってから何故か、本当に何故かユノっちおねえさんの首根っこを優しく掴んで
「うぉおおおお!!??あ、あの、アーちゃんうさぎ、私何で持ち上げられてるの!?」
「いや、どんな重さでも上げれるよって宣伝になるじゃん?」
「えぇ…降ろして~」
声に反応してこれまた優しく彼女を地面におろしてからアームを背面に仕舞いブルブルと体を震わせるストアハウスキーパー、とこれで全ての説明が終わった。
「さて、これが今回の発明品、凄いでしょ?最高でしょ?天才でしょ?ああ、言わなくても伝わるようんうん、これを見てる君達も早速欲しくなってるはず、という訳で連絡先はこちら!」
「あ、これスチェッキンのだ」
「電話一本で注文数次第だけど一週間以内にはお届け!勿論、今までのダイナゲートシリーズも注文待ってるよ~、っとユノっちおねえさん大変だもう時間がないよ!」
「え、あ、何言えば…ん?きょ、今日も天才的な発明すごいねアーちゃんうさぎ!」
「ふっはっは!私の発明はまだまだこれからも続くから続報を楽しみに、じゃあアーちゃんうさぎと…」
「ゆ、ユノっちおねえさんでした…恥ずかしいんだけどこれ」
しーゆー!とアーちゃんうさぎの一言で撮影は終了、それはもうハイテンションな感謝を述べられ数日後
「は?」
「だ~か~ら、繋がりがある基地に前撮影したあれ送ったの!」
「一応、販売にもなってるからね~って指揮官何も聞いてないようだね…」
「…アーちゃん!!!!」
この後めちゃくちゃ怒られたけどDVDは回収されなかった、因みにペルシカにも送られてヘリアンと共に見たらしい、曰く娘の演劇を見てる感情ってこうなんだねとのことだった。
今回のこの動画のDVDはマジで現状で繋がりがある基地へアーちゃんうさぎ名義で送ってます、ノリはなぜなにナデ○コ、二人の衣装もそれ。番組BGMもそれ、アーキテクトが知ってる理由はサブカルにハマりすぎたから。
アーキテクト製品紹介コーナー
『見回りちゃん』
警備ダイナゲートに名前無いの不便だよねから生まれた、カラーリングはパトカーイメージ、帽子は警察帽、AIは仕事中は警察犬、オフは犬。
『ファーストキュアー』
医療専用ダイナゲート、カラーリングはナースをイメージ、帽子はナースキャップ。AIは大人しい大型犬なのでタックルとかはしてこないでのんびりしてる。
『ストアハウスキーパー』
倉庫番ダイナゲート、カラーリングはクレーン車をイメージ。帽子は安全第一のヘルメット。AIはファーストキュアーと似た感じ。
ついでに紹介 突発系番組『みらくるふぁくとり~』
基本的にアーちゃんうさぎとユノっちおねえさんの二人で進める動画。
趣旨はアーちゃんうさぎが開発したのを紹介して販促をするだけ、思い付きなので基本的に指揮官は拉致られる形で招集される。紹介の際は投影モニターでスペックがずらずら表示されて実演を交えて行われる、だいたい被害はユノっちおねえさん