それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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コンテンダーってだけで某正義も味方が頭をよぎる不具合


勝利の方程式は決まりました!

キャリコ、この基地である意味己を貫き常識人という立場を確固たるものにしている戦術人形、濃いキャラ多いこの基地で常識人というのは実を言えば中々に偉業ではあり、同時に何かと苦労人でもある。

 

彼女の朝は決まって掲示板を眺めることから始まる、今日の予定は勿論、記事には割と和む内容の物も存在することがあるのでそれが彼女にとっては心の安らぎとなる、と言うよりこうやってちまちまと癒やされていかなければ最近堕ちかけているRO635のようになってしまうとすら思っている。

 

そうして覗いた掲示板、その張り紙を見て思わず固まり、それから再度読み直して

 

「…コンテンダーかぁ、まさかあの時の彼女じゃないだろうけど、期待できるわよね」

 

主に常識人枠の確保という話である、それだけを呟いた彼女はさぁてお仕事お仕事と本日の業務に向かうのであった。

 

所変わり何時も通り配属される人形を待つ指揮官と副官、しかし今回は指揮官は勿論どんな人が来るのかと楽しみにしているのは当たり前だが、副官としてもコンテンダーと言う珍しい分類にはいる人形をまさかこの眼で見れるとは思ってもなかったので彼女にしては珍しく早く来ないかと心待ちにしていた。

 

そうして待つこと数十分、軍用ジープから降りてきたのはスラッとした長い脚、凛とし佇まいの戦術人形、彼女は二人を視認するとカツカツと一糸乱れぬ歩行で二人のもとに来れば

 

「本日よりこの基地に配属となりました【コンテンダー】です」

 

「いらっしゃい、この基地の指揮官のユノです」

 

「副官のナガンM1895じゃ、いやはやよもや可動している間にお主を見れるとは思わなかったわい」

 

短い何時も通りな自己紹介とは裏腹にどことなく声が弾んでいる副官に指揮官は不思議に思いながらも、じゃあ案内するねと彼女を連れて基地へと向かう。

 

残念ながら本日は休日ではないので割とバタバタしている中での案内となってしまう、と言っても最近は大きな戦闘とかもなく平和なので平均的な忙しさなのだが。

 

「ごめんね、本当は休日とかに案内できればよかったんだけど」

 

「いえ、問題ありませんよ指揮官、普段がどれほど忙しいかを知っておけばそれはそれでこちらもやりやすくなりますし」

 

「言うても最近はこれでも静かなものじゃがな、それよりもコンテンダー、お主はどうしてこの基地を選んだのじゃ?」

 

副官からの質問にそうですねと少しだけ悩む素振りを見せてから、彼女はこう続けた。

 

「この基地ならば私の方程式が確実な物だと確信出来るから、では駄目でしょうか?」

 

「ん?」

 

「お、おう?つまりどういうことじゃ?」

 

「えっと、つまり私の性能を活かせる気がしたからと言う意味です」

 

あ~なるほどと指揮官は納得したが副官としては何でそんな妙な言い回しをと思わず苦笑いを浮かべてしまう、それからやれやれやはり気難しいやつばかり送られるのうこの基地はと内心で思いつつ、最近はあまり人のことは言えぬかと頭を掻くのであった。

 

とりあえずで一通りの施設の案内を済ませたところで指揮官の通信機に着信が入る。

 

《こちらヴァニラ、検査の準備が終わったから整備室まで来て頂戴》

 

「うん、今から向かうよ、じゃあコンテンダー次はこの基地の整備室に案内するね、それでそこでも説明されると思うけど簡易検査を受けて」

 

「会えば分かるがまぁ腕は自慢できるやつじゃよ」

 

「ず、随分不安になる言い方ですが、分かりました向かいましょう」

 

ヴァニラさんは良い人だよ?と指揮官は笑顔で告げるが副官はまぁお主から見れば大概は良い人じゃろうてと呆れるように呟き、それを聞いたコンテンダーが更に不安を募らせたりもしたが一行は整備室に着き扉を開ければ

 

「あ、キャリコ、どうしたの?」

 

「いえ、少々義体の調子が悪い気がして見てもらって…貴女、もしかしてコンテンダー?」

 

「あの時のキャリコですか?まさか、また会うとは思いませんでしたよ」

 

「なんじゃお主ら知り合いだったのか?」

 

「お、何々そういうお話お姉さんは好きだよ~」

 

そんなんじゃないです!とキャリコから否定されればヴァニラは冗談よとにこやかに笑いつつモニターに視線を移しまた作業を始めつつ、コンテンダーにそこに椅子に座ってくれと指示を出す。

 

「それで、二人は知り合いなの?」

 

「知り合いって訳じゃないけどね、前に助けてもらったのよ、あのときはお礼も碌に言えなかったから今言うけどね、助かったわ」

 

「困ってる者を見過ごせなかっただけでですよ、それに貴女の啖呵にも心を揺さぶられたっていうのもありますし」

 

「ふむ、キャリコお主この基地に来る前にそれなりに無茶をしたと聞いてはいたが何をしたのじゃ?」

 

そう聞かれるとキャリコは何を恥ずかしがっているのかあ~と目を泳がせて頬を指で掻いてから、そんな大それたことじゃないんですけどねと一つ置いてから

 

「この基地に来る前、本部に居た頃に街で誘拐を目撃してね、それで跡をつけていったらなんか沢山居てさ、それで隙きを見て誘拐されてた人を救出してたんだけど、最後のグループで私がヘマって見つかっちゃってさ」

 

聞けば、そこから銃撃戦が勃発、誘拐されてた人を逃すために自分が囮として前に躍り出て戦闘をしていたのだが運悪く足に被弾、更に銃を取りこぼすというミスまで重なり追い込まれ

 

「あ、これ終わったなぁ、なんて思ってたら、一台のバイクが突っ込んできてね、しかも流れるように銃弾を奴らの頭に撃ち込んで行くのは正直見惚れたわよ」

 

「まぁそれが私だったという話です、それにしてもあの一瞬でよく私だと気づきましたね、姿もそこまで見せなければ名乗ってすら居なかったはずなのですが」

 

「子供たちがね、あなたに助けを求めたって聞いたからよ、それにその頬の傷、あのときに出来たのそのままなんでしょ?」

 

キャリコの言葉に近くに居た指揮官がよく見れば確かに左頬に銃弾が掠ったかのような跡が残されていた、それには指摘されたコンテンダーも驚いたように目を丸くしていた

 

「ほぉ、よく気づけるものじゃ…わしでも言われなきゃ分からぬぞこれ」

 

「まぁあの時は戦闘中でいろいろ集中してたからってのもあるからでしょうけどね」

 

副官からのまさかのお褒めの言葉に恥ずかしそうに笑うキャリコ、だが実を言えば彼女がこのコンテンダーがあの時の彼女だと気付いたわけはもう一つあり、それは

 

(ま、あの頬の傷は私を庇った時のだってのとその時に顔を近くで見たから気付いたなんて…いや、言えない言えない)

 

因みにキャリコの義体の調子の悪さは特に問題はなかった模様、まるでコンテンダーと会うために来たみたいねとヴァニラが茶化せば無言の腹パンが彼女を襲ったがこれは余談だろう。




コンテンダー、キャリコ、WA2000って組ませたい気がするけどまだやってない

な、なんとか書けた…いや、風邪自体はもう殆ど回復したんですが寧ろ回復に体力を使いすぎて頭が回らなかったです、はい。

皆も健康には注意を払おうね!!

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