それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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コルトSAAちゃんはやる時は真面目さん


コーラと射撃

どことなく西部を思わせる内装の部屋、ここはコルトSAAの自室、無論部屋の主はコルトSAAであり彼女の朝は平日ならば早いが休日は大体8時超えた辺りと周りと比べると若干遅い。

 

まぁだからといって何か文句を言われたりするわけではないのがこの基地の休日、彼女は今日も何時も通りに8時過ぎに目覚めて寝ぼけ眼を擦りながら備え付けられている小さな冷蔵庫を開ければそこにはズラッと並ぶコーラ、その一本を取り出して慣れた手付きで王冠を開けてから、グイッと喉を鳴らし飲んでいき

 

「っプハ~、やっぱり起き抜けの一本は堪らないわね!」

 

周知の事実だが彼女はコーラキチである、それは他の基地の彼女もそうなのでもはやコルトSAAと言う存在の大半はそうであれと作られたのであろう。

 

ともかくご機嫌起き抜けコーラを済ませた彼女はいつもの服装に着替えて次に向かうは射撃場、といつもは大概一人だが今日は珍しく先客が居た。

 

「あっれ~、副官じゃん、どうしたの珍しい」

 

「む?コルトか、いやな、最近あまり射撃をした記憶が無かったからな偶にはと思っただけじゃ」

 

あ~、確かに出撃してないもんね~と思いつつ彼女の隣で端末を操作して先ずは肩慣らしの普通の的当て、距離は有効射程のおおよそ半分の位置、丸いターゲットが現れたと同時にパァン!と乾いた銃声が鳴り

 

「相変わらずの早撃ちと精度じゃのう」

 

「きゃっほー、って副官も変わらないじゃん?」

 

隣を見ればほぼ同時にターゲットを出し、そしてコルトSAAとほぼ変わらない速度で発砲、ブレることなく中心にヒットさせている副官の姿、それを指摘されれば呵々といつもの笑いをしてからまだまだ一線から離れるつもりなぞないからのうと端末の操作を始める。

 

操作が終わり次のターゲットが出てくるまでに準備を終わらせ構え、カウントが0と同時に出されたターゲットは2つ、当たり前だがどれほど早く射ったとしても銃声は二度、だがそれでも十二分に速い速度で放たれた弾丸は先程と同じようにブレることなく中央を貫いている。

 

「可もなく不可もなく…問題無さそうじゃな、P38のヤツまた整備の腕を上げたのか?」

 

「あの娘、本当に行くところまで行っちゃいそうだよね~、っと」

 

副官が終わったのを見てから今度はコルトSAAが端末を操作して先ほどと同じようにガンホルスターに銃を入れ直ぐに抜ける状態にしてから、カウントが0になるまで待ちターゲットが現れた瞬間。

 

それを初めてではないが見た副官はただ思う、相変わらずの早撃ちじゃと、現れたターゲットは副官と同じく2つ、そして現れた瞬間に彼女に耳に届いた銃声は『1発』正確にはほぼ、とは頭に付くが、だとしても驚異的な早撃ちであり無論ターゲットの中心を射抜いている。

 

「きゃっほー!今日もやっぱり絶好調ね」

 

クルクルとトリガーガードに指をかけて銃を回す『ガンスピン』を行いながら彼女は楽しげにそう告げてそのままホルスターに仕舞う、因みにだが彼女は本気でやろうと思えばシリンダー内の弾全てをほぼ1発の銃声に収めることも出来なくはないし、何だったら全く同じ場所に当てることも出来る、曰くHGじゃ装甲兵キツイけど一点集中でぶち貫けば殺せるじゃん?とのこと、これを偶々聞いたM1911は非常に引き攣った笑みで

 

「うーん、大先輩の考えることは凄いですねって思いました」

 

(いや、あれはわしが聞いてもそうなるのじゃ)

 

流石の副官も出来て3発、それ以降は敵が動くし、そもそも重心がブレるので成功率は一気に下る、だがコルトSAAにはそれがない、的が動こうが6発を確実に、一点に当てていく、そして更に恐ろしい話に彼女は右に下げているホルスターの他に左で抜きやすいようにと腰部分にもホルスターを備えておりあまつさえそれでも彼女は同じようにワンホールショットを成し遂げてしまう、その証拠に今副官の目の前でそれが行われた、だが

 

「やっぱり左はまだまだ苦手ね~」

 

「あれでか、右とそこまで変わらんように見えたが?」

 

「いやいや、若干ブレてるよ~、これじゃ動く敵にはズレが出る、うーん、やっぱり両方は欲張りかな~」

 

と両方の指で銃を回しつつ考え始めるコルトSAA、コーラキチではあるがこと射撃になるとこうやって日々の鍛錬を怠らないストイックな部分が現れる、何時いかなる場面であろうと敵を撃ち殺す、それが彼女の信念だと副官は過去に聞いてはいたが恐ろしい執念じゃと思わずにはいられない。

 

寧ろ、何故そこまで執着しているのかと聞きたくなるほどだったが恐らくはあまり話したくない過去があるのだろうと勝手に推測し触れないでおき、もう少し撃っておくかと端末を操作していると不意にコルトSAAから

 

「副官はさ、もしこの1発が外れて指揮官が死んじゃったら、とか考えたことある?」

 

「…何じゃ藪から棒に、まぁその状況下になったのならば外さないように鍛錬するしかなかろうて」

 

「でしょ、私さ~昔一回あるんだそれ、まぁ指揮官じゃないけど仲間をね…たった1発、それを外したがために仲間を一人殺させちゃったことがさ」

 

しかもその時はこの苦手な左じゃなくて絶対の自信を持ってた右ってのが更に後悔するポイントと付け足して今しがた副官が出したターゲットを狙いそこそこに右の銃で発砲し命中させる、たいして見てはいなかったはずなのだが弾丸はキレイに中央を貫いていた。

 

「お主、それを引き摺っておったのか」

 

「おかしな話でしょ、まぁぶっちゃけちゃえばもうその辺りは割り切ってるんだけどほら、ウチの指揮官、不意に何かに狙われるってありえなく無いじゃん?」

 

続けて左、右と会話をしながら出てくるターゲットの中心を射抜いていく、それは狙うという概念すらなくどちらかと言えば普段行っている呼吸と変わらないことのように見える動きだった。

 

「して、どうして今になって話したのじゃ?あとあれはわしが出したターゲットじゃっ!」

 

「はい残念、いや、何でだろとりあえず話せるうちに話さないとって思っただけ~ってうわ」

 

副官が会話の途中で最後のターゲットに向け放った弾丸をコルトSAAは先ず左の銃の弾丸で弾き、続けて右の銃で射抜く…がそこで彼女の顔が苦虫を噛み潰した様な表情になり副官が見れば若干だが中心からずれているのがわかった。

 

「3つまとめての思考はブレるのか~」

 

「会話、弾丸弾きに的当てか。それでも十二分な気がするがのう」

 

「ズレてるのならそれはまだまだってこと、でも今日はお終い!コーラ飲みに行こうっと」

 

そう告げ射撃場を出ていくコルトSAAを見送りつつ副官はハッとなりその後あやつめと頬を引き攣らせながら

 

「片付け押し付けていきおった…!!」

 

その後、めちゃくちゃ怒った。




こいつなに会話しながらよく分かんねぇこと繰り広げてんだ…

明日はAA-12チャレンジ、資材の貯蔵は十分か?

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