それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
ある日、指揮官はふと気づいた、ヴァニラと言う新たな仲間が増えてから人間だけでお茶会というものをした記憶が無いということに、更に言えば
(私ってカリンちゃんやヴァニラさんに相談することあっても相談を聞くことってしたこと無い気がする…?)
ポクポクと頭の中で今までの記憶が洗いざらい探っていく、何気ない会話、重要な会話、業務上の会話、とにかく徹底的に、だが出てくるのは人形たちの悩みは割と聞いてるがカリーナやヴァニラとなるとどっちかと言えば聞いて貰う方しか無かったという事実。
彼女は真顔になる、これでこの基地の指揮官を名乗っていたのかと、なんてことだすぐにそういった場を用意しなければとそこから彼女は休日一日前に二人に通達し、当日にお茶会で使いそうな物の準備を急ピッチに進めた、そして当日、指定された場所に二人は居たが肝心の指揮官の姿はまだなかったがまだ時間には余裕があるので大丈夫だろうと思いつつも
「でも、どうして突然お茶会を?」
「私も指揮官さまから昨日通達されたので、ですが何かしら考えがあってのことだとは思うのですが」
「何かしら、ねぇ。と言うより単純に私達とお茶会ってしたこと無いからって理由だったり?」
ヴァニラの考えにカリーナは思わず有り得なくないなぁと笑みを浮かべてしまう、きっとしたこと無いから蔑ろにしてるんじゃと自分で考えちゃってとかだったりしますわねと指揮官らしいことを更に考えてしまい、今度は少しだけ声を漏らして笑ってしまう。
「あら、何を考えたのかしら?」
「いえ、もしそうだとしたら指揮官さまらしくて少し微笑ましいなと思っちゃっただけですわ」
二人の笑いが溢れる茶会の場、そのタイミングで漸く今回の主役とも言える彼女がパタパタと小走りで現れた、がその音の方を見た二人は始めギョッとしてから即座に行動を開始して指揮官の側により
「わわっと、ヴァニラさん?カリンちゃん?」
「はいはい、そんなお茶とか持ってるのに走らないの、転けたら火傷じゃ済まないでしょう?」
「そうですわ指揮官さま、慌てなくとも時間もまだ余裕ですのに」
「はっはは、いや、準備に思ったより時間掛かっちゃって…」
そこも指揮官らしいと言えばそうなのだが彼女はなにかといえばおっちょこちょいであり少なからずドジっ子も混じってる分類なのでそれがお茶やクッキーが載ったトレイを両手で持って小走りで現れるのは少々心臓に悪いものである、とそんな開幕早々なアクシデントが合ったがメンバーが揃ったので人間三人だけのお茶会が始まる。
聞けば今回のクッキーは今日のために指揮官が自ら焼いたものらしく、その味はサクッとしてほのかに甘い、なんとも上品な味わいで用意された紅茶とよく合うものだった。
「うん、美味しいわよ。忘れがちだけど指揮官って一応料理とかは普通にできるのよね~」
「とても美味しいですわ指揮官さま、当然ですわヴァニラさん、なんたって素敵な旦那さまの為に毎朝お弁当を用意するほどなのですから」
「えへへ、ありがと。っとでさ、その今日集まってもらった理由なんだけどね?」
そうだ、どうした今日は自分たちを集められたのか、それが割と気になっていたのだと二人は指揮官に注目する、対して彼女は急に割と真剣な目で注目されて軽く戸惑いを覚えながら、だが自分の中では大事なことなのでしっかりと彼女達を見て
「いや、私ってさ、二人に相談に乗ってもらうことがあっても、二人からの相談に乗ったことって無かったから…それでなにかあれば聞いておこうって、それで解決できることがあるなら私、しっかり解決するからさ」
出てきた言葉にこれは流石に予想していなかったとばかりに数秒固まる二人、あれ、どうしたの?と言う指揮官の言葉も耳に届かず、それから漸く再起動を果たした二人は再度彼女の言葉をしっかり理解した上で、顔を合わせてクックッと笑い始める。
無論、そんな態度を取ればムッとなるのが指揮官、彼女としてみればかなり真剣にそう思ってこうやってお茶会を開いたのだから笑われるのは如何なものかという感情になる、がすぐにヴァニラが
「ごめんごめん、もしかしてそれ気にしててくれてたの?」
「え、うん、だってほら平等じゃないと言うか…聞いてもらうだけっていうのは上司として良くないって本にも書いてあったし」
「ああ、なるほど、ですから急にこういうお茶会を企画したのですか、ですが大丈夫ですわ指揮官さま、私達は現状で何の不満もございません、いいえ、寧ろそれ以上に良くしてもらっているのですから」
「そうそう、これで不満を持てる奴を探してみたいくらいよ、待遇良しで福利厚生良し、しかも上司がこんなに健気で可愛いってきたら満足も満足、寧ろもっと貢献しなきゃと思えるくらいってやつよ」
ああもう可愛いなぁこの娘はと頭をウリウリと撫でるヴァニラ、ですが本当に指揮官らしい考えでしたわと紅茶を一口飲みながらもその顔は妹の健気っぷりに思わず顔がニヤけてしまいそうになるのを押さえつけるのに必死だったりする。
結果だけを言えば二人は本当に不満なんて一切ない、カリーナからしてみればこんなに可愛い
ヴァニラは言わずもがな、天国のようなこの職場に不満なんて馬鹿らしいとすら思っている、ネタにも欠かさないしと口にはしないが思っているし他の戦術人形たちのやり取りだって彼女にとってはありがたいものである、なのでここで働く以外の選択肢なんて今はもう考えられないというほどだ。
「そう、なの?」
「ええ、まぁでもこうやって人間だけっていうお茶会は確かにありがたいかもね」
「ですわね、偶には良いかもしれません、なので指揮官さま、これからももしよろしかったら誘ってくださいな」
「それなら喜んで、じゃあそうだな…何話そうか?」
その後は何気ない雑談でお茶会は賑わうことになる、だが二人とも言葉にはしなかったが同じこと思っていた、それはこうやって指揮官がお茶会を自分達のために開いてくれる、それが何よりも嬉しいのだと。
人だけって初めて書いた…思えば一度も書いてねぇなってことで書きました、まぁそれでもただのお茶会になるんですけどね
え、新規ショットガン製造?聞くなよ