それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
「斃れろ」
声だけ聞けばお淑やかな感じをさせつつ吐き出されたセリフは物騒そのもの、そしてその言葉の次に聴こえるのは無慈悲な軽機関銃の銃声の嵐。
それが止む頃に映っていたのは見るも無残な鉄血人形の残骸、だがまだ戦闘音が聴こえるが彼女【Gr MG4】はその方向に見向きもしないでダミーに命令を出してガチャンと先ほどとは別の方向に愛銃を構えサイトを覗けば
「まだ居るの…はぁ、往生際が悪い」
小さく呟いて彼女はまた銃爪を引いて殺戮の嵐を引き起こす、そしてその殺戮の光景は他の場所でも巻き起こされていた、彼女の方向とは真逆、先程の戦闘音の主、それは
「ヒャハ、まだまだ居ますねぇ、これでMG4が抑えてるってんだから楽しい祭りに来れましたよ~」
足元の残骸と手に持った【Ripper】の首を放り投げつつ狂気に染まった笑顔を見せ【イングラム】が周りを見渡せばまだまだ居る鉄血人形の姿、対してこちらはそれなりに消耗したダミー4体、だがどれも例外なく本体と同じような笑みを浮かべ、もし人間が相手だとすればこの時点で逃亡を図るだろう光景だった。
状況だけ見ればイングラムが完全不利なはずなのだが彼女はそういった素振りは一切見せずに放り投げたRipperの首が地面に落ちた瞬間にダミーを含んだ姿が掻き消えた、何処に?と【Vespid】の簡易AIが答えを出そうとするがその答えが出る前に首が宙を舞い、逆手にナイフを握り先ほどとは違う不敵な笑みを浮かべたイングラムの姿。
「相変わらず鈍臭い、そろそろアップデートしたらどうなの?」
まぁそんな余裕あるならもうこの時点で私死んでるんですけどねぇ!!不敵な笑みは急に鳴りを潜めてケタケタと狂った笑いをしながらイングラムは集団を蹂躙していく、ある個体には銃弾で蜂の巣に仕立て上げ、別の個体にはナイフで首と身体を別れさせるか眼に突き刺しそのまま両断するか、そして更に別の個体は素手で顔を掴んだと思えば力任せに引き千切る、正に狂犬と言える戦い方を繰り広げる。
そんな数で勝るはずのこの状況を理不尽な個が磨り潰していく光景に後方に居るはずの【Jaeger】はある筈のない恐怖を感じ…た頃にはスコープごと脳天が吹き飛ぶ。
「ああ、全くさぁ、少しは援護する身にもなってよ。まぁ此処まで賑やかなのは嫌いじゃないんだけどさ」
愚痴るように呟くのは【M21】主に前衛に出ていく彼女達の支援が仕事である、因みにだが愚痴ってはいるがその顔は非常にイイ笑顔である、別に不満に思ってはいるがそれだけ、寧ろ楽しんでいる節がある。
でなければ、先程から援護射撃の際はJaegerを処理するか、MG4の撃ち漏らしだけに留めてイングラムの殺戮劇か、別の地点の【KS-23】の戦闘風景をスコープ越しに眺め楽しげに笑いはしないだろう。
(もっともっと騒がしくして欲しいけど…うーん、そろそろ打ち止めかな?)
イングラムの方面はすでに半壊、MG4のは正直一方的すぎて何とも、なので【KS-23】の方を見ればそこはまだ彼女にとっては楽しめる光景が広がっていた。
「だぁ!おらどうしたどうした、宴はまだ続いてんぞ!!」
(わぁお、頭突きなんてワイルドなことしてるよ)
確かに装甲はあるがそれでもSGの中では薄い方の彼女だがそれを気にする素振りもなく敵集団の中でダミーと共に乱闘と言える戦いを繰り広げていた、装甲が薄いぶんSGの中では速く動けるという所を最大限に活かして、そして決して薄いとは言ってもそこはSG戦術人形タイプ、Ripperの銃弾を物ともせずに接近して、鳩尾に当たる部分を膝蹴り、続けて愛銃の銃口を口に押し込んで
「表情が見れねぇのはつまらねぇが…まぁいいや、くたばれよ!!」
銃爪を引けば赤い華が咲く、本体がそんな事している間もダミー達は淡々と敵をスクラップへと変えていく、とここでM21が気配を感じ急いで振り向いたのと同時に銃声、だがそれは彼女が撃たれたのではなく、彼女に忍び寄っていた【Brute】どうやら一体だけが何処かの戦いから逃れてたらしい、そしてそれを撃ち殺したのは
「観戦してるのはいいですけど、仕事は疎かにしてはいけないのでは?」
「ご、ご尤もです…リーダー、それと顔、血がついてます」
顔を引き攣らせつつ答えたM21に溜息を一つ付く【Gr USPコンパクト】は何処かで誰かを撃ってきたのだろうか見れば微かに顔には『人間の血』が付着していたそれを拭き取りつつ通信機のスイッチを入れて
「なら、いいです。こちら『ヤークト』リーダー、もう帰りますから片付けて下さい」
《ヤークト2、分かりました、はぁ、やっぱりこの展開じゃない》
《ヤークト3、もうなの?まだ食べたり無いのだけど?》
《ヤークト4、リーダーがそう言ったってことはやっぱりこれ最初っから仕組まれてたんだろ?あ~あ、つまんね》
自由な方々だなぁと苦笑いするも隣のUSPコンパクトが微妙に苛立ってる感じな雰囲気を出してるので仕事しよと思考を切り替えて残りの残敵の処理を手伝う、なので数十分後には敵は全滅、そしてそのタイミングで一機のシングルローターのヘリ【シュヴァルベサイレントカスタム】が名の通り限りなく消音された音でピンポイントランディングに着陸、独りでに、そして静かにハッチが開かれ、それぞれが乗り込んだのを確認してからパイロットの【ルガーP08】に伝えれば
「こちら【シュティル】『ヤークトフント』チームを回収完了、これより帰投します」
《こちらメメール、了解じゃ、ご苦労じゃったな》
「いえ、私は皆が暴れてる後ろでこっそりしただけです」
そのこっそりが強烈なのじゃがなとメメール、もとい副官が呟くが彼女は気にする様子もない、別段何を言われようが気にしない、ただ私達はこういった形で活躍してるだけなのでと。
「ではこれより戦域から離脱します、少々飛ばしますのでシートベルトはしっかりして下さい」
と言いつつしっかりと自分でも全員が着席してシートベルトまでしたのを確認してからシュヴァルベを基地へと飛ばし始める。
彼女達は裏でありながら表立って活躍する部隊、名を『ヤークトフントチーム』意味は猟犬、何か少しでも怪しげな依頼が来た際に出動しUSPコンパクト以外が表で暴れ、その裏でその依頼の首謀者をUSPコンパクトが片付けるというコンセプトの部隊。
だがまぁ結局はただの鉄血掃討任務だったりもするので裏であり表でもあるという印象の部隊、今日は偶々当たりだったという話である。
こんな部隊を作ってみたかったという願望
ヤークトフントチーム
騙して悪いが任務の時に出動する罠ごと食い破って罠の主も殺すためのチーム、大体の事前情報はFMG-9がすっぱ抜いているので彼女達はただ暴れUSPコンパクトが仕留める形が基本。
シュヴァルベサイレントカスタム
81式がウィンダムに乗り換えたので余ったこれを再改造、速度は落ちたがステルス性能を特化させたシングルローター機、勿論だが武装は積んでない。