それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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彼女は言う、ただ戦術人形としての使命を果たしているだけだと


優しさの少女

64式7.62mm自動小銃、通称【64式自】この基地の二人目の日本国の銃を所持している人形であり、一〇〇式と同じように少々特殊なスキルを持っている彼女は今現在…

 

「だずげで~ろーち゛ゃ~ん」

 

「誰がろーちゃんですか…で、何がどうしたんですかアーキテクト」

 

突如アーキテクトに泣き付かれ困っていた、が根はとても良い少女である彼女は邪険にするわけでもなくとりあえず話を聞いてあげることにする。

 

という訳で聞いてみれば、その内容に思わず64式自も同情の念を隠せなかった。アーキテクトは自身が開発した例の『わたしのかんがえたさいきょうのばいく(仮)』の最終調整を嬉々として行っていた所にスチェッキンから浄水器、しかも放射線を含んだ水を飲み水に出来るレベルのものを作ってくれと頼まれたのは良いがその期間が

 

「え、その日数でそのレベルの浄水器を作れって!?」

 

「ああ、勿論報酬は弾みに弾ませるよ、だから頼めないかな?まぁ、無理にとは…」

 

「で、出来らぁ!!」

 

アーキテクト、他人に無理と言われると意地でもやり遂げて見せたくなるハイエンドモデル、だが実際彼女の腕と頭脳ならば作ることは出来るので問題にはならない、ではなぜ泣き付いたのか、それは浄水器に付きっ切りになるのでバイクの最終調整が行えないという理由だったからだ、依頼を受けてしまった手前バイクは趣味なので時間は避けない、でも残りは最終調整だけ、どうしようというタイミングで

 

「私が通りかかったと」

 

「お願い!この通りだから、何だったらこの浄水器の報酬の半分あげるから!」

 

「いや、そこまで積まなくても手伝うわよ、バイクも気になるし」

 

「マ!?ありがと~、ろーちゃん」

 

だからその呼び方はやめなさいと突っ込みつつ彼女のラボへと向かいバイクが置いてある場所に鎮座していたのは黒一色のリバーストライクと呼ばれる形で妙に大きい後輪に対して前輪は後輪より一回り小さめのが2つ、全体で見ればシャープな感じだが後ろの方は少々大きめツインマフラー以外は割と簡素、と言うか質素な感じであり前方に行くに連れてゴツくなっている。

 

「じゃあこれが調整マニュアル、分からないことあったら聞いてよ!」

 

「了解よ…さて、始めますか」

 

しかし気合を入れて始めてはみたがマニュアルは意外なほどしっかりしているし、どこも調整いるのこれ?という完成度だったので数十分程度で終わり最後にもう一度点検をしてから、アーキテクトに終了した旨を伝えれば

 

「おお、助かったよ。で、何か問題あった?」

 

「全く見られない、これ一から作ったのでしょ?凄い完成度よ」

 

「へへへ~、まぁ作ったは良いけど名前は考えてないし、私は乗れないしでどうしようかなって部分はあるんだけど…」

 

何で作ったのよと言いかけるがどうせ思いついたからと返されるのは分かっていたので黙っておき、だがこの完成度で名前がないのは少々不憫だと思った彼女はそのバイクを見つめてから

 

「黒鷲、なんてどうかしら」

 

「あえて日本語、いいね。それで行こうか」

 

自分でもらしくないことをしたと思いつつも名付けるということはこうも面白いのねと良くアーキテクトと指揮官が名付けているのを見思い出してなるほどと頷いてからアーキテクトのラボを出て、折角だしバイクで街に出ようかと思い車庫へと足を運ぶ。

 

因みにだが彼女が此処で名付けなかったらアーキテクトが『シュバルツレーヴェ』と付けようとしたのは余談である。

 

愛車である『カタナ』を操り街へと出てきた64式自は愛車をグリフィンが経営する車庫へと止めてからのんびりと街を歩いていた、思えばこうして一人で街を散策はしていなかったと今になって思ってたりする、最近は落ち着いたとは言え最前線だと言うのに活気あふれ割と治安もいいこの街、この光景に彼女も思わず笑みがこぼれた時と同時に前方から女性の悲鳴、聴こえたと同時に彼女は意識を集中させればカチンと時計の長針が動くような音が電脳に響き、彼女にとある光景を写す。

 

(ひったくり、前の路地から、三秒後!!)

 

見えた光景を参考に駆け出せばドンピシャのタイミングで見えた光景の路地から男が現れその手にはバックが、間違いないなと判断してから64式自は男の前に即座に躍り出れば、ひったくり犯は驚愕の表情を浮かべて怯む。

 

無論、その隙きを逃す訳もなく彼女は即座にひったくり犯を地面に抑えつけ捕縛、あとはバックを持ち主の女性に返すだけと言うタイミングで、今度はチチチチと秒針が動き続ける音、そして見せられた光景は

 

(10秒後、女性で隠れてるけどその後ろ、狙いは…ちっ!!)

 

見えた光景とこの音が鳴る時はマズイ時だと経験上知っている彼女は捕縛した男を気絶させてから腰に挿してあるサイドアームの【9mm拳銃】を抜いて路地からこちらに駆けてくる女性へと駆け出して即座に女性を自身の背中に回して即座に発砲、そこにはスタンガンを構えた男が居りだが彼女の射撃で取り落としそこを先程のひったくり犯と同じように気絶させてから捕縛、そこで息を吐き出す、どうやら二人組のようで片方がひったくり女性がそっちに意識が向かっている間にもう片方がスタンガンで気絶させて襲うと言う犯行の常習犯だったらしい。

 

彼女の特殊なスキル【未来予知】予測ではなく予知である、これは意識してでの発動はせいぜい数秒先の未来しか見れない程度だが、自身や誰かしらの危機の時には自動で発動し十数秒近く先の未来を見せてくれる、のだが後者の場合だと

 

(いっつつ、ああ、もう、これだから10秒から先は見たくないのよ)

 

電脳がオーバーヒート寸前まで行くらしくかなりの頭痛が彼女を襲う、側では先程助けた女性が感謝の言葉を告げるが今の64式自にはそれすらも頭痛の種になるのでハンドサインでそこまでのことはしてないと告げてからそっと側を離れ近くのベンチに座り込む。

 

別段、これに関してはもうそれなりに付き合いがあるので文句はないのだが、一度頭痛が起きると10秒近くはこの調子なのが辛い、が

 

(まぁ、あの女性に怪我は何もなかったみたいだし、荷物も無事だったから文句はなしね…)

 

64式自、彼女は誰よりもは言いすぎかもしれないが優しい少女、今日も基地の平穏と町の人々が平和で過ごせるようにと祈っている。




64式自ちゃんの未来予知のイメージって某時の王者Ⅱのあれな感じ、見えたお前の未来がとか言い出さないけど。

アーキテクト製品紹介コーナー
『黒鷲』
いつぞやの『わたしのかんがえたさいきょうのばいく』の完成形、とにかくバイクとして以上の性能を詰め込み、自衛手段も打ち込んだ欲張りバイク。
アーキテクト曰く、備え付けられた機銃は装甲兵とかじゃなければ蜂の巣に出来、ボタン一つで前輪の装甲部分がソードとして展開され、その切れ味は装甲兵を紙のように斬れるとのこと、だが機銃はまだしもソードは使うのかと疑問がある。
無論、小回りも最高速度も燃費もバイクとしては破格であり人形であれば難なく操れるだろう。

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