それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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のんびり出来る空間は大事


穏やかに過ごす

パラ、とページの捲る音が部屋に響く、ここはAR小隊の隊長【M4A1】の部屋、毎回何かと変なものに巻き込まれるM4だがあれは全体で見れば稀な方であり、普段のオフ時の彼女はこうやって部屋で本を読んでいたりすることが多い。

 

彼女が読むのは基本的に童話と呼ばれるもの、本であれば何でも読むには読むが彼女は好んで童話を選んで読んでいる、今日彼女が読んでいるのは『赤ずきん』

 

「…」

 

こんな世界だから、こうやって空想に物思いに耽る、現実のことは何も考えずに本の中に広がる世界にのめり込むのを楽しむのが彼女の数少ない楽しみであり、何かと気苦労が多い彼女の癒やしの時間である。

 

赤い頭巾を被った少女『赤ずきん』がお使いを頼まれて森の向こうにあるおばあさんの家に向かうのだが途中で悪い狼に唆されて寄り道はしないようにと言われていたのに道草をしてしまい、その隙に狼はおばあさんの家に先回りしておばあさんを食べてしまい成り代わり、その後来た赤ずきんも食べてしまうが通りかかった猟師が救い出して赤ずきんは言いつけを守らなかったことを反省して良い子になる。

 

何ともまぁよくあること話なのだが、そこでふと思った…この作品を指揮官達に当て嵌めたらどうなるのだろうと

 

(先ず、赤ずきんは指揮官ですよね。次は母親…G36?)

 

お母さんなG36を想像してあまりに似合いすぎて少し笑ってしまう、きっと不安で不安で仕方ない感じで絶対に寄り道はしないようにとか言いつけるんだろうなぁと思えばフフッと遂に声が漏れてしまう。

 

と此処までは即座に浮かんだし、続けておばあさん役だってすんなり浮かんだ、だがそこでふと思考が止まる。

 

(…おばあさんは副官ですよね?だとしたら狼は?)

 

マズイ、該当者が以外に多い癖にいざおばあさん役の副官を食べてしまうという場面になったら、思ってしまったのだ、あれ?食べられないぞこのおばあさんと

 

どう転んでも食べられないのだ、何だったら相手によっては返り討ちにすらしてる場面すら浮かぶ

 

(AR-15、無理。57、不可。FAL、駄目だ。あれ、副官を食べれる狼役って適任居ないのでは?)

 

いや、そもそもどうして急にこんな事を真剣に考えているのかと思ったりするが、しかし考え始めた事なので止めたりはせずに真剣に考えて、出した結論は

 

「あ、M16姉さんなら何とかしてくれそうですね」

 

「クシュン!?」

 

何処かで誰かがくしゃみをする音が聴こえたような気がするが彼女は気にせずに、寧ろ姉さんなら食べれそうだとか割と失礼なことを考えながら続けて猟師は勿論

 

(PPKですね、あれ、これで劇一本行けるんじゃないですか?あ、いや、指揮官が苦手でしたね…)

 

と言うよりだから何でそんな話になっているんですかと赤ずきんを閉じて本棚に仕舞い、次に何をと眺めていれば、目についたのはシンデレラ、だが内容の配役は考えずに思い浮かんだのは綺羅びやかなドレスに着飾った指揮官の姿。

 

普通に想像して非常に似合うのだが、それでもとM4はあの時の光景を思い出す。

 

(ウェディングドレスのときの指揮官には敵いませんね)

 

あの時の彼女は誰よりも何よりも輝いており、見ていたM4も思わず見惚れてしまうほどであった。それを思い出しつつ本を読むのは今日は此処まででいいですかと考えて部屋を出て基地をのんびりと歩き出す。

 

何をするわけでもないのだがかと言って部屋から出たのに何もしないのは少々もったいない気がした彼女は何気なく中庭の方面に向かう、珍しく誰も居ない中庭、折角なのでと座り込んでグッと一つ伸びをしてから空を眺める。

 

(今日も、良い天気ですね。この時間だとネゲブ達が洗濯物を干しているんでしょうか)

 

まぁよく乾くでしょうねと呑気なことを考えて居るが屋上では現在、割と戦場になっていた、と言うのも洗濯物を干しているあそこはかなり大きめな広場なので、そうとなれば遊びたい人形が駆け回るのだ。

 

今日もG41、P7、スコーピオンとがワイのワイのと遊んでいるのだが、それをネゲブが許すわけもないので

 

「あんた達ねぇ!!今干してるの!?理解してる!!!」

 

「やっば、ネゲブがガチ切れしてるじゃん!!」

 

「だからここで遊ぶのは危険だって言ったじゃないですか!」

 

「馬鹿ね、こっからが本番よ!ほら逃げなさい!」

 

P7の号令でバッと散った三人、そしてそれを追いかける本体ネゲブと黙々と洗濯物を干すダミーネゲブ、しかし機動力の差はあったはずのこの戦い、最終的に勝利したのは

 

「次、こんなことしたら問答無用で指揮官に報告上げるから」

 

「「「ごめんなさい…(です)」」」

 

何故か勝利できたネゲブに正座させられる三人、今日も屋上はそれなりに騒がしいのだがそれを知る由も無いM4はゴロンと思わず転がれば視界によく見慣れた顔が写り、思わず小さな悲鳴を上げて飛び起きる。

 

起きて体制を整えてからそっちを見れば、あんな反応されて私少し怒ってるよという顔をしているSOPMODⅡ、どうやら中庭で珍しく寝転がったM4を見て近付いてきていたらしい。

 

「ご、ごめんなさい、気づかなかったので」

 

「まぁ此処は気持ちいいからね、仕方ないか」

 

と呟きつつSOPMODⅡは寝転がってニャハハと笑う、楽しげなそれを見ていれば何だからこちらも楽しげになってくるのが不思議であると同時に、これが彼女の良いところですよねと微笑んでからM4もゴロンと再度寝転がってみる。

 

風が頬を撫で、周りに植えられた花の香りが彼女に届き、なるほどここでIDWがよく昼寝をしている訳ですと納得した所で不意に眠気が襲ってくる、確か昨日は休日前だからと遅くまで本を読んでいましたからねと自己管理の甘さに少々笑いつつ、折角だからとその微睡みに体を預けてみれば、直ぐに意識は落ちていき

 

「んっ…」

 

「お、起きたかM4」

 

「姉…さん?」

 

次に意識が覚醒した時、彼女の耳にM16の声が届いて、それからゆっくりと覚醒してきた頭が膝枕をされていることに気付けばバッと起き上がりそうになる、がそれをM16は優しく止めて

 

「もう少しゆっくりしてるといいさ」

 

「で、ですが」

 

「偶にはさ、姉らしいことさせてくれってことだよ」

 

その言葉を口にしたM16の顔が少々赤かった、だがそれは聞いたM4も同じであり、それと同時に今日くらいは良いかなという感情が出てきたのでM4は起きかけた頭をもう一度M16の膝枕に沈めて

 

「じゃあ、お言葉に甘えます」

 

「おう」

 

隣でSOP達AR小隊が見ていることには気づかずにM4とM16は暫く二人の時間を過ごして居たとさ。




M4姉貴単品って久しぶりでは?という話でした、はい。

出てくる度に主婦ムーブが捗るネゲブとか言うMGが居るらしい

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