それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
病室、当然なのだが指揮官は未だそこで安静にしていた、無論絶対安静なので好き勝手動くこともできずに出来ることと言えばお見舞いに来てくれて話し相手になってくれる人形達も居るのが彼女たちだって業務がありずっとという訳にはいかない。
更に言えば少し前だったら書類仕事も出来る範囲で行っていたのだがある日ヘリアンが短時間とは言えお見舞いに来たのだがその時は書類仕事が片付いたタイミングもあって、ベッドに備え付けられたテーブルで書類を片付けていたのだが、それを見た彼女はただ一言
『仕事をさせるな』
と上司命令が下ってしまったが為に翌日からは悲しいかな、彼女が入院中に限り書類仕事すらも取り上げられてしまったのだ。
「では、AR小隊もそろそろ任務に行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
ペコリとM4がお辞儀をしてから病室を出ていく、それを見送ってからM4が指揮官が暇にならないようにと置いていった本を一つ手に取り読み始める、この様にお見舞いに来てくれた人形の中には彼女が退屈しないようにと何かしらを置いていく者も居るには居る。
がお見舞い品だけで暇が潰し切れれば良かったのだが残念ながらそううまくは行かないのがこの世界、突然パタンと本を閉じたかと思えば……
「あ~、暇」
「そう言っても駄目ですからね」
「車椅子で基地の中……」
「しても良いですが、それで傷口開いたら今度は一ヶ月此処にいてもらいますよ?」
なんとかPPSh-41を説得しようとしてみるが結果はご覧の通り惨敗、と言うより元から医者と患者という立場の時点で彼女に勝ち目などないのだが、ともかく玉砕してしまった指揮官は膨れっ面になりながらゴロンとベッドに横になる。
彼女とて分かっているのだ、そもそも自分のあの怪我はかなり危うかったと理解しているし、まだ手術から日数はたってないので下手に動けば傷口がまた開いてしまうというのもPPSh-41からそれはもう二度と忘れないだろうと言うレベルで言い聞かされたので、それを破ろうものならどうなるかは分かっている。
(でも、暇なものは暇なんだよね~)
当初は一日グダグダしても良いんだとか思っていたがいざしてみればこれである、やはり人間は暇には勝てないというのだ……このままじゃ暇すぎてダメになると考え始めた時、扉がノックされ、聴こえてきた声は
「RFBだよ~、今はお見舞い大丈夫?」
「あ!うん、いいよ!」
んじゃ失礼しま~すと現れたのは少々不思議なAR人形の【Am RFB】どうやら指揮官のお見舞いに来たようだがその手には彼女の見慣れない機械が握られていた。
それを見れば指揮官がはて、なんだろうあれはとなるのは当然であり、それを向こうも理解しているのでRFBはニッコリと笑いながら、彼女の前でその機械のスイッチを入れようとして、その手が止まる。
「……?どったのRFB?」
「ごめんごめん、ちょい待ってて、ペーシャ医務長~」
「医務長って……ええ、良いですよ、ただあまり長時間は駄目ですからね?指揮官は初めてで慣れてるわけないんですから」
何やら確認を取ってからお待たせとばかりにその機械の側面に付いてあったスイッチを入れれば、ピコンという軽快な音共に画面が映し出され、そこにはデフォルメされたキャラがステージを駆け抜けていくさまが映し出されるではないか。
テレビで見るのとは違う、前にアーキテクトが教え見せてもらったアニメとも違う感じの絵柄のキャラが画面内で動いてるその様子におぉと目を少々輝かせてRFBに説明を求めれば
「これはコンピューターゲーム、ほら、この基地のレクリエーションルームにもこれより大きな機械で画面にこんな感じのキャラか、もっと等身、ああ、身長のことね。それが大きなキャラが動いてるの見たことない?」
言われ思い返してみれば、確かにそんな機械があって何かが戦っていたのをなんだろうこれで見つめていたことを思い出して、それを伝える。
「そうそう、それが私達が言うゲームってやつ、んでこれはその機械を此処まで小さくして持ち運びを便利にしたってやつだよ、しかも性能は変わらないどころか上がってるんだから凄いでしょ?」
「確かに、前見たのよりもキレイな画面だね、もしかしてこれやっていいの?」
「おうとも、そのために持ってきたんだからね~、しかもそれは協力プレイってのも出来るのだから私も勿論やるよ~」
「おー!!」
と言っても複雑な操作を要求されるゲームは初心者以前に触ったことないという彼女には厳しいのでRFBが選んだのは無難も無難な一等身のキャラがジャンプとダッシュ、それとパンチとキックで敵を倒していきステージを攻略していくだけの横スクロールアクションゲーム。
しかし、そのシンプル故にプレイ始めた時は穴に落ちたり、ダッシュのしすぎで敵に衝突したり等などの初心者あるあるなミスを連発していたがそれでも楽しげに笑いながらゲームを続ければ、気付けば
「……いやぁ、指揮官の飲み込みの速さは凄いとは聞いてたけど」
「うりゃ、えい!」
「まさかモノの一時間で裏ステージ攻略まで行っちゃうか~」
確かに難易度は決して高いゲームではないのだがそれでも全くのゲーム初心者がやりだせば数時間は苦戦するであろう物を彼女はあっさりと飲み込み、今ではRFBでもすんなりとクリアとは行かない裏ステージと呼ばれる中々の難易度のそれを指揮官は苦戦しつつも着実に攻略していくほどの腕前になっていた。
これにはRFBも驚きを隠せない感じと同時に、他のジャンルやゲームをやらせたらどうなるのだろうかという欲求も現れれば
「ちょっと大丈夫、指揮官?」
「ん?えっと、これでポーズっと……よし、何RFB?」
「ゲームは楽しいかい?」
「うん!すっごく楽しい、アーちゃんが偶にレクリエーションルームでのめり込むようにやってた理由がわかるよ」
まさかの指揮官からの情報に今度見つけたら巻き込もうと考えるRFB、だが今はそれが本題ではないので片隅にでも押し込めておき
「じゃあさ、今度は別のやつも持って来てあげるよ、多分、楽しめるよ」
「本当!?じゃあ、楽しみにしてるね!」
ハッハッハ、これでゲーマー仲間を獲得~と呑気に思ってたその時、何故か背中が急に寒くなったなと思い振り向けば、そこにはとてもいい笑顔の副官の姿。
その後どうなったかはあえて語らないでおこう、しかし以後は決められた時間だけとは言えRFBが持ってくるゲームを楽しむ指揮官の姿が見られるようになったのは言うまでもないだろう。
という訳でやっときましたゲーマーAR、その内にハイパームテキゲーマーとかになりそう(鉄血終了)
因みにユノっちがプレイしてたのはマ○ティアクションをイメージしてもらえれば、任○堂とかの方面ではない