それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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秘密は甘美なものだからね、だからこそ恐ろしい死が必要なんだよ


お仕事してたVectorさん

足音はなく、だが誰かが廊下を歩いているのは確かな深夜の基地、この時間帯となれば大体の明かりは消され灯されるのは非常灯位であり、そしてそれが照らし出した正体はVector。

 

何処からか帰ってきたのだろう彼女の肌には所々に傷が見え隠れし、暗がりではわからないがよく見れば服にもそれなりに損傷しており、そして何より彼女の纏っている雰囲気が普段のそれではなくて任務中の空気になっているという点でも彼女は今日までに何かしらと戦闘を繰り広げていたのだろうと推測ができるほどであった。

 

「今日まで、何処で何をしておったのじゃ?」

 

誰にもバレないように自室に向かっていたつもりだった彼女の進行方向から声を掛けられ見れば壁に背を預けた姿の副官、それと廊下中央にはG36の姿もあり手には救急箱が、どうやら完全にバレていたようだとVectorはため息を吐いてから

 

「……ハイエナ狩りよ」

 

「ハイエナ、か。それにしては随分とやられたようじゃな」

 

「こちらへ、応急処置で構いませんよね?」

 

ササッとベンチに座らされたVectorは一瞬だけ断ろうかとも考えたがそうはさせないとばかりにG36が手早く処置を始めてしまえば動けなくなり彼女の質問に答えてから大人しくすることにした。

 

彼女が言うハイエナ狩り、それは極単純にあの報復時に殺した違法業者、この際だから言ってしまえばはぐれでも何でも人形を捕らえて『そういう行為』を強制させていたあの店、どうやら他にも存在し、しかも妙に義理が良いのか知らないがボスが潰されたことであちらでも報復の為に動いていたのを彼女は独自の情報網で握り、人知れずに処理していただけである。

 

「言えばわしらが動いたが?」

 

「馬鹿ね、こんな短期間に連続してあなた達(暗 部)が動けるわけないじゃない、流石にあんな派手に動いた後じゃヘリアンだって許さないわよ」

 

「む、まぁその通りではあるが……」

 

流石に被害が再度出れば話は変えてくるでしょうけどと付け足したが現実問題Vectorの言う通り、今暗部が実行部隊は丸々動けない状況である、流石にS06地区の二箇所で大規模な報復はかなり大事であり、しかも隠れ家の方はまだしも基地の方はかなり酷いことになり未だ処理が終わっていないという、なので打って出るというのは出来ない。

 

もしできるとすればそれはまた指揮官に何かがあった、もしくは基地そのものが襲撃にあったなどの被害が出てからである、しかしVectorはもう指揮官に心身両面で負担をかける訳にはいかないかと判断して、単独出撃、こうして今日終えて帰ってきたという話である、が副官にも流石にこれは理解できる、決して彼女一人で行った作業ではないということをなので片目だけ開いてVectorを見据えてから

 

「して、お主一人ではあるまい、どんな手品使ったのじゃ?」

 

「……ちょっと、私が組織から本社に保護されてから少しだけ裏側で働いてる時の伝手よ、安心していいわ、信頼できる所だから」

 

「名は、開かせないと言った感じですね」

 

まぁ、一応これでもそういう暗黙の了解みたいなのは守らないといけないからねとVectorが言えば、副官もG36もそれ以上は聞かない、彼女たちもこの世界での生き方は心得ているのでヘタに突いて面倒事に発展させたくないというのは理解できたからだ。

 

少しの沈黙、破ったのは副官だった、というよりたった今思い出したと言った感じの表情をしてから処置を丁度終えたVectorに

 

「しかしまぁ、丁度いいタイミングで帰ってきたのじゃ、いや、寧ろこれ以上遅かったら色々危うかったかもしれぬ」

 

「何かあったの?」

 

「うむ、指揮官がお主を意識戻ってから見てないということを気にしておった」

 

それを聞いたG36はああ、確かにそんな事言ってましたねと続けばVectorもこれには流石に時間を掛けすぎたかと苦笑を浮かべてしまう、彼女が動き出したのは指揮官が刺され報復が終わった翌日、なのでかれこれ数日は基地を離れていたので勿論お見舞いも行ってない、結果的に指揮官だって鈍くはないので何かあったのかと気になりだしていたのだ。

 

「明日、顔を出しに行くわよ」

 

「お願いしますね、もし何かあったのかと聞かれても私達も知らないので基地総出で捜索になるところでしたから」

 

それは困るわねと告げてから、ベンチから立ち上がり体の調子を確認してから二人にお礼を伝えて自室に歩き出そうとした所で、ピタッと足が止まった。

 

どうしたのかと副官とG36も少々心配になりつつ見つめれば、振り向きニコリと笑ってから口を開こうとするが急に真顔になり悩む素振りを見せてから

 

「……あら、浮かばないわ」

 

「なんじゃお主」

 

「疲れているのでは?ごゆっくり為さって下さい」

 

そうね、そうするわと今度こそ自室に帰っていったVector、それを見送った二人も若干疲れた感じに息を吐いてから副官は自室に、G36は借りた救急箱を返すために医務室へ。

 

だがVectorは戻ったと言って就寝するわけではなく、机に向かい、一台のノートPCを起動させパスワードを打ち込んでからモニターに例の黒い球体に猫耳を生やしたアイコンと白の背景に眼だけが両目だけが描かれているアイコンが表示される、これははFMG-9とヴァニラの裏で活動する際に出す顔『アリババとメジェド』としてのアイコンである。

 

《おかえり『マリア』その様子だと無事に終わらせたようだね》

 

「ええ、あの時の伝手が此処まで役立つとは思わなかったけど」

 

《よく言うわよ、あんなレジェンド引っ張り出された時は本気で驚いたわ》

 

でも有意義だったでしょと微笑みながら言えば二人からは苦笑を返される、その後は簡単に互いに情報交換を行ってから、漸く床についた。

 

翌日、副官との約束通り医務室に顔を出せば、指揮官もそろそろ心配にはなっていたようでVectorを見るなり

 

「あ、Vector!今まで何処に居たの?」

 

「ごめんなさい、少しだけ基地から離れての警戒任務に勤しんでたのよ」

 

それなら仕方ないかと納得された(PPSh-41は微妙な表情をしてVectorを見つめているが)のを確認してから、副官にも通していた話を彼女にもすることにした、その内容は

 

「他PMCと……模擬戦?」

 

「ええ、防衛戦の経験値もそろそろ得る必要があるかもしれないと思ったのよ」

 

『武器庫』というPMCとの模擬戦闘訓練の誘いだった。




そういや暗殺未遂事件から一度も出てねぇなと思いVectorさんを書きました。

あ、次回、コラボ回です!!
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