それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ヴァニラとスプリングフィールドの距離感が微妙になってしまったがかと言って何かお節介が焼けるわけでもないし、それにそこは大人の二人、だからといって業務などに支障を出していないため一応そっとしておこうという総意になったというのはまぁ今回の話とは関係のない余談である。
指揮官の自室、伴侶たるPPKを起こさないように慎重にベッドから降りた指揮官は自身の机の上に大事に置かれていた木製の箱をじっと見つめていた。これは隣の基地のガンスミスが彼女たちの結婚祝いとして送ってきたもので中身は銀色に磨かれた【PPK】渡されたその日は自分にまだその覚悟がないと言って仕舞ってしまったもの、だが
(そろそろ、覚悟を決める時、だよね)
人も人形も、良いも悪いも全て受け止め、自分の目で、頭で考え接すると決めたのだから、だけどその場合、必然的に悪意と相対する場面が増える、ならばもう迷ってる時間はあまりにないと。そう決心して箱をゆっくりと開ければ銃は待っていたとばかりに磨き抜かれ鏡のように彼女の覚悟を決めた瞳を映し、それを祝福するように光を反射させる。
あの日見たとは言え、改めて見るとその芸術品のような出来栄えに思わず息を呑み、それから落とさないように丁寧に丁寧に箱から取り出して……そのタイミングで伴侶のPPKの目が覚めて隣に指揮官が居ないことに疑問に思いつつ身体を起こして視線を動かしてギョッとする。
彼女の視線からは指揮官が真剣な表情で結婚祝いの銃を手に持ち見つめている光景、思わず最悪を想定してしまいまだ朝早いというのに彼女は
「ユノ!!??」
「ひゃああああああぁあああ!!!?????」
「な、何事ですか!!??」
迫真の表情で彼女を呼び止めようとするPPK、急にそんな声で呼ばれて驚きの声を上げる指揮官、そしてその2つを偶々聞いてしまったG36が扉が壊れるのではないかという勢いで現れたのだが彼女が思っていたのとは全然違う光景に一体何が?となる。
そしてそれはPPKも同じであり、更に言えば指揮官だって何が何なのか理解していない、つまりこの場に居る三人全員が状況を理解しておらず、とりあえず出た結論は
「えっと、どうしたの、PPK?」
「え、いえ、その……思い詰めて、たわけではないのですか?」
思い詰めるって何を?と返せばそこで自分が恥ずかしすぎる勘違いをしていたと気付いてシーツに顔を埋めて小さく呻き声を上げてしまう、G36もどうやら自分が考えたことではないと安堵の息を吐いてから、未だに銃を持ってキョドっている指揮官に近付いてから一礼をしてから
「所でお嬢様、その銃はどういうつもりで?」
「あ、うん……もう、覚悟を決めたからさ、そろそろ練習しておこうかなって」
「なるほど、そういうことでしたか。申し訳ございません、私としたことが少々早とちりをしてしまい騒がしくしてしまいました」
「ああ、いや、それは良いんだけど、PPKは大丈夫なの?」
「聞かないでくださいまし……」
立ち直れるのか分からない程に自分の勘違いを恥ずかしがるPPKに指揮官は何だから珍しいもの見てるなぁと呑気に思い、G36は軽くため息を吐く、結局PPKが復活できたのはそれから5分ほど経ってからだった。
彼女が復活後、食堂で朝食を済ませてから副官も呼んで今は四人で射撃所まで向かっているが途中
「それにしても朝起きたら指揮官が銃で自殺を図ろうと勘違いした、か。呵々、本当に大切に思っているのじゃなぁPPK?」
「本当に申し訳ございません……あたくしはなんでそんな勘違いを」
「いやまぁ、今まで開けもしなかったのに急に握って考え事してたからそう思われても仕方ないとは思うけど」
「そうですね、お嬢様だと考えられなくもないという側面もある以上PPKの気持ちも非常にわかります」
G36の本気の共感にまたあの時を思い出して顔を赤くするPPKに副官がまた呵々と笑い、指揮官は気まずそうに頬を掻く、そんな面々が射撃場に着くとそこには先客が居たのだが、何とも珍しい人物だった。
「アーちゃんに、RFB?」
「何やっておるのじゃあの二人」
RFBにより沼に落とされたとも言うのだが最近になり何かと一緒にゲームやらアニメやらで意気投合したらしい二人だが、今はゲームとかではなくアーキテクトが自信満々の笑顔でその手に見慣れない形の大口径リボルバーを両手で握ってRFBがその近くで見ていた。
「いよいよだ、いよいよ私達の夢の一歩が始まる!」
「そうだよアルっち!さぁ吠えろ【ブルーローズ】!!」
意気揚々で銃爪を引いたアーキテクト、尚、ブルーローズは無事、1発発砲しただけで破損し二人は肩を落とした模様、その後二人は四人に気付いて挨拶をしてから破損したブルーローズの修復と改良の為に整備室に向かった。
とまぁそんなイベントが起きたがそもそもの目的は指揮官の射撃訓練であり、準備をさっさと済ませてから位置につく
「確か前にM9から教わっておったよな?」
「うん、だから復習に近いかも……まぁリロード?とかは全然だけど」
「今回は目のアシストがどれほどのものかの確認とそのリロード、後はホルスターにしまった状態からの構え、その三点に絞りましょうか」
その方が良いじゃろうと副官とG36も頷いたのを確認してから指揮官はPPKが出したターゲットに狙いをつけて前に教わった通りに銃を構え、一つ呼吸を置いてから撃つっと意識をして瞬間。
(この感覚、これって射撃アシストの所為だったんだ……でもこれなら問題ない、行ける!)
パァンと銃声が鳴り、身体はあの時と同じ様に衝撃を逃してターゲットの中心点には綺麗な穴が空き、命中したということをその場全員に知らせる。
此処まではM9からの報告通り、だが問題はここからだと三人が指揮官を見れば、ケロッとした顔で今しがた自分が銃爪を引いた銃を見つめて
「は、反動?リコイルだっけ?あれってこんなに軽いんだ」
「問題、無さそうですわね?」
「ふぅ、人間用とは言え両目からアシストが働くからどうなるかと思ったが一先ずは安心じゃな」
「ではお嬢様、一度マガジンを抜いてみてくださいませ」
指示された指揮官は『慣れた手付きで』マガジンを抜き出してG36に見せる、その一連の流れがあまりに綺麗すぎて逆に違和感を覚えた彼女は、続けてホルスターに挿してあるリロード練習用のマガジンを入れてみてくれと指示されれば、こちらも『慣れた手付きで』行い最後にはキチンとスライドを少し引いて元に戻してみせた。
「……お嬢様、その行動は何処で?」
「え、あれ、そう言えばなんでだろ、もしかして他の誰かがそうやってたからかな?」
彼女の言葉に一先ず納得したふりをしておくG36、だが彼女は、いや、他の二人も同じことを思っていた、どうやらこの眼はまだ何か機能を隠しているかもしれないことを……だが特に何か悪影響が見られないのでその後も射撃訓練は行われ、もう少し訓練は必要だが彼女の基本装備に【ワルサーPPK】が追加されることになった。
まぁ、彼女は人間用に漸く調整された射撃アシストが両目にあるから後は無力化射撃を覚えると普通に実戦レベルに使えると言うね……
アーキテクトとRFBの悪巫山戯製品コーナー
『ブルーローズ』
デビルメイ○ライのネロが使ってるあれを彼女が再現してみようとした代物、結果は本編の通り、まだまだ完成には程遠かった模様