それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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PPSh-41のスキン開放ストーリー(大嘘


医師として、祝福と心配

人形の妊娠、母の日にペルシカの所に向かった指揮官からの話で出てきたこの話題にまず初めに食らいついたのは医務長PPSh-41、忘れがちだが彼女はこの基地に来る前にそれなりに大きな病院にて警備と手伝いとして勤務していた時があり、その時に妊婦のカウンセリング、診断、更には出産の立会いも経験している。

 

そんな彼女初めて聞いたのは医務室に副官が来た時だった、何やら真剣な表情の彼女に何かあったのかと思えばD08地区の人形二人が妊娠したらしいという話にポカンとした顔をしてから

 

「……まさか、あれがもう確立してた、と言うことですか?」

 

「なにか知ってるおるのか?」

 

副官の疑問の声に一つだけ聞いたことがと席から立ち、棚を開いて一冊のファイルを取り出してから副官の前に出されたそれに書かれていたのは【人工受精卵計画】受け取りパラパラと内容を斜め読みしていけば書かれていた内容に彼女の視線が鋭くなる。

 

確かにこれが軌道に乗ることができれば人類の人口の回復は進むだろう、しかしあまりに不確定要素が多すぎると言うのが素直な感想だった、だが最後のページの一部を見て思わず驚愕する。

 

「……2017年じゃと?」

 

「凄いですよね、まだ第三次世界大戦よりも前にこの理論が考えられていたんです、ですがまぁ必要ではなかったのかその後にこの話が出てきた痕跡はなく、第三次世界大戦後に人口が激減、人間が人間を生むというサイクルがこのままでは難しいと判断したIOPがこの論文を再発掘、人間が人間をではなく、人形が人間をという新たなサイクルを生み出すことで人類の人口の回復を図ろうと考えたらしいです」

 

「ペーシャ、率直の意見を聞きたい、どう思う?」

 

「それは、彼女たちに関することですか?それともその技術そのものにですか?」

 

「後者じゃ、前者はわしらがとやかく言った所で仕方ないじゃろうて」

 

それは確かにそうですねと少し笑ってから、直ぐに真剣な表情に戻してから返されたファイルを何度もパラパラと捲りつつ考えて、数分の沈黙の後にパタンと閉じて副官に視線を戻して

 

「人類から考えれば成功し安定すればこれ以上にない最適解だと思われます、しかも人形から見ても心から愛してる者と形を為せる、そう考えれば双方に利点が重なり悪くはない技術ではあると思います」

 

「じゃがそれは何も知らない第三者からすればと言うのがつくな?」

 

副官の言葉に小さく頷いてから、今度は『医者』としてのPPSh-41として眼を鋭くし論文が書かれたファイルを見つめつつ、二三トントンと机を指で叩いてからゆっくりと口を開く。

 

「先ず、この技術はまだ未完成のものだとは思います、ペルシカさんが参加したとしてもこればかりは一朝一夕でどうにかなるものではないですからね」

 

「だが実際に二人は妊娠したじゃろうて」

 

「もしかしたら妊娠するかの実験は既に終えていたものと思われます、でも出産までは行けなかった……?」

 

カタン、とボールペンを一度叩く、呟いてから発生する推測を頭の中で整理しつつ間違いなく彼女たちが妊娠する前に何らかの形で実験はされているはず、と。

 

確か何時だったかFMG-9が一度だけD地区で薬がLabから配布されたから何か知らないかと聞かれたことがある、その時は皆目検討もつかないと答えたが今に思えば、あれが妊娠のキーだったのではと推測が出来る。

 

「駄目ですね、今考えても仕方ないことですし……すみません、突然こんな話をしてしまって」

 

「いや、お主ならばなにか考えるのも無理はなかろうて」

 

「こればかりは性ですよ、話題を戻しましょう。周りの思惑がどうであれ妊娠は祝福するべきことなのは変わりません、が彼女たちはここからが大変ですよ、何もかもが初めて、そうなれば自覚できるできない別として妊娠というのは不安が募るものですよ」

 

最初こそは嬉しい、幸せと感じますが段々と様々なことに不安やストレスを感じ始め次第に追い詰められていくこともよくあることですとデスクの引き出しから紙を一枚取り出して何かを書きつつ語る彼女の目は仕事状態になっていることが副官から見て分かった。

 

「更に言えば人間の妊娠とは勝手がかなり違います、人形の身で赤ん坊が育ち、そして五体満足で生まれてくれるのかというかなり重い物を感じてしまう筈……ですがこの場合、その不安をパートナーに話す、もしくは身内の誰かに相談する、それは為難いものなのです、勿論話せる人も居ますがね」

 

「弱気なところを見せたくはないとか言う感じか?」

 

「それもありますし、それだけでもない、と理由は様々です、だからこそ医師たる私達は出来るだけ彼女たちの不安を取り除くために診察をし、相談に乗り、時にはカウンセリングも行います」

 

スッと出された紙を副官が受け取れば書かれていたのは417とヴィオラに宛てた今回の妊娠のことに対する祝電、そして簡単な心構えにアドバイス、最後には彼女個人の連絡先と『私はいかなる時もあなた達の味方であり、何時でも不安を感じた時は連絡を、往診も遠慮なく』と直筆でも優しさを感じられる文字で書かれていた。

 

「往診もか、大丈夫じゃろうな?」

 

「無理しないかとかですか?平気ですよ、ここはまぁ人形の利点ですよね……ともかくこれを彼女たちに送ってあげて下さい、疑われるようなら医師免許でも叩きつけてあげますよ」

 

「呵々、うむ、今日にでも送っておこう。FMG-9にも情報をかき集めアリババ名義で送らすか

 

最後に何やら呟きながら副官が出ていったのを確認して、PPSh-41は席を立ち医務室と繋がっている自室に入ってからクローゼットを開く、そこには白衣と白のカッターシャツ、黒のスーツパンツが掛かっておりそれらを丁寧に取り出して着替え最後には帽子を取り姿見の前に立てば映っていたのは言われなきゃPPSh-41とは気付かないだろう彼女の姿。

 

「久し振りにですが、今後はこれで活動しましょうかね?」

 

これは彼女が病院時代に人形だという理由で診察拒否などが相次ぎ苦肉の策としてこの姿になってみれば中々気付かれなかったのでそのまま仕事時の衣装にしてしまった格好、思いの外彼女も気に入っていたのだがこの基地に来てからは普段の格好だったのでかなり久し振りにこの姿になったのだ。

 

理由は気付けばこれが験担ぎみたいなものになっていたからと外に出るならこの姿の方が格好が少しはつくでしょと言う少しの茶目っ気である。が指揮官に見せた所彼女も大層気に入り、この基地のPPSh-41だと分かりやすくなるから良いのではと副官の声も合わさりこの基地の彼女の服装は今後はこれで固まることになったとさ。




まぁD地区でめでたいお話来たから、医師としてのPPSh-41が支援に入りますよというお話

あともうこの基地のPPSh-41が色々凄いことになったからって遂に衣装まで変更しました。

PPSh-41
『医務長の姿』
トレードマークの帽子を取り、黒のスーツパンツを履いて、白のカッターシャツを着て白衣を上に着ている、この基地の彼女だと分かるように名札を見える位置につけておりこれで一応自分が戦術人形だと示している。

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