それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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というサブタイトルだが中身は唯の日常


末っ子シャフトちゃん

「……んんっ」

 

指揮官の自室から4つほど離れた部屋、最初の頃は唯の空き部屋だったそこを指揮官の娘組が占拠、そのまま子供部屋にしてしまったそこに現在過ごしているのはP7、ステアー、そして末っ子であり今回のメインである、AS Val、通称【シャフト】である。

 

時間にしてまだ早朝、モゾモゾとシーツが動きクマ柄のパジャマの彼女がゆっくりと起き上がり時計を見てみれば、少しだけ悲しい顔になる。この時間は前の基地での【強制的に】起こされていた時間であり正直言えば良い記憶なんて何一つない。

 

まだP7もステアーも起きていない、部屋は薄暗い、無論以前よりも天と地の差であることは確かなのだがそれでも前の事を思い出して体が少し震え始める、落ち着かせようと何度か呼吸をするも落ち着く気配が見れない、どうしよう、どうしようと頭の中でパニックが起こり始めたとき、何かを察したP7がムクリと起き上がってからギュッと彼女を抱きしめる。

 

「ふえっ?」

 

「んん……だいじょーぶ、おねえちゃんが、いるから」

 

恐らくはまだ寝ぼけているが、それでも彼女は姉を自称する程にはシャフトの事を思っているし彼女の過去と共感している部分もあるので何かを気付ける事もあるのでこうやって朝にパニックを引き起こし始めると落ち着かせるという光景をちょくちょく見られることが多い。

 

それから数分という時間を掛けて落ち着かせてもらい、シャフトから震えが収まったと分かるとP7は何処とか満足げに微笑んでから身体から力を抜いてまたベッドに沈む、少しすればまた気持ちの良さそうな寝息が聞こえればシャフトはありがとうと一言告げてから二人を起こさないようにゆっくりとベッドから降りて、この基地の彼女の服装に着替える。

 

朝早くからこうして部屋から出てきた彼女だが、特別に何かをしているというわけではない。というより今の彼女のメンタルモデルは全てに対して不安定であり、何をしようにもそれが引き金でトラウマやパニックを引き起こしても可笑しくないと言われるほどだった。しかし、だからといって自分をこのままにはしたくないと彼女から懇願されれば、リハビリに名乗りを上げたのは

 

「お、おはよう、ございます」

 

「おはようシャフト、じゃあ今日もよろしく頼むわ」

 

この基地の主婦代表、ネゲブであった、とりあえず彼女はシャフトのメンタルモデルの安定が先だと判断し、更に基地に慣れさせるという目的も同時に果たしてしまおうと考えた結果、自身の家事を手伝ってもらうという方法を考えついた。

 

結果から言えば大成功とまでは行かずとも、それなりの成果を上げてはるしシャフトも家事などで誰かの役に立てるということに喜びを感じているようで来た当初とは比べ物にならないほどに生き生きとした笑顔をみせている。

 

「今更だけどさ、家事は楽しいかしら?」

 

「え、あ、はい。とても楽しいです、もしかして何か、その……」

 

「ああ、いや問題ないわ、ただ凄く楽しそうにしてるから聞いてみただけ。じゃあ朝食に行くわよ」

 

とこうして彼女の早朝の手伝いが終われば丁度良く朝食の時間になり食堂に向かう途中、シャフトが誰かを発見したと思えばタタタと駆け足でその人物に近寄り

 

「おはようございます、お母さん、お父さん」

 

「おはようシャフト、朝の手伝いしてたのかな?」

 

「おはようございますシャフト、それにネゲブも」

 

「おはよう二人共、貴女のところの末っ子のお蔭で朝が本当に助かってるわよ」

 

ネゲブからのお褒めの言葉に夫婦は自分のことのように喜んでからシャフトの頭を撫でようとする、が悲しいかな彼女の方が身長は上の為、手が届かない、それでもとつま先立ちまでして撫でようとするが現実は非情であり、僅かに届かない。

 

そんな母親なのに何処と無く妹みたいな行動をする指揮官にシャフトは気を利かせて少しだけ屈めば漸く手が頭に届きゆっくりと撫でつつ

 

「うぅむ、やっぱり身長が欲しいよぉPPK」

 

「あたくしは今のままのユノが一番とは思いますけど?」

 

「私も、お母さんは今のままが、好きです」

 

「はいはい、じゃあ私は先に食べてるわよ、今日もありがとねシャフト」

 

え、あれ、小さいのが良いの?とまさかの返答に狼狽える指揮官とそんな一家のやり取りに軽く和みながらも自身の朝食を食べに先に食堂へと消えるネゲブ、その後は遅れて起きてきたP7と朝の気まぐれ散歩に出ていたステアーも合流して一家団欒で朝食をとった後は指揮官達は今日は平日のために業務へと向かうのだがシャフトはまだ業務を言い渡されてはいない、強いて言うならば基地各所を巡っての雑用くらいだ、それも言われたわけではなくシャフト本人からやりたいという申し出の元行われている。

 

内容は様々であり広報室にはプリンターの消耗品であるインクや用紙が詰まった箱を持っていき、射撃場には弾薬各種を届け、食堂にはその日に仕入れられた食材を冷蔵庫に詰めて、救護室に行けば動物たちのお世話をWA2000としてから餌などの補充、と割とひっきりなしに働き続け、お昼に一旦休憩を挟むまで小休憩と言うのも挟まない、それではいけないとばかりに対策が取られたがその対策は

 

「やぁ、シャフト、今日も元気そうだね」

 

「あ、スチェッキンさん、こんにちは?」

 

「うんうん、こんにちは」

 

こうして雑談で少しでも足を止めてあげるという方法だ、当初は小休憩をとっても良いと伝えたのだがそれでも休まなかったのでならば雑談でもしてみればと誰かが言ったのが始まりだった、今では雑談のお蔭で少しだけ小休憩を取り出したと基地の面々は安堵の息を吐いている。

 

「じゃあ、そのD地区の二人もこっち、に?」

 

「かもねぇ、まぁどうであれ一度は機械そのものを持ってこないとアーキテクトも作れないしさ、しっかしこの基地に導入することになるとはね……【医療用超音波検査装置】少しばかり値が張るかとも思ったけどペーシャの前の職場の病院が融通効かせてくれて助かったよ」

 

因みにそれは既に搬入されており今はPPSh-41立ち会いのもとアーキテクトが例の製品【まるみえちゃん】で内部構造などなどを調べている頃合いだろう、これでこの基地でも、そして彼女が往診の際でも超音波検査が可能となり万全とは恐らくPPSh-41は言わないと思うが用意は完了しつつあった。

 

と雑談をしてからシャフトはまた雑用のために基地を巡り、家族皆や基地の人たちと夕食を食べてお風呂に入り、最後は

 

「おやすみ、お姉ちゃん達」

 

「おやすみなさい、シャフト」

 

「お休みシャフト」

 

彼女は今日も一日、平和で楽しく、そして穏やかに過ごしましたとさ。




書きたい話は浮かんでも上手く文章にできないそんな世の中じゃあ(ポイズン

もうマジ無理、アーキテクトに馬鹿やらせよ……

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