それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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今日も今日とて好きに作る


開発部門は止まらない

キュイィィィィン、そんなドリルなのか何なのかは分からないが機械の音が鳴り響く一室、ここはアーキテクトの開発室。日夜基本的に彼女が思い付いたものを設計図に起こしてから材料をかき集め形にするということをする部屋であり、今日も形から入る彼女が作業着を着込み専用のゴーグルを着けてにっしっしと楽しげに何かを作っている。

 

「よぉし、それなりに形になってきたじゃないの?」

 

機械を止めてゴーグルを外してから台に置かれている作品、見ればそれは義手のようなもので青を主体のカラーリングに指は金色、これだけでは普通な感じの義手であるが中身は例に漏れず彼女渾身の作品の一つとなっている。

 

この義手、変形機構が組み込まれており、変形後には内部に更に組み込まれた電撃発生装置から生み出される雷撃を持って敵に攻撃できるという彼女いわく素敵仕様な義手であり、その雷撃の一撃は並の人形は勿論、ハイエンドモデル相手でもそれなりの成果を示せると断言しているほどだ、だがもし問題があるとすれば

 

「義手を使ってるの居ないんだよねぇ」

 

じゃあなんで作ったんだと言われそうだがそこは彼女、RFBとプレイしたとあるゲームで面白そうだったからという返事が返ってくるだけである。因みにだがこの義手、内部構造を色々追加した結果、割と脆い、乱雑に扱えば即座に壊れるし変形機構中なんか一発で大破して使い物になるという戦場を舐めてんのかという物に仕上がっている。

 

だけど一撃は信頼できるし連結も即座にできるから何本も持っていくのが基本的な使用方法にすればいいじゃんと開き直る辺り彼女らしいとも言えるだろう、ともかくこうして彼女は日々好きなものを作ったりするが勿論、中には基地からの要請で制作する日もある。

 

「アーちゃん、少し良いかな?」

 

「およ?ユノっちが来るなんて珍しいね、どったん?」

 

ヒョコッと現れたのは我らが指揮官、まだまだ護身術の練習や朝のマラソンなどは制限されている身だが通常業務、射撃訓練、整備の方法、人間観察(人形相手)などなど、あの日から欠かさず行っていることにアーキテクト的には焦っているようにも偶に見えてしまうことがある彼女、基本的に開発室にはあまり来ない彼女が何をしに来たのかと思い話を聞いてみれば

 

「ベビーカー?」

 

「うん、ほら、D地区の二人が妊娠したってことは生まれてからは必要になるじゃん?」

 

「そういうものなの?でさ、ベビーカーって何?」

 

いくら天才たる彼女と言っても元々は鉄血のハイエンドモデル、なので人類が生み出したものを色々調べたと言ってもそれは娯楽関連であり、日常品とかとなるとまだまだ知らないことのほうが多い彼女、今回のベビーカーもその一つでありキョトンとした顔でそう聞けば指揮官から簡単に説明がされ、それを聞きながらパソコンを操作してその条件に合うベビーカーの設計図を描いていく

 

そうして数十分後、設計図は完成した、だがしかしそこに映し出されている完成予想図のそれはどう見てもベビーカーには凡そ見れない、のだが指揮官の目は輝き

 

「おぉ、なんか凄そうなのが出来るんだね」

 

「でっしょ~?小回りが利くように足回りは無限軌道、側面には念の為の装甲を貼っつけて、赤ん坊が快適にそして怖がらないように衝撃吸収は徹底して温度も適温に調整されるように機構を組んでみたよ」

 

此処に一般的認識を持ってる人物が一人でも居たら今のアーキテクトのセリフにツッコミどころ満載なのだが指揮官には残念ながら違和感には思えず、純粋に凄いベビーカーが出来る程度の認識に落ち着いてしまっている。

 

しかも彼女作成予定のベビーカー(仮)はそれだけには留まらなかった、最後に目玉機能としてと指を立ててカタンとEnterを押せばモデリングされたベビーカー(仮)の周りに薄い光の膜のようなものが展開される、何処かで見たことあるようなと指揮官がじっと見つめて、あっ!と気付いた

 

「これ、フォースシールドだ!」

 

「お、よく気付いたね、その通りこのベビーカー一番の機能がこれ、周りに危機が訪れた場合にこのフォースシールドが発動、範囲もベビーカーは勿論、それを押している人物も範囲になるようにしてるからそのまま危険地帯を突破!なんて方法も取れる用にしてみたんだ、何があるか分からないからねぇ」

 

勿論、軽さは徹底して、各種アシストも積んであるから鈍重な動きじゃないよ!と締めくくり、指揮官にどうかなと確認をすれば残念なことに駄目でしょと言う訳もなく、彼女は二つ返事でGOサインが出してからよろしくね~と開発室を後にする。

 

それを笑顔で見送ってからアーキテクトはとりあえずで作った設計図を更に事細かく数値などを修正するためにパソコンの操作を始めつつ、使う予定の材料も出していってると今度は通信機が鳴り響き、繋げればサイドモニターに仕事着姿のPPSh-41が映し出される。

 

「やっほ~ぺーちゃん、注文のダイナゲートならもう形になってるよ」

 

《ありがとうございます、すみませんね……急にあのような注文をしてしまい》

 

彼女がアーキテクトに注文していたダイナゲート、それは過去に作った【ファーストキュアー】を彼女専用に改造された【ファーストリカバリー】医療用超音波検査装置を積んだ【A型】その場でのオペなどを可能にする道具一式と電子図などを積み込んだ【B型】またその際に安全な場を提供するための隔離空間を作り出す特殊フィールド発生装置を積んだ【C型】の3機、どれも今まで以上に大型化されたおり、アーキテクトを持ってしてコイツはこれ以上作りたくないと言わしめるほどにAIも高度なものを積んだダイナゲートである。

 

別に必要ないんじゃとアーキテクトは最初に聞いたのだがその際に返ってきたのは今後の彼女の心意気を示した物だった。

 

『今までは基地で構えていましたが今後を考えればある程度戦場に出る準備もしておいたほうが良いと思いましてね……特に街中などでテロなどにあった際に搬送してからでは間に合わないなども考えられますし』

 

「うーん、まぁその気なら止めないけど……正直デカすぎるよこの子ら」

 

《そこは自分も欲張りすぎたかなとは思います、なので基本的に報告を受けてヘリで運送、そしてその場でっていう運用方法にはなると思いますね》

 

確かにそれでなら使えるかと納得してから、二三会話をして通信が切れる。そうすればまたこの空間は彼女一人のものとなり、じゃあ頑張ろ~!という掛け声と同時に何かを作る音と楽しげな笑い声、ここはアーキテクトの開発室、彼女は今日も好きに、そして役立つものを創り出すのであった。




本当にアーキテクトが動かしやすすぎて困るわ

アーキテクト製品紹介コーナー
『義手(仮)』
これはアーキテクト製品というより悪巫山戯品。元ネタはD○C5のデビルブレイカー、なので耐久はお察し。

『ファーストリカバリー』
機能は本編参照、基本的に連れ歩くではなくヘリでペーシャと共に現場に行き治療を行う存在、装甲は大型に伴いどの型も頑丈でありC型は抜きん出て硬い。大きさはケルベロスより一回り小さい程度なので本当にデカイ。AI設定は一律、かなり大人しくそれでいて度胸がある大型犬

『ベビーカー(仮)』
D地区の彼女たちへの贈り物の予定、機能は本編参照、後にこれはベビーカーじゃなくてベビータンクだとツッコまれる。

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