それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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コイツ何者だよ定期


また増えた

カァ~と特徴的な鳴き声、パタンと読んでいた本を閉じて見れば一羽のカラスが彼女、指揮官を見つめていた。その視線に気づいたカラスは次に嘴で地面をつついて注意をそっちに持っていかせようとするのでなんだろうと思いながら自分の足元を見れば1個のクルミが転がっており、それを拾い上げれば

 

「カァ~」

 

「割ってほしいの?」

 

「ガァ~」

 

カラスは彼女の言葉を理解しているかのごとく、質問に答えるように一つ鳴く、どうやら賢い個体らしいと感心した彼女は凄いね~と思いながらその手に持ったクルミを思いっ切り座っていたベンチに叩きつければ見た目より容易く殻は音を立てて割れ、中から仁と言う食する部分を取り出してそのカラスの前に差し出してあげればテクテクと歩いて近付き咥える前にお礼代わりだろう

 

「カァ」

 

と鳴いてからそれを嘴に咥えてから中庭中央の木に飛び去り大きめの枝に止まって食べ始め、そのとても美味しそうな感じにクルミを食べている姿に指揮官は観察してからまた読書に戻る、因みに読んでいる本は人付き合いの本である。

 

読書を再開し、数分後、ふと気配を感じた彼女は視線を前に移せば先程のカラスが先程と同じ様にクルミを足元に転がして指揮官を見上げている、そこでふと気付いた、もしかしてこのカラス

 

「お腹が空いてるんだね?1個ずつじゃなくても大丈夫だよ?」

 

そう語りかけながらえいっとまたクルミを割って差し出せば、カラスはまたクアと鳴いてから飛び去る、お礼も言える子なんだねぇと呑気に考えてからまた彼女は読書に戻るのであった。

 

その日は、それ以降そのカラスが現れることはなかった、どうやらあれで満足したらしい、因みに彼女の読書は二個目のクルミをカラスに割ってあげて再開した15分後にG41が遊んで欲しいという懇願によって中止になっている、その時の彼女は読書をしてる時よりも生き生きとしていたらしい。

 

翌日、業務を終え今日も勉強するんだと中庭の定位置に本を持って現れた指揮官、と同時にそれを予測していたのか昨日のカラスが待っていたとばかりにベンチ前に降り、その足元には数個のクルミ、これ何処から持ってきたのだろうかと彼女は思いながら

 

「はは、今日も割って欲しいのかな?よぉし、じゃあ!」

 

えいっと持ってきた全てを割ってあげたのだが当初はカラスも大喜びでピョンピョンと跳ねながらカァカァと鳴いてから意気揚々と嘴に咥えようとして、カラスが固まる。

 

どうやっても一つしか無理なのだ、いや、もしかしたら頑張れば2つとかも行けるかもしれないが今回のクルミは少々大きめであるので難しい、それでもカラスはどうにかして咥えようとするがポロッ、ポロッと咥えた側から落ちていく、にっちもさっちも行かないこの状況に意外と抜けてる子だなぁと笑えば

 

「ガァ」

 

「ふふ、ごめんごめん、取られないように見ててあげるからひとつずつ食べな?」

 

「クア」

 

彼女的には一つ持っていって食べて持っていくだろうなという感じでそう伝えたのだがカラスは一つ鳴いてその場でカッカッカッと食べ始めた、どう見ても野生のカラスが人の前で食べるという事は無いはずなのにと驚いているその光景を少し離れたところから観察していた少女が居た。

 

イーゼルに立て掛けられたスケッチブックに真剣な眼差しで鉛筆でその光景を収めていくSuperSASSの姿、昨日同じような光景を見たのだがその時は画材は手元になかったので諦めたのだがもしかした明日も見れるのではと業務終了後に張っていたら予想通り、いや彼女的に言えば

 

「(想定以上、やはり指揮官は動物に好かれやすい)うん、これはいい絵になる」

 

「お嬢様、あれはその、カラスに良いように扱われているのでは?」

 

「いや、あれはカラスが指揮官を気に入ってる、じゃなければ態々その人物の前で食べるなんてしないからね」

 

嫌に自信満々に宣言するSASSにG36は本当なのかと不安な表情を浮かべているとクルミを食べ終えたカラスが何かを察知して翼を広げてからバックステップのような動きで下がり、その直後、ずんぐりむっくりな姿に似合わない俊敏さで定評のある大福が先程までカラスが居た場所を襲撃する。

 

突然の出来事に目を丸くする指揮官、それは絵を描き切り満足げに頷いていたSASSも、その隣で眺めていたG36も同じ気持ちであり、一体何がという事を言葉にしなくとも分かるほどに困惑している空気が辺りを包む。

 

「フゥ~」

 

「ガァ!!」

 

互いに威嚇をする一羽と一匹、何より驚きなのは基本的に無関心、もしくはちょっかいを出されれば適当にあしらう程度しかしない大福が此処まで敵意を剥き出しにしているということだろう、対してカラスの方もこの突然の襲撃に驚く様子はない、まるで過去に数度は襲われたことがあると言わんばかりにあちらも敵意を剥き出しに威嚇の鳴き声を上げる。

 

「お、おっ、お?え、あれもしかして二人共あれかな?仲悪い?」

 

(もしかして意外と肝が座っているのではお嬢様?)

 

(動物相手でも説得を試みようとするのは純粋に凄いと思う)

 

だが、今はベンチからそうやって話し掛けているが、もし間に入ろうものならば流石にG36が……いや、よく見れば他の場所でステアー達がスタンバっているので彼女たちの方が先に指揮官を守るため割って入るだろう、兎にも角にも緊張が走る中庭だったのだがそれは突然終わりを告げる、別に指揮官が間に入って周りが介入したからでも指揮官の説得が上手く行った訳でもない。

 

「……にゃ」

 

威嚇を続けていた大福が突然止めてから指揮官を少しだけ見てから短く鳴く、それは何かを教えているような声であり、でも何を教えているかは全く理解できないので指揮官はとりあえず笑顔を浮かべてみれば、特に反応なくそっぽを向かれる。

 

対してカラスはそれを聞いてから指揮官の事を見つめて二三、ピョンピョンとその場で跳ねてから指揮官が座っているベンチの空いている隣に羽ばたき着地したと思えばコロンとひっくり返る。

 

「え?な、撫でればいいのかな?」

 

「にゃあ」

 

(服従、だと?しかも見てくれ大福が上下を教えた感じですよあれ!?)

 

何者だよあの猫!!割と謎多きこの基地でも更に抜きん出て謎しか無い大福、その猫が更にそんな事をするものだからSASSは驚愕の顔を浮かべG36も考えることを放棄した感じの声で

 

「動物たちの長なのかもしれませんね、大福は」

 

んな馬鹿なと思いつつもあながち冗談でもない気がしてきたSASS、それから改めて指揮官の方を見れば大福は樹の下で寝転がり、カラスは変わらず指揮官に撫でられていた、それから

 

「よぉし、じゃあお前の名前は黒いし、うーん……【チョコパイ】、うんうんいい名前だよね!」

 

「……クア」

 

少なくとも、喜んではいないが逆らえないのでとりあえず声を上げたという感じの鳴き声だったが指揮官には届かずお前も気に入ったか~!ともっと撫で回す、それからカラス改めチョコパイは基本的に中庭に現れるカラスとしてこの基地で有名になるのであった。




因みにこのカラスは過去に一度だけ出てきてたりする、物凄く前だから思えてる人いるかは分からないですが。

カラスの相手に『苦労』する……ふふっ
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