それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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突発的に食べたくなるやーつ


焼き立てクロワッサン!

「突然ですがパンを作って食べたくない?!」

 

今朝方、図書室に本を借りに行くと言って部屋から出ていった指揮官が帰ってくるなりそう告げた。そして手には一冊のレシピ本、付箋がついてあるページはクロワッサン、早い話

 

「……食べてみたい、ということですわね」

 

「そうとも言うね!!」

 

これは久し振りに作って食べたいという欲求が抑えられなかったのだろうなぁとPPKは今から様々な想像を働かせて目を輝かせる妻を見つめて微笑むのであった。

 

忘れがちではあるが指揮官は基本的な料理やスイーツは作れる人間である、でなければ毎朝PPKにお弁当を作り渡すということはしないから、だが少々特殊な製法が混ざるものは流石に教わるなりしなければ完璧に作るのは難しい、一応レシピ通りにやれば形にはなるだろうが、そういう訳で食堂に呼ばれたのはこの基地で時折パンを作り振る舞ったり、スチェッキンの移動式屋台に同行して街や基地の人たちにパンを振る舞っているm45だった。

 

「クロワッサンですか、ですが言ってくだされば作りましたのに」

 

「え、ああ、ほら、偶には私もそういうものに挑戦した時だってあるんだよ、うん」

 

m45からの言葉につい泳ぎ気味に答える、その指揮官の反応からPPKに自分が作って出してあげたいんだろうなぁと解釈する周り、だが当の本人は割と真面目に自分が作ったのを食べたいだけだという。

 

思えば最近はPPKにお弁当を作る以外に料理もしくはスイーツを作って食べた記憶が無いなぁと言うのがそもそもの始まり、でも確かにPPKやP7達に自分が作ったのを出してあげたいというのも考えてないわけではないので周りの推測も強ち間違いではない。

 

「ほれ、よく見るにゃ。あれが今のマスターに足りない積極性にゃ」

 

「そこで私に飛び火させますか!?」

 

「飛び火も何もよく考えるにゃ、普通に会話ができないなら何かしらの理由付けが必要、そこでクロワッサンを作ったのですがでも何でも使って糸口にするのが一番にゃ」

 

「もしかして天才ですかIDW」

 

「てめぇがポンコツなだけにゃ」

 

そんな指揮官の反応をダシにIDWがパン作りならご一緒しますと現れたスプリングフィールドにそんなアドバイス送れば何故か英雄を見る目になる彼女にお前そんなに駄目なキャラだったっけ?とキャラを忘れかける衝撃を受ける。

 

だが悲しいかな、たとえクロワッサンを使ったとしても会話が成り立つ保証がないと思わずにはいられないIDW、もしかしたら初期PPKよりも酷いかもしれないにゃと言葉にはしないが思ってしまう。

 

「では、クロワッサンの作り方をご説明しますね~」

 

「よぉし、頑張るぞ!」

 

「楽しみに待ってますわね、ユノ」

 

「私達も作るわよ、ステアー、シャフト!」

 

「オー!」

 

「お、おー!」

 

気合十分な指揮官及び娘組、ハッキリ言えば指揮官に基本的なものを教えれば後は割りとドンドン知識を吸収からの応用に発展させてくれるためm45からするとかなり助かる生徒だったりする。

 

それよりもと彼女が気にするのはP7、ステアー、シャフトの三人、前者二人は以前クッキーを指揮官に作ったと言ってはいたがシャフトに関しては本当に何も知らない、なので一番気にかけるのは自然と彼女になるだろうと考えつつ

 

「まずはパン生地を用意、出来ましたらその生地にバターを練り込んでいきます」

 

「よい、しょ……よいしょっ!」

 

「あまり柔らかくし過ぎてもいけませんからね、大体耳たぶくらいが丁度いい、ですよねm45」

 

「はい、流石スプリングフィールドさんです」

 

そんな感じに始まったクロワッサン教室、バターを練り込み出来上がった生地を30分発酵が進まないように冷蔵庫で寝かし、取り出したら次はその生地をm45が前もって用意しておいた伸ばしたバターを包める大きさに伸ばし、バターを包んだら三つ折り。

 

三つ折りし形を整えたら再度、発酵が進まないように30分冷蔵庫で寝かせる、それをもう一度繰り返し、三度目に取り出し伸ばしたら今度はそれを二つ折りにしてもう30分。

 

「いや、手の込んだ料理はどれにしても言えることだけどやっぱり時間掛かるね~」

 

「お腹空いてきたわ……」

 

「だから朝ごはんは食べておけばって言ったじゃんP7」

 

「何か食べるお姉ちゃん?」

 

微笑ましいそんなやり取りを合間には挟みつつ、寝かせた生地を取り出して次は約7mmの厚さに伸ばし……一時間、寝かせる、それを聞いた瞬間にP7が遂に空腹に耐えられずに食堂に用意されているコッペパンにジャムを挟み一つだけ食べる。

 

一時間後、取り出したその生地を幅8cm程の三角形に切り分けて上下の真ん中に切れ込みを入れる、そうしたらお好みでチョコバトンを入れて丁寧に丸めていけば

 

「おぉ、クロワッサンの形だ」

 

「長かったわ……」

 

「えっと、この後に28度で2時間ほどスチーム発酵しますよ?」

 

「……嘘でしょ」

 

「お姉ちゃん、レシピ読もう?」

 

まだ時間がかかるという事実にP7の目から軽く光が失われ始めるがもう少しですのでと言う言葉と、その間にやることがあるという言葉にやる気を回復させて、続けて卵と生クリームをよくかき混ぜ、2時間後に発酵を終えて1.5倍ほどに大きさを増したクロワッサン、表面が乾いてから先程のかき混ぜた物を塗っていき、最後に190度程で予熱しておいたオーブンにて20分ほど焼き上げれば

 

「おお、おおおおお!!!」

 

「クロワッサンだ!!」

 

「美味しそう、早く食べたい」

 

「少し、形が……」

 

「大丈夫ですよシャフトちゃん、初めてならこれは凄く上出来です」

 

かくして焼き上がったクロワッサンを食堂のPPKと彼女に呼ばれたのか副官とG36の所に持っていき、それぞれが一つ持ってから一口

 

サクッと言う小気味よい音とふわっと広がるバターの風味、そして入れたチョコの甘さが口の中に広がれば

 

「うぅむ、美味じゃな」

 

「はい、とても美味しいですよ。お嬢様達」

 

「どれもサクサクで、食べていて楽しいですわね」

 

三人からの感想に、指揮官達は顔を見合わせて笑顔で頷いてハイタッチを交わす、それから彼女達も食べ始めればその美味しさにうんうんと頷いては笑顔になる面々にm45は満足そうな顔で見つめるのであった。

 

所変わり、スプリングフィールドは焼き上がったクロワッサンを持ちヴァニラの居ると思われる整備室の前に居た。

 

『出来たならさっさと行くにゃ、ヴァニラは今朝から見てない所見るに昼だってまだの筈、ならば持っていけば喜ばれはする筈にゃ、あとは……』

 

「私、次第。や、やれます、ええ、やれますよそれくらい!!」

 

「お腹空いたって、あ、す、スプリング?」

 

「ひゃあぁぁああ!!??あ、え、その、あああっとその、くく、クロワッサンです、た、食べてくださいね、それじゃあ!!」

 

「え、あ、ありが……行っちゃった」

 

決意した瞬間、扉が開かれヴァニラが現れ声を掛けられた瞬間にはその決意は何処得やらな醜態を晒し、クロワッサンの入ったバスケットだけを渡した逃げるように去っていく

 

困惑するヴァニラ、物陰で成り行きをも届けていたがあまりの結果に天を仰ぐIDW、今日も二人の関係は進まなかった模様、だが強いて言うならば

 

「……ん、美味しいわ」

 

クロワッサンだけは好評だったのが救いかもしれない。




焼き立てのパンってのはどれもめちゃくちゃ美味しい、メロンパンで知った。

おい、このマスターレベルがドンドン下がっちゃいねぇか?
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