それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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コーヒー飲みながらの団欒


M1895(おばあちゃん)指揮官()

執務室、午後の書類の書き込みと整理の音だけが響く空間、いつもと違いを上げるとすれば指揮官の顔に幾分かの余裕が見えるというところだろうか

 

流石に毎日のように書類と戦っていれば嫌でも慣れるとは指揮官の言葉、その御蔭で余力を残しつつも十分な速さで書類を片していき最後の一枚を今終えた

 

「ん、ん~、終わったー」

 

「こちらも終わったぞ、お疲れ様じゃ」

 

「おつかれ~、今日も乗り切れた~」

 

書類を散らさないようにぐで~と伸びるという無駄に器用なことをする指揮官を尻目にM1895は自席から立ち上がっていつもと同じようにコーヒーの準備を始める

 

「今日はこの後なにもないんじゃな」

 

「そうだねぇ、珍しくないね。だからおばあちゃん、私にもコーヒー頂戴、久しぶりに二人でのんびりしようよってあっ」

 

指揮官はふと、何かを思い出したように顔を上げて席から離れ備え付けの小さな冷蔵庫を開けて中から包装された箱を取り出す

 

「なんじゃ、それ」

 

「確か、昨日カリンちゃんがペルシカさんからの贈り物だって渡されてたんだよね」

 

中身は知らないけど要冷蔵だって言われてて入れてたと続けながら包装紙を丁寧に剥がせば箱に書いてあったのは【羊羹】の二文字

 

タイミング悪かったなぁと指揮官は思う、M1895が今淹れているのはコーヒー、和菓子が出てくるとは思ってなかったので当たり前といえば当たり前なのだが、だが直ぐにコーヒーでも大丈夫かと考え直し

 

「おばあちゃん、ペルシカさんから来たの羊羹だったよ」

 

「なんじゃと?むぅ、コーヒーじゃぞこれ」

 

「ああ、いいよいいよ、コーヒーでも合うかも知れないし食べちゃおうよ」

 

「そうか?まぁお主がそう言うなら良いのじゃが」

 

M1895がコーヒーを淹れてる間に彼女は羊羹を切り分けて棚から皿とフォークを取り出して乗せテーブルに並べる

 

コーヒーも並びソファに座ってから羊羹を一口、しつこくない程よい甘さに舌鼓する二人

 

「おいし~、もしかして良い所の奴なのかな」

 

「分からぬが高そうな箱じゃったし有り得そうな話じゃな、うむうむ、美味じゃ」

 

「それにコーヒーとも悪くないね、ミルクとお砂糖を少し減らして正解だったよ」

 

「確かにな、いつものお主のコーヒーだったら甘すぎたじゃろう」

 

味の感想を二人で述べつつ食べ勧め、一本の羊羹はペロッと二人の胃袋へと消えた。美味しかった~と再度感想を漏らす指揮官、その顔は幸せを体現するような緩い笑顔をしている

 

そんな彼女を見つつ、ふとM1895は最初に出会った時を思い出しククッと小さく笑いをこぼす

 

「ん?どったのおばあちゃん」

 

「いや、最初にお主と出会った時を思い出してな」

 

「あ~、でもなんで突然」

 

「お主のその緩い笑顔のせいではないかのう。思えばあの司令部で迷子になって半べそかいてた小娘が少しは頼れる指揮官になったと思えば嬉しいものがあるのじゃ」

 

オフの時はそうでもないが仕事の時はいつも厳しい言葉が基本の副官からよもや褒め言葉が飛んでくるとは思ってなかった指揮官は目を見開く

 

対してそんな反応を見せられた副官は若干照れ臭そうにゴホンと咳払いをしてから隣に座る指揮官の頭にそっと手を乗せる

 

「お、おばあちゃん?」

 

「まだまだお主は未熟じゃ、だがなゆっくりとだが成長は確かにしておる、故にわしらもお主を信頼して支えよう」

 

突然の行動に戸惑う指揮官だったが紡がれた言葉を聞きM1895の方を向けば優しい瞳と笑みを浮かべた姿に思わず涙を浮かべる

 

「な、なによ突然さ」

 

「年寄りの戯れじゃ聞いておけ。これからもお主は自力ではどうしようもない様々な困難に直面するはずじゃ、だがなその時は頼れ、わしでも他の者でも良い、決して抱え込んで壊れてくれるなよ」

 

指揮官にはそれが懇願に聞こえた、まるで前にも体験したような、だからこそ二度と味わいたくないと言う感情を目の前の大好きなおばあちゃんから感じ取れた

 

だからか、ギュッと副官の左手を両手で握り真剣な、でもよく皆が好きだと言ってくれる緩い笑顔でこう告げる

 

「……うん、頼るよ。これまでもそうだったしこれからだって私は弱いから沢山頼るかもだけど、その時はお願いね、おばあちゃん」

 

「ああ、任せておけ、伊達に歳は喰っとらんからな。さて湿っぽい感じになってしまったな、コーヒーおかわりするか?」

 

「お願い、だけど湿っぽ雰囲気にしたのおばあちゃんだからね?」

 

おっとそうじゃったなと笑う副官を見つめつつ、微かに浮かんでいた涙を拭き取る

 

なんで急にあんなこと言い出したんだろと思いはしたけど別段悪い気はしなかったので深くは考えないことにした、でも忘れちゃいけないことだなと指揮官はあの言葉を胸に刻みこむ

 

「所でさ、おばあちゃんから見て今の私ってどのくらい指揮官として成長してるの?」

 

「む?そうさなぁ、35点ってところじゃ」

 

「……あ、50点満点で?」

 

「無論、100点満点でじゃ、ほれコーヒー」

 

ひ、低いとコーヒーを受け取りチビチビ飲みながら思う指揮官、その考えが読まれていたのか言ったじゃろゆっくりだとさっきまでの雰囲気はなくなりいつもの調子に戻ったM1895が呟く

 

「うぅ、頑張る。だからさ改めてこれからもよろしくね」

 

「ククク、仕方ないのう。じゃがいつかは独り立ちしてもらうぞ?」

 

「え、嫌だよ、おばあちゃんはずっと私の副官やってもらうつもりだよ」

 

「お主……」

 

何言ってるのみたいな顔の指揮官に呆れる副官、そんな二人の団欒は夕食時まで続いたとさ




(最終回みたいな雰囲気だけど別段最終回じゃ)無いです、まだまだ書きたいネタはあるし出てない戦術人形も居るからね

まぁ最近、この二人主軸で書いてなかったなぁと思いまして書きました、因みに次点でP7ちゃんだったけどまた裏側の話になりそうだったのでダイナミック回避になりました

CUBE作戦まであと2日ってマ?(白目

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