それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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事がその通りに回るとは限らないものである


ロックンロー……ってあれ?

「歴史とは、勝者が記した物である……」

 

ポツリと呟くのは青の足まで届きそうな長さのツインテールが特徴的のSMG型戦術人形である【シプカ】カチャンとハーブティーが入ったカップを置き眼の前の人物に視線を送る。

 

そこに居るのは【AEK-999】基地の皆からは大体【バルソク】と呼ばれる戦術人形は人前だと言うのにヘッドホンは外さず、しかし曲が流れているはずだと言うのに彼女は今までの会話全てをキチンと聞いており、今の言葉にも

 

「まぁ、勝ったからこそ色々書けちまうからな。でも急にどうしてそんな話を、しかも……」

 

「基地じゃなくて街中のカフェでって?」

 

そう、彼女達二人がいるのは基地ではなく街のカフェ、シプカは普段どおりの姿だがバルソクは何処と無く男装を思わせる姿、普段の格好で出掛けても良かったのだがバイクを乗ってきた関係上、ズボンを履くことになるこの姿出来たらしい。

 

しかし男装、とは言ってもそれはコートのフードを被っていればなので今は一つに纏めた長い髪を晒しておりどちらも少女だというのが分かる、まぁ今はそれはあまり関係しないが。

 

「何も基地じゃ話せないことなんてあんたは今しないだろ?」

 

「そうね、今日はこうやって外に出たかったのよ、それで暇してた中で偶々貴女が目に付いた、それでは駄目かしら?」

 

「……とりあえずそれで納得しておく」

 

時折何を考えているのかわからない、それがバルソクから見たシプカと言う存在だった。歴史を重んじ、この世界で起きたあらゆる歴史を解明するが如く書物やデータベースを読むことを趣味としているが時よりこうやってフィールドワークだとか言って誰かを連れ出すことが多い。

 

フィールドワーク、とは銘打っているが今こうしてハーブティーを楽しむ姿は単純に外に出たかっただけだろと思わざる負えない、証拠にヘッドホンから流れる曲はアップテンポな物、探究心が溢れているという感じの曲ではなかった。

 

「そう、勝者が記すのが歴史、何も私が言ってるこれは世界規模のことではないわ、個人間でもこの法則は適応されやすい」

 

「あ~、つまり?」

 

「もし、わたしがとある敗者から犯罪の計画を聞いてました、となれば?」

 

いつの間にそんな事してたんだコイツと流石に気付くバルソク、どうやらシプカは何かしらの事情でこの街で行われようとされている犯罪計画を握り、しかし一人ではどうしようもないからと自分が呼ばれたということに。

 

そして同時にヘッドホンから流れる曲がアップテンポのもので固定の理由も今理解した、街の出掛けで楽しいからではない、コイツは計画したものをぶっ壊すのが楽しみで仕方がないからだと、つまり

 

(性格悪いなぁ)

 

「性格悪い、そう思うのは構わないけど、そろそろ準備して。バイクは指定位置にあるのよね」

 

「サラッと心読むなよ……ああ、指定位置に停車してあるが?」

 

ならば良しとハーブティーを飲み切ってバルソクを促しながら立ち上がり、向こうもとりあえず指示に従って行動を起こすがどんな犯罪なのかも聞かされてない自分がどう役に立つってんだと思いながらバイクを止めてある所に向かい跨った所でヘッドホンからの音楽が、激しいロックに切り替わった。

 

(なんだ、何が起きる!?)

 

「漏れてることに気付かれたようね、バルソク、直ぐに出して!!」

 

後ろに跨ったシプカから叫ぶ様に指示を出されるが状況を理解しきれていないバルソクはだから一体何が始まるってと聞こうとした時、彼女達の横を一台の車が法定速度何それという速さで去っていき、その数十秒後に三台程の黒い車が先程の車と同じ様な速さで過ぎ去っていく。

 

「何ぼうっとしてるの、あれがターゲット!!」

 

「色々と話は聞きたいが、この展開は嫌いじゃねぇ、飛ばすから振り落とされんなよ!!」

 

ヘルメットも被らず、いや、被る暇が明らかにないので今回は許してほしいと思いつつアクセルをフルスロットルで開け彼女自慢のバイクは急発進、程なくして逃げる黒い車とそれを追う黒い車、否……

 

そこに居たのは間違いなくそっちの世界の住人であるとありありと語っているような姿であり、これはさっさと処理しないと前の車が危ねえなとバルソク、それはシプカも同じであり自身の愛銃を二丁取り出して計画通り後はこれで片付けるだけと思った刹那

 

響く重い銃声、貫かれ横転する追手の車、何が起きたとばかりにそれを眺めるバルソクとシプカ、そして今のを行ったのは車の天窓から身体を出したマントを羽織った女性、それを見てシプカが

 

「聞いてた計画と違う……」

 

「何を聞いてたのかは知らねぇが敵はまだ居るからな!?」

 

「いえ、もう」

 

バルソクが吠え、シプカが我に返ったと同時に女性が一言告げ、二度、三度と銃声が響き追手の車は全て爆発炎上を引き起こしていた。

 

もう何がなんだかと言う感じのバルソクは向こうが停車したのを確認してから自身もバイクを近くに停車、とりあえず怪我とかはしてないかを確認するために車に近付けば向こうからも扉が開き二人の女性、ここまで近付けばバルソクも、そして遅れてバイクから降りたシプカも気付く

 

「戦術人形?ん~、もしかして点で違うものを追っちゃったのかしら」

 

「いいえ、恐らくは正しいと思いますよ、ただ行おうとした者は少し手違いで亡くなり、私達が追われたと言うだけです、あ、名乗り忘れてました私は【DSR-50】少しだけ大胆に来すぎた人形ですわ」

 

「【ベレッタ70】です、着任初日で犯罪を抑止、これは昇進狙えますよね!」

 

「配属?あ、いや、少し待て、今指揮官に確認取る」

 

何やら覚えがあったバルソクが基地の指揮官に通信を繋げる、その間にシプカが何が起きたかを聞けばDSR-50曰く配属先に向かうのに時間が出来たのでと街を散策してたら何やら良からぬことをしようとしてる集団を見たので近付きリーダー格を誘惑。

 

釣られた哀れなリーダー格は物陰に潜んでいた同じく今日配属で本部からの共に来ていたベレッタ70によって処理、だが結果として残りを怒らし、しかしこの場で撃ち合いは出来ないと即座に車を奪取して逃亡開始、そして

 

「今に至る、と。それってつまりさ、わたし達がそこに居なかったら結構危なかったんじゃないの?」

 

「ええ、貴方達がバイクで現れ向こうが怯んだので落ち着いて撃ち込めましたのでそこは感謝しますね」

 

「いやぁ、カッコよかったよあれ、本当は全て私達の手柄にするつもりだったのですがね」

 

「確認取れた、向こうではもう指揮官が待ってるから行くぞ、はぁ私ただバイクを無駄に走らせただけじゃねぇか……」

 

バルソクの疲れたコメント、気付けばヘッドホンからの音楽は穏やかなでありながら何処か疲れた感じのものに変わっていた。




シプカちゃんキャラ違いすぎなーい?

バルソク姉貴の未実装スキンのバイクかっこいい、かっこよくない?

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