それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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ハイリスク・ハイリターンなハッキングツール。


諸刃の剣な奥の手

カタカタカタ、そんなキーボードを叩く音が鳴り響く広報室、主は勿論FMG-9、因みにあのガッツリ怒られた日からD地区の基地に情報を回す時はアリババではなくFMG-9の名義として送るようにはなっている。

 

流れる情報の濁流、それの中から必要なものだけを吟味し、整理し、また濁流の中から収集をすると言うサイクルを延々と行っていた彼女の手が突如止まる。

 

(……硬いな)

 

どうにも突破できない、そんなセキュリティの場所にぶち当たったようだ。彼女とて万能でも最強でもない、ガッチガチに固められたセキュリティを前にすれば時間は掛かるし、下手すればカウンターだって貰う、ついのこの間のあれも逆探されないように二人ががりで行ったがそれでも突破こそすれど逆探はされた。

 

そして今回のセキュリティは間違いなく普通に挑めば負ける、だがこれは放置するにはあまりに宜しくない所だった、何故なら

 

(人類人権団体、しかもこれってこの間壊滅したはずのD地区への支援……?向こうには残党はもう居ないはず、だとすれば態々出向くのか、おっと、これ以上は悟られる一旦退こう)

 

触りと言った部分だがともかく奴らが何かしらを向こうの地区へと向かわせ基地を襲撃しようというのは分かった、が肝心の中身が全く触れない、向こうもこれは余程重要だという認識らしく過剰と言えるほどの防御を固めているので下手に潜り込めば自分が殺られる。

 

かと言って無視できる案件では勿論無い、しかしここで問題が発生しているのだ、一人ならば二人とヴァニラを呼んだとしてもこれを二人掛かりで挑んだとしたとしても勝率が怪しいのだ、勝てないとは言わないが勝ったとしてもこちらの被害が無視できないという部分もある。

 

(基地にあるサーバー直繋ぎで行けるか?参ったな、迂闊にアリババの再開を広めすぎたか……まさかたかが人権団体が此処まで硬いものを用意するとは思いませんでしたね)

 

正直言えば彼女は直繋ぎでのハッキングは余り得意ではない、人形なのに?と言われそうだが如何せんヴァニラとのコンビでキーボードを使った物だったり、そもそも直接乗り込んでの潜入が主だったせいで余り経験値がないのだ。

 

しかし今回はその2つが封じられている状況、経験がないからとは言える状況ではないので直繋ぎでやるかと覚悟を決めた所で、ああ、と自分で前に行ったセリフを忘れてたと思い出す。

 

『あれ』を使うつもりだったと、ヴァニラと再会し彼女もハッカーとして復帰した今ならばまた使えるようになった彼女の奥の手、これを使えば彼女を止めれる者は存在しなくなると同時に迂闊に使えば自分が消滅するという両極端なカード、だが彼女は気負う素振りも見せずに試運転しておきますかというノリでヴァニラを呼び出して自分はそそくさと準備を始めた。

 

「あ~、あったねそんなの」

 

「懐かしいですよね~、一応で整備しておいたのが役に立ちましたよ」

 

呼ばれた彼女が呼ばれて来た広報室の奥の部屋で見たのは真っ黒い機械仕掛けの箱、ヴァニラの言葉通り現役時代でもこの箱を使った回数は少ない、FMG-9の奥の手だから当然なのだが、それ以上にコイツは扱いが非常に面倒くさいのだ。

 

「しっかし、【ネクロノミコン】を使わないといけない程って、時間かけてのハッキングじゃ駄目なの?」

 

「時間があればそれでよかったのですが今回は少々急を要する事態ですからね、向こうが何をどのくらい用意してるか不明、一度徹底的に壊滅させられたのも分かってる以上生半可なものを用意するとは思えない、それと恐らくですがもう準備を済ませて計画を実行するつもりでしょう、なのであまりに時間がありません」

 

「だからこそコイツを頼るってことか。分かった、アンタの【存在証明】は任せなさい」

 

「しくじらないでくださいよ、私だって結構怖いんですからこれ」

 

【存在証明】これを説明するのは先ず彼女のハッキングツール【ネクロノミコン】について簡単に説明しなければならない。このハッキングツールは彼女専用のものであり箱からのケーブルを彼女の首元に接続することで使用し、電子空間へと彼女を送る。

 

そうして電子空間へと送られた彼女は、その時点で【FMG-9】と言う存在ではなくなる、一度漂白され何者でもない存在となるのだ、それから目的のサーバーに向かった所で彼女はそのサーバーの【マスターキー】のような存在となる、これは利便上彼女等がそう呼んでいるだけで正式名称は不明だがまぁざっくり簡単に言えば『彼女はそのセキュリティの支配者』となる、故に何者も警戒もしない、警報も発動しない、全てをスルーできる存在となっているという話だ、これだけ聞いてれば破格なツールなのだが当然ながらデメリットも存在する。

 

それがさっきヴァニラから出てきた単語【存在証明】ネクロノミコンと接続したFMG-9はその時点で何者でもない存在となる、しかもこれは接続を切れば戻るかと言えばそうではない、それでは彼女という存在は永遠に無くなる、なので誰かしらが常にFMG-9と言う存在を証明し続けなければならなく、それが今までこれを使用できなかった大きな理由。

 

要はヴァニラは綱であり酸素供給でもある、だがこの作業、人間である彼女が行うには最大でも30分が限界、それ以上からは無事に帰還できる確率が大きく下がっていってしまう、それくらいに神経を使う。

 

「さて、接続します……後は任せましたよ」

 

「リミット、忘れないでね。行ってきな」

 

因みにだが彼女がこれを使って制限一杯まで使った試しはない、と言うのも彼女は悠々と情報を集めれるからだ、警戒に使う時間もセキュリティを破る時間も必要なくただ入り、探り、次いでに仕掛けを施す、それだけ。強いてあげるならば存在が書き換えられるという感覚が物凄く気持ち悪いらしいからさっさと帰りたいというのもあるらしい。

 

(なるほどね~、自立兵器、ふぅん……確かに此処まで硬いセキュリティなら使ってもハッキングはされないし、性能も馬鹿にならず数もある、もし計画通り進んでたら負けはしないでも何かしらの被害は出てたかもなこれ)

 

そんな彼女が見つけた情報がこの自立兵器、大抵が装甲増し増しの自爆兵器、後は戦車やらに高性能AIを積んで自走させる物らしく、人が足りなくとも数を用意できるようになっていた。

 

(ま、今回はそれが仇になるんですけど。うっ、統括のコンピューターは別でしたか……気持ち悪いだけで問題ないのですが)

 

書き換えられるの嫌だなぁと愚痴りながら彼女は自立兵器を統括しているコンピューターに入り、一言書き加えてからとあるタイミングで自立兵器を可動させるように指示を下し、FMG-9はヴァニラに合図を送り現実に帰還し、とりあえず指揮官達に報告を上げておき、翌日の新聞に

 

「いやぁ、派手に爆発しましたね~」

 

「S地区とD地区の境目、誰も居ない所で自立兵器が起動、しかも全部自爆設定……あの辺クレーター出来たって話だけど?」

 

知りませーん、と読んでた新聞を放り投げるFMG-9、成果だけ言えばS地区から態々D地区まで襲撃しに行こうとした過激派の方々は深夜に花火となった、それだけである。




FMG-9に奥の手が追加されました、まぁ余程じゃないと使わないと思いますが……だってこれヴァニラが万全な状態で居なきゃ使えないし……

因みに高性能AIを積んだ戦車の名前『ピースメーカー』っていうらしいですよ(EDF:IR並感)

【ネクロノミコン】
詳細は本編参照、簡単に言えばヴァニラの存在証明作業があって初めて使える自身の存在を代償に全てのサーバーにおいてファイヤーウォールなどの物を例外なく完全スルーできる存在となるハッキングツール、一人で使った場合は詰みです。
ヴァニラの存在証明は30分までは帰還率100%、それ以降は2分おきに80、60、40、と下がり8分後には0となる。
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