それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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ハイエンドモデルと通信対談する16Labの主席研究員の図


天災と天才

《やっぱり、まだ分からない?》

 

「すまない、まだ尻尾も掴めない……そもそもにしてアプローチを間違えてる?」

 

ここはペルシカのラボ、相も変わらずゴチャゴチャし片付けが全くなっていない部屋で彼女はS09地区の基地に所属しているアーキテクトと音声通話で今は真面目な話をしている。

 

内容は指揮官についてペルシカも彼女がクローンであること、またハイエンドモデル支配者(ルーラー)の素体であること、そして今回のお題である、彼女に投与されたナノマシン、これら全てを知らされており、特にナノマシンの特定にはかなり力を注いでいる。

 

が、未だ目ぼしい成果は上げられていない、推測では幾通りも出せているのだが確証に至る何かが見つけられておらず、ペルシカも少々の苛立ちが生まれ始める。

 

「複合タイプのナノマシンと言う考えはどう?奴らのことだ調整のためと考えれば、その方が合理的かも知れない」

 

《でも、そうだとするとユノっちへの負担がトンデモナイよ!?》

 

「適合さえすればどうでもいいって考えでしょ、一度その方面からアプローチしてみよう」

 

《うぅむ……外れてほしいなぁその考え、でも分かった、その方面でも検証してみるよ》

 

アーキテクトとしてはこればかりは非常に外れて欲しい予測である、今までは適合、もしくは何らかの調整のどちらかのナノマシンだと考えていたのだが、それらはどう当たってもヒットしない、だからとペルシカが出したのが複合タイプ。

 

つまりは調整と適合、そしてそこに更に細かく様々なナノマシンを追加追加で投与していったという考え、だがもしこれがその通りだとすれば

 

(ユノっちの身体、もしかしなくてもあんまり時間がないかも……)

 

仮定通りだと彼女の身体に掛かってる負担は計り知れない、一応はハイエンドモデルとして最低限必要なスペックはあるかも知れない、だとしてもそのナノマシンの負荷に耐えられるかと言われると非常に雲行きが怪しくなる。

 

アーキテクトの心境に焦りが生まれる、唯でさえ中々進まない特定作業に指揮官の身体に余裕はもしかしたら無いのかも知れないという仮定が合わさり、思わず苛立ち混ざりのため息を吐き出してしまう。

 

「焦る気持分かるけど、それじゃあ碌な結果は出ないわよ」

 

《分かってる!!!!あ……ごめん、そっちに当たっても仕方ないね》

 

「分かってるなら良いさ、それに私だって何も感じてないわけじゃないからね」

 

ナノマシンによる負荷がどの程度のものなのか、それは常時なのか、それとも特定の条件なのか、これら一切の詳細が不明、ついでに言えば制限時間も分からないと言う状況下で苛立ちなというのも難しいとペルシカは分かっているので怒鳴られようがどこ吹く風の態度を取れる。

 

ともかく、今日は此処までにしようかとペルシカが切り出した所でアーキテクトから待ったが掛かった、何かあったのかと聞けば

 

《いや、そうじゃないんだけどさ。ユノっちに数学とか教えたのペルシカ?》

 

「藪から棒にどうしたんだい、まぁヘリアンも一般教養程度には教えてたけど本腰入れてたのは私だね、それがどうかしたのかい?」

 

《ああ、だからか。いやね、ユノっちって妙に数学には強いと言うか、天才のそれに感じてさ、それでもしかしたらって》

 

それは今日のこと、アーキテクトが開発室で作業をしている時、偶々遊びに来た指揮官が彼女が開発の為に行っていた計算式を見て、ポツリと

 

『あ、これってこういう事でしょ?ほら、合ってる?』

 

ポンっと答えを書き出した、それはもう当たり前の計算をするような感じに、だが表示されていたものはそんなあっさりと解かれるほどに簡単なものではなく、それなりの知識を持ち、キチンと公式を組み立てていって解くはずの物。

 

だと言うのにそこの彼女はあっさりと解いた、しかも正解である、これにはアーキテクトも驚いた顔をして何処で覚えたのかと聞いてみればペルシカさんが教えてくれたんだと返ってきて今に至る。そして聞かれたペルシカは少々呆けた顔をしてから、思い出したのかフフッと笑ってから

 

「あ~、確かに教えたのは私だよ。でも最初から教えるつもりはなかったんだけどね」

 

《ん、どういう事?》

 

「あれは、私が彼女の後見人として保護した数日後かな。あのときの彼女は一般教養とかごっそり抜けててね、それで面白半分で私の論文を渡して解いてご覧って伝えたんだよ」

 

《うわぁ……》

 

思わずドン引きするアーキテクト、それもそうだろう、一般教養がない=普通の数学すら禄に出来ないと言う当時の指揮官に超が付く天才の論文を渡され解いて見ろ言ったのだ、当然ながら結果は解けるどころか意味不明な数字や記号に初めてのオーバーフローを体験することになるのだが、後日

 

『……教えて』

 

『え?あ、いや、あれは悪巫山戯だよ、解けなくても問題は……』

 

『うぅ……』

 

どうやら悔しかったらしい当時の指揮官、いやもしかしたらこれが一般人のレベルだと勘違いをしてしまったのかも知れないが兎も角教えてくれと懇願されペルシカもまぁ途中でリタイアするでしょとか思いつつ教鞭を執ったのだが、彼女はスポンジだったとペルシカは語る。

 

つまり、どんどん吸収していき物にしていってしまったのだ、気付けば彼女の論文の半分近くはすんなり解け理解できるようになっていた、がそこでヘリアンから

 

『お前は彼女にどんな機密を教え込むつもりだ?』

 

とストップが入り、そこからは至って一般的な数学レベルを補足という形で教えていったのだが、そこで判明したのは、指揮官は数学方面はかなり強く、専門書なんかを渡せば数日もしないで解き返してくるというサイクルが出来上がるほどだった。

 

因みに数学以外の教科も教えれば吸収して言ってたので当時の彼女は単純に無い知識を埋めようとするのに必死だっただけかもしれないとペルシカは補足する。

 

「そうか、あれからも彼女は勉強を続けているんだね」

 

《なのかな、でも勉強してる所見たこと無いけどな~》

 

「無い?だとしたら何処で、何かで読んだのを吸収していってる?」

 

他愛無いはずの雑談から、また一つ指揮官についての謎が生まれ苦笑してしまうペルシカ、通信越しのアーキテクトも悩むような唸り声を上げるが特に何かが出てくるわけでもない模様。

 

「まぁ、いっそ私の後継者として育てるのもありかな?」

 

《いやだよ、マッドなユノっちとか》

 

アーキテクトの容赦ない一言に淹れたコーヒーを呑みながら聞き、顔を顰めた。

 

今日のコーヒーは彼女に優しくなかったらしい。




ユノっちの数学めちゃ強い設定が生まれましたが活かされることが今後あるかどうかはわからないです(無計画

ナノマシン問題?まぁまだ時間に余裕あるからヘーキヘーキ
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