それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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なりふり構わず動いてやる……!!


友達のために

遅々として進まない特定作業、それを誰よりも焦っているアーキテクトはペルシカとの通話を終えた日から比重を更にこちらに重きを置いて連日連夜作業に明け暮れる日々を過ごし始める。

 

今ある資料を再度読み漁り、あらゆる形で試してみて、そこからモニターが出した結果は……Errorの表記、それを見た瞬間、彼女は机に拳を叩きつける。

 

「ああああクソ!!!これでもない、どうして、複合タイプって考えすら違うっての!?」

 

禄に寝ていないのだろう、目は充血しよく見れば顔色も良いようには見えない、そして先程の台詞の通り今の彼女には余裕すら存在しない、たった数日とは言え彼女はそこまで追い込まれ始めていた。

 

髪をかき乱し、落ち着こうとそばにあるカゴを漁り一本のエナジーバーを取り出して乱暴に開けてからそれを噛じる、ここ数日、彼女はこのラボに籠もり食事も大体をエナジーバーか、心配した指揮官達が持ってくるサンドイッチなどで済ましている、今はとにかく時間が惜しいのだ。

 

(複合タイプでもない、ならやっぱり調整のため程度のナノマシンだから影響はない……?いや、だとしても何も特定できないのはおかしい)

 

資料が足りない、自分の手元にあるのにはナノマシンの詳細は入ってない以上仕方のない部分が強いのだが、だからと言って楽観視出来る物ではないから、どうにかしたいという気持ちが抑えられない。

 

余裕を失い始めたメンタルに影響を受けて次第に思考が、視野が狭くなっていく、調整、適合、この2つだろうと最初に考えたことから離れられない、だが結果はどちらでも、そして両方でも無いと突きつけてくる事に苛立ちを隠せず、同時に……

 

「私駄目なハイエンドモデルだ……うぅ」

 

自分が情けなくなってきていた、何が天才だと弱気になってきていた、友達だと思っている人間の少女一人を救えないのかと自身を責め始める、そこに普段のポジティブの塊たる彼女は何処にも居ない、居るのは弱々しく泣き始めるたった一人の少女の姿。

 

そして、この時に気が緩んだのか体が力なく崩れ落ちる、禄に休まなかったツケが出始めてきたのだろう、彼女にはこれすら自身を情けなく感じさせてしまっているタイミングでラボの扉が開かれる、ここ最近は許可なく入れないようにしているのだがと思いながら扉の方を見れば居たのは

 

「はぁ、無理しすぎだアーキテクト」

 

「……なんだよ、笑いに来たのかよ」

 

元部下で現仲間のゲーガ-、確かに彼女には万が一があったら困ると無条件で開けれるようにはしてあったなと思いつつ流れている涙を隠すように体育座りに体制を変えて両膝に顔を埋めふてくされてますという雰囲気を醸し出す。

 

対してゲーガ-もあまりに珍しい彼女の態度にどうしたものかと困りつつモニターに目を移せば彼女には完全には理解は出来ないがある程度は分かる図式と赤文字のErrorの表記、それを見て

 

「何日寝てないんだ」

 

「一時間は寝てるし」

 

「それは仮眠だ、医務長が言ってたぞ、6時間以上寝てないなら一度寝かせろって」

 

寝かせろ、その言葉を聞いたアーキテクトは乾いた自嘲気味な笑いをしてから充血しきった目をゲーガ-に向けてポツリと語りだす

 

「寝てる暇なんて、無いんだよ。今この瞬間だってユノっちに設けられたリミットが近づいてるかもしれないんだよ?」

 

「仮定だろうそれは、もし本当にそうだとすれば医務長達も気付いてるはずだ」

 

「分かんないじゃん!!!今この瞬間も、今日までも大丈夫だからって明日、いやこの数時間後には突然何かが起きるかもしれないんだよ!?」

 

滅多に誰かに掴みかかるということをしないアーキテクトがゲーガ-に掴みかかり声を荒げながら叫ぶ、それは彼女の抱えた心の声、彼女は怖いのだ、今日まで楽しげに会話して今こうして幸せを甘受している友達が突然動かなくなってしまうという現実(かてい)が、自分がもう少し頑張れば避けれたかもしれない事態が訪れることが。

 

だからこうして自身をボロボロにしながらも作業を続いけていたのだ、でも成果が出ない、それが更に彼女の抱えた恐怖を増長させてしまっていた。

 

「なんで!?どうして!?私じゃあどうしようもないの!?」

 

「アーキテクト……」

 

「わたしいやだよぉ……今のこうして楽しい日々を手放すなんてぇ、ユノっちを救えないなんてぇ……えっく、ひぐっ、うええええええええん!!!」

 

遂に堪えきれない涙が溢れ始め声を上げて泣き始めるアーキテクト、ゲーガ-も彼女の今日までの生活を聞いており、特に指揮官にはそれはもう懐いていることは知っていた、自慢の友達だとまだF小隊に居る頃に通信でよく聞かされてもいた。

 

なので彼女のこの気持ちは全部とは言わないが理解は出来る、なので助言をしてあげたいのだが落ち着かないとどうしようもないので暫く背中を撫でて暫く待つことに

 

「落ち着いたか?」

 

「……帰れよもう」

 

「何キレてんだよ、まぁ落ち着いたな。ところでだアーキテクト」

 

漸く落ち着いたのだが今度は自分に背を向けて更に不貞腐れた感じの声の彼女に呆れつつ、一つの疑問を投げ掛ける、一応副官達には確認を取ってことなので問題ないがコイツがそうじゃないとは限らないのでの疑問

 

「誰か他に頼れないのか?」

 

「え、いや、ペルシカには協力してもらってるけど」

 

「そうじゃない、もっと他だ」

 

もっと他、その言葉でパッと浮かんだのは何処ぞの基地の胸が大きくなった夢想家、確かに彼女のならば自分が持ちえないこの計画の資料を持っているかもしれないが、それはつまり、他の基地に指揮官がハイエンドモデル支配者(ルーラー)適合実験の被験者であると教えるのも同意義であると

 

「アイツなら、恐らくは持ってる……でも」

 

「副官からだ、この際手段は問わない、指揮官を救う手立てを見つけてくれ、らしいぞ」

 

その言葉に顔を上げるアーキテクト、その目には縋っても良いのかという希望と縋るしか出来ない情けない自分に失望の両方が混ざっていた、だが直ぐに目を閉じてから数回何かを確認するように頷いて、再び目を開けて時には

 

「いい目になったな」

 

「友達を助けるためにうだうだ考えるのは止めただけだよ、ああ、でも、その、ありがとゲーガ-」

 

「ふん、一応は元上司だからな、それにお前は基地で騒がしくしてる方がらしいってだけだ」

 

それだけを告げてゲーガ-はラボから出ていく、どうにも素直じゃないなぁゲーちゃんはと笑いながらアーキテクトはパソコンの前に座り、通信メニューを開いて目的の人物に映像通信を送りつければ数回のコールも要らずに繋がりその人物が映し出され

 

「やぁドリーム、単刀直入に言うよ……」

 

友達を助けたい、だから協力して欲しい。この時の彼女の顔は向こうも見たことがない程の真面目な表情だった。




アーキテクト、遂に他者と協力することを覚える。

アーキテクトとゲーガ-の絡みはなんかこう百合とかじゃなくて上司と部下というか相棒と言うかとにかくそんな感じが似合う気がしない?
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