それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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PKのアトリエ、注文が来ると気まぐれに作り出してくれるらしい。


アトリエの昼下がり

コポコポと薬品が泡立つ音を背景に大鍋をかき混ぜるPKの姿、ここは何時ぞや紹介した通称【PKのアトリエ】

 

相も変わらず不可思議な方の錬金術に挑み、あの大鍋をかき混ぜているのだが……結果はやはりというべきか

 

「……駄目か、コレでも駄目とするといよいよ手詰まりなのだけどね」

 

困ったという感じで呟くが別段出来なくて落胆しているという感じではない、元より出来るとは思ってなかった事なのでその辺りは致し方がないという思いが強い。

 

なので大鍋を掻き混ぜるのを止めて、作業台の方に向かい一つの試験管を手に取り様子を観察、ノートに纏めていく。

 

ここ最近では基地で使う風邪薬などの医療品を遂に全面的に彼女が請け負うことになり割とアトリエは忙しさが生まれ始めてる、まぁそれでも趣味の手製の薬の制作をやめない辺り忙しいと言っても余裕はあるらしい。

 

そんなアトリエ、常に彼女一人という空間ではない、こうして今日も

 

「PK、邪魔するぞ」

 

「……邪魔するなら帰って」

 

「お前それガリルから教わったノリだろ」

 

犯人はGShー18なのだが態々教えなくてもいいだろうとPKは入ってきた客人【PKP】の言葉をスルーして別のビーカーの薬品を観察しつつ調合を始める。

 

このアトリエは誰かが何か用があるからという訳でもなくただ遊びに来た、ただ雑談しに来た、ただ観察しに来た等などの用事で来る者たちも居るし、PKもそれを拒まないのでアトリエが一日でPK一人だという時間は実を言えば少ない。

 

「それで、今日は何しに此処に来たの」

 

「何を、と言う訳でもない。ただ暇を持て余してたから来ただけだ」

 

「ふぅん、キリングマシーンの貴女が暇を甘受、ねぇ」

 

調合した薬品の反応を紙に纏めながらPKPの言葉に反応を示す、彼女としてはPKPがそんな言葉を吐いてはいるのだが声色はとても楽しげなものであり、暇とは言ってたが此処に来る前に何かしら良いことがあったのだろうと他人にそこまで関心を持たないPKでも気づけるほどだった。

 

なので軽く挑発紛いに言葉を投げ掛けてみれば、返ってきたのは少々心地が良いなと思える殺気、怒らせたなコレはと微笑みながら今度は注文リストに目を通す。

 

「貴様にキリングマシーン等と言われるのは心外だな、それはお前の方だって変わりないだろうさ」

 

「あら、この基地の私はそうでもないわ。寧ろ貴女のほうが有名よね【コマンダーブレイカー(指 揮 官 殺 し)】」

 

コマンダーブレイカー、それがこの個体のPKPに付き纏っている忌み名。名の通りこの基地に来るまでの彼女は何処までも戦果をストイックに求めるキリングマシーンと言われるほどであり、殆んどの時間を戦闘準備か訓練に費やす人形であった。

 

そして指揮官だろうと接触は必要最低限であり、会話もかなり辛辣と言える口調で、もしセクハラを働こうものならばプロトコルが存在するのか本当にと言わんばかりに締め上げる、故にストレスや物理的に再起不能にする、故に指揮官殺し。

 

「昔の話だ、今の私はそんなことはしない」

 

「でしょうね、そんな事しようものならこの基地じゃ生きていけないわよ」

 

「寧ろあの指揮官に何故そんな事しようというのだ」

 

甘々じゃないのと打撲に使う軟膏を調合しつつそんな事を思う、『あくまで』噂レベルなのだがこのPKPどうやら既婚者の指揮官に惚れているらしい、そして今までが今までな過ごし方をしていたPKPは何を思ったが自分はこんな事もできるとアピールしているらしい。

 

悲しいかなその恋は実ることはなく、アピールは虚しくもPKPって色々出来るんだね!と無邪気な関心で済まされてしまっているのだが、言われる彼女は抜けているのか、将又この部分に関してはポンコツなのか、その反応に対して

 

『ふふ、ああ、私は切り札としての存在以外にも様々なことが出来るぞ、うむ』

 

と喜ぶ始末、この子駄目みたいねと何時かそれを遠巻きに見ていたPKが誰にでもなく呟いてしまうほどだった。因みに今ここでその話を振ってみればそれはもう嬉しそうにその場面のことを詳細に話してくれるので一部の人形からはネタにされている、FMG-9に至ってはネタの収集源にしているので手に負えない。

 

「ま、楽しそうなら良いわ……あっ」

 

「あ?」

 

PKが素っ頓狂な声を上げ、それにPKPが反応したと同時に彼女が手にしていたビーカーからポンッ!と言う音と同時に煙が吹き上がる。

 

かなりの勢いの煙にPKPは視界を奪われ、咳き込みながら扉を開け煙を逃してから

 

「PK!!無事か!?」

 

「コホッ、コホッ、やらかしたわ」

 

安否の声に返ってきたのはPKにしては少々高い声、思わず怪訝な表情になるPKP、そして煙が晴れた、現れた彼女に言葉を失った、何が起きたのかと理解が出来なかった、いや出来るには出来るのだがよもやそんな馬鹿なというのが正しいのだろう。

 

そこに居たのは先程よりも一回り、二回りほど全体的に小さくなり、顔立ちも何処か幼気に、合わなくなったのがハッキリ分かるほどにダボダボの服、詰まる所

 

「……お前、PKか?」

 

「私以外に誰が居るのよ、ああ、もしかして電脳に不具合が出ちゃったかしら、それなら」

 

「不具合が出てるのはお前だ!?」

 

は?とPKPのツッコミに自身の体を一通り目を通せば、なるほど確かにコレは叫ばれるなと納得してから、テクテクと歩き出しつつこの現象についての説明を始める

 

「これは成功だよ、ふふ、あの1錠のカプセルからまさか形にできるとは思わなかった」

 

「小さくなるのだが成功だと?どんな理由でそんなのを作ったんだ」

 

「理由?気軽に子供になれるというのは夢があるじゃない、因みにコレ人間にも使えるわ」

 

グッと背伸びをして収納棚の中から何かを取ろうとするが届かない、まさか自分が実験体になるとは思ってなかったので高さは普段のそれなのだから当然なのだが、暫くの格闘の後コレは困ったと悩み始めるちびPK。

 

このアトリエには足場になるものはそんなにない、よしんば出来たとしてもそれでも高さが足りないものだったりが多いのでこうなるんだったらアーキテクトの作った【かせいふちゃん】でも一台貰っておくべきだったと後悔していると影ができ、そっちを見れば

 

「……どういう風の吹き回し?」

 

「困ってるんだったら頼れ、どれを取ればいい」

 

まさか貴女からその言葉が出るなんてねと今度は口にしないで思いつつありがたく解毒薬を取り出してもらい、PKは無事に元の身長に戻ることが出来た。

 

因みに本来はヴァニラかカリーナで試す予定だったらしい、その場合は周りの反応がどうなるかは火を見るよりも明らかなのだが彼女としてはこの基地にはドッタンバッタンしてほしいのでとのこと、意外といい性格をしている。




ロリ化薬量産体制完成!!

施設紹介
【PKのアトリエ】
スチェッキン達と提携してお薬を販売、または調合しているアトリエ、本人は調合師と言うつもりはないらしい。
風邪薬も塗り薬も何でもござれ、いちばん人気なのはG11が飛び起きて恨み言を呪詛のように唱える眠気覚ましだとか。

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