それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
ここはペルシカのラボ、何時もならば部屋の主のペルシカだけの部屋に珍しい客人がそこには居た。
白のコートを羽織り、頭にはロシア帽、金髪の子供体型、早い話がナガンM1895、S09地区P基地の副官が何故か一人でペルシカに呼び出されたのだ。
「して、何用じゃ?わし一人だけで来いなぞ初めてなことを言いおってからに」
「まぁそこまで固くならなくてもいいよ、別に重大な話って訳でもないし」
コーヒーを差し出しつつそんな事を言うペルシカにではなんでと思いつつ受け取る副官、呼び出された時の通信は割と真剣な声だったのが更に疑問に拍車をかけている。
ともかくこうして呼ばれた以上何かしらの用があるのは確かなので出されたコーヒーを一口飲んで、ふむと驚く。
「これはあの雑貨屋か?この街から距離があるというのに取り寄せたのか?」
「おや?ってそうか、あの人の雑貨屋はそっちの基地の近くの街だったね、まぁそうだよ、結構気に入ってるんだ、さて本題に入ろうか」
あの老婆、一体どんな人脈を持っておるのじゃと疑問に思うも下手に突かんでもいいかと思考を封印しペルシカの話に集中する。
曰く、彼女は前々から戦術人形の見た目に作用する薬を制作しているのだが、ふと気付いたらしい、子供化が可能ならば逆もできるのでは?と、その時点で副官の顔が軽く引きつる。
「だからちょっと頑張って作ってみたんだよね、『大人化カプセル』」
「ちょっと頑張ったで物理法則がまた掻き消えてるカプセルを作るのは止めぬか?」
「出来ちゃったものは仕方ないじゃない?」
これだから天災はと誤魔化すようにコーヒーを飲みつつも思う副官、つまりペルシカはそのカプセルの実験データが欲しいという事で自分にテストしてもらいたいということである。
他にも子供体型の人形は居るじゃろうにと思わざる負えない、寧ろ態々一応の最前線であるS地区の基地じゃなくてももっと安全に試せる地区はあったはずだろうにとも、だがペルシカは
「いやぁ、断られたんだよね~」
「普段の行いじゃ……はぁ、まぁよい、そのカプセルはどれじゃ、さっさと試してわしは帰るぞ」
「おや、一度は断られると思ったんだけど」
「どうせ何かしらの話を出して受けさせるつもりだったじゃろうに、それにお主には借りも恩もある、コレくらいの事ならば受けてやらんこともない」
これは割りかし本音である、更に言えば彼女は確かにネジが飛んでいる天災科学者ではあるが人形である自分たちと一部人間に関しては害になるようなことはしないという信頼もあった、なので手を出してその大人化カプセルなるものを要求する。
まぁ、4割位に面倒だからさっさと帰りたいという部分もあるのは秘密だが。
「んじゃ、これは一気にぐいっと」
「……普通じゃな」
出されたのは一般的なカプセル状の薬と何ら変わらない物が1錠、コレなんかの間違いで飲んでしまうやつが出てきそうじゃなと思いつつ言われた通りに口に含み飲み込むが少し待機するが特に変化も不調も感じられない
「失敗、か?」
「いや、単純に即効性じゃないってだけさ」
遅効性か、面倒じゃなぁとその時は思っていた、そしてその薬は確かに遅効性ではあった。問題はその遅さだった、事が起きたのはカプセルを飲んだ翌日。
指揮官が今日も一日頑張ろーと執務室の扉を開け、閉めた。それから何かを確認するように扉をその隣の表札も確認してからもう一度扉をそっと開けて隠れるように中を覗き込もうとすれば
「何しておるのじゃ指揮官」
「……え、え?あ、え?おばあちゃん?」
「執務中じゃ、そう呼ぶなと、と言いたいがこの姿では確認したくもなるよのう」
執務室の副官の席に座っていたのは服装などは確かに何時も見ている副官、だが姿は平時の小さいおばあちゃんではなく、グラマラスな大人な女性。
だが声は大人っぽくなっているが確かに彼女なので指揮官は漸く副官だと認識できたのだが何がどうしてと聞きそうになり思い出す、そう言えばペルシカさんに呼ばれてたなぁと
「もしかして、ペルシカさんに何か?」
「大人化カプセルなる物のテスターになったのじゃが、まさか一日経ってから効力が発揮されるとは思わなかったのじゃ」
「印象がガラッと変わるね」
彼女の言う通り、今の副官の印象はガラッと変わっている、平時でも小さな姿ながらも頼りになるおばあちゃんと言った感じだった副官だが、今の彼女はそこに大人の魅力というものも加わり格好良さみたいなものが現れている。
これで銃を構え戦場に居たらそれだけで全体の安心感が生まれ士気向上も出てくるだろうなぁと指揮官が思っていたが副官から言わせてもらうと
「この姿が前々からだというのならばまだしも、今日突然というと戦場には出れぬな」
「え、そうなの?」
「当然じゃ、あまりに勝手が違いすぎる、今この格好で射撃所の的を相手にしても平時よりも外れるじゃろうな」
背が高くなったことで照準も、重心も、その全てが今までが変化しているのでどうしてもズレが生まれている、なので今の彼女は普段の半分ちょいでしか性能が生かせないらしい。
そしてそのズレを矯正しても良いのだがどうせ明日には戻ると考えれば骨折り損であり、ならばいっそ今日は出撃しないのが懸命だと考えらしい、そして何よりも
「落ち着かぬのじゃコレ、何というか体全体が重く感じ動きが阻害されてる気がしてなぁ……」
「重く感じるって、それ不具合とかじゃないの?ほら、小さくするんじゃなくて大きくしてるんだからそういうのが現れても不思議じゃなくない?」
「そもそもにして小さくしてるのも十二分に不具合出るじゃろうて普通……まぁよい、一応この事も報告に上げておこう、そうすれば向こうとて何かしらは考えるじゃろ」
はぁとため息をつきながらコーヒーを淹れようと立ち上がり棚を開けて時に、突如動きを止めてふむと頷く、どうしたのかと指揮官が聞いてみれば、少し嬉しそうな顔を彼女に向けながら
「いやな、確かに慣れぬ感じが強く、現段階では戦闘行動すらままならぬこの姿じゃが、今まで若干苦戦していた棚の上のものがすんなりと取れるようになるのは少し良いものじゃと思っただけじゃ」
「因みにさ、それ以外のメリットは?」
「わしにはコレ以外は思いつかぬ、まぁなんじゃ、他の基地の所で試せば違う形が見えてくるのではなかろうかのう?」
結局、この基地の副官には余り好まなかったようで翌日に元に戻り、一応でアーキテクトとPPSh-41が検査してる時に
「では、この報告書はペルシカさんに出しておきますね」
「うむ、頼んだぞ。やはりこの姿が一番じゃな、まぁ高い所がまた少々取り難くなったのが唯一残念だと思えるのがあのカプセルの利点じゃ」
「それは、あんまりじゃないかなぁナガっちゃん、ほらもう少し利点あるでしょ、え、無いの?」
アーキテクトの呟くも彼女には届かず機嫌良さそうに笑いながら彼女は仕事に向かうのであった
物理法則もあったもんじゃねぇな(竜馬
ナガンおばあちゃん的には大きくなることにあまり意味を見いだせなかった模様。
明日の更新で300話とかマ?遠くに来たなぁ