それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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その日、彼女は夢を見る……本来であればあり得ないはずだと言うのに


名も無き科学者のよくある狂気 Session1

眼の前に広がる食卓の風景、平和な家族の団欒といった感じのそれ、しかし居るのは顔は靄がかかって見れないが家族と思われる女性だけで他の誰かの気配は感じられない、そして何より……

 

(これは、何だ?)

 

自分の意志では動けない、FMG-9はこの突如始まった光景に困惑していた。だがこの現象に関しては心当たり、と言うより知識としては持っている、がもしそうだとすればそれはあまりにあり得ないことだ

 

しかしあり得ないと思ってもこの自身に起きておる事は現実だと突きつけられている、それ故にFMG-9は困惑していたのだ。

 

(これは、夢と言うやつですよね……『人形』である私が、『夢』を?)

 

基本的に人形である彼女達は睡眠という行為を取ったとしても夢を見るということはありえないとされている。彼女行っている睡眠というのはあくまでその日一日の情報の整理に過ぎない、なので実際に寝ているというのではなく形として寝ている、ということになるのだ

 

と、御託を並べてみるも結局、実際に自分は夢を見ているということには変わりはない、なので不思議と冷静な思考で今の状況を分析してみることにした。

 

自分の意志では動けないのでこの『誰か』の見える範囲で分かるのはここは至って一般的な一軒家、眼の前にある料理、女性の服装、時たまチラッと見える自身の服の状態から推測して中々の高給取りだと推測ができた。女性だけ見れば健康状態も良さそうなのでこれが無理に出している食事というわけでもないのもこの推測を確固たるものにしている。

 

(声、もしくは音が聞こえないのはキツイですね……それもあれば今がどんな状況なのか、この自分が視界を借りている存在と眼の前の女性がどのようなっとと?)

 

女性が突然、この視界の主の口元を丁寧に拭う、丁度女性が拭った高さからしても大人とかではないのは確か、そこでFMG-9はこの視界の主が彼女の子供では?と言う推測を立てる、が性別などは材料がなく分からないのでとりあえず場面が動くまでこの食事風景でも黙ってみてますかと結論を出す。

 

(しかしまぁ、夢ってこうも自分の意識がハッキリ分かるものなんですかね?)

 

あ、でもボスはそれで別の世界の喫茶店に行ったとか言ってたからあり得るのかと考えていると視界が動き始め、そこで一旦意識をその方面に向ける、どうやら食事を終えたので食器を片付けに行くようだ、お蔭で椅子から立った時の身長が凡そ推測ができ、確実にこれは子供だと結論が出せた。

 

その間にも女性は推定【子供】の方を気にかけ話し掛けるような行動を取れば視界が嬉しそうに上下したりする、家族仲は非常に良さそうだと分かるやり取り、だが急に視界が動いたと思えばそこにあったのは姿見鏡、つまりこの視界の主の姿が見れたのだが、FMG-9は言葉を軽く失う。

 

映っていたのは綺麗な白髪の少女、それは良い、FMG-9が言葉を軽く失ったのはその瞳の色、特別性だと言う自分と同じスカイブルー、瞳の色くらい同じものは居るだろうと思うのだがそこに映っていたそれはまるで今のこの眼が彼女の眼だと訴えているように思えてしまい動揺していると少女がゆっくりと口を開いて

 

『ワ ス レ ナ イ デ』

 

「ハッ!!???はぁ……はぁ……い、まのは?」

 

弾かれるように目が覚めたFMG-9は荒くなっている呼吸を落ち着かせつつさっきまでの状況を整理するがどれもイレギュラーだらけであり上手く纏まらない、そもそも夢を見たと言うだけでも彼女を混乱させるには十分なのだから、唯一分かるとすれば、あれは唯の夢だと思っていた、だが最後のあれは間違いなく自分に向けられた言葉だったという一つだけ

 

纏まらない思考のまま、そっと壁掛け時計を見ればヤバっと言う声が漏れる、仮眠のつもりで寝たはずが随分とガッツリ寝て居たようでIDWとのちょっとした話し合いの時間がギリギリにまで迫っていたのだ、なので一旦先程までの夢のことは頭の片隅に置いておき急いで準備をしてから自室を後にする。

 

「という訳で、第、何回にゃ?まぁ4回くらいか、ヘタレ同士の恋愛どうするか会議を始めるにゃ」

 

「物凄いテンションが低いのだけは理解できますねはい」

 

「あったりまえにゃ、此処まで何しても平行線なヘタレ共の殴り合い恋愛の後押しとかもうどうしろって言うにゃ」

 

IDWのほぼ愚痴のそれにFMG-9も同意するように頷く、結局の所、あれから殆んど進展がないのだ、強いて、本当に強いてあげるならギクシャクした距離ではなく普通の会話レベルのは戻せた位である、二人からすればもはやこれは歴史的勝利で良いだろうこれというのが本音だったりする。

 

相も変わらずヴァニラからスプリングフィールドへの気持ちは不明だがスプリングフィールドからヴァニラは分かりきっているのでそこを攻めようとするのだがヘタれる、ヴァニラにのらりくらり躱される、じゃあと力押しに出ればヴァニラがヘタれる、何だこれと思わずIDWとFMG-9が言葉にしたのは最近の話だ。

 

「……やめにゃ」

 

「へ?」

 

「会議しても進展ないし動きがあるまで保留にゃ、それよりもFMG、お前何か悩み事あるだろうにゃ」

 

驚くようにIDWを見てしまうFMG-9、その行動がありますと肯定しているのだがそれがなくとも彼女の顔は確信めいていた、少なくともそんな素振りは出していない筈なのだがと思っていれば

 

「はん、私をナメ過ぎにゃ、可動年数はどっこいかもしれないが人間を、人形を見た数は段違いにゃ……で、話せるだけでも良いから話してみるにゃ、少しは楽になるかもしれないからにゃ?」

 

「……貴方本当にIDWですか?まぁ、そうですね、では少しだけ」

 

観念して先程の仮眠時の出来事を口にしつつ、同時に整理していく、確かにあれは夢で、だが自分に言葉を向けられるという不可思議な最後、そして今気づいたのだがあれはまるで

 

「追体験してるみたいだった?ああ、待てにゃ、夢を見たって話はM4から聞いたことあるからもしかしたらFMGもそういう例外の可能性があるにゃ、だが記憶の追体験となるとちょっと訳がわからないにゃ」

 

「それに、自分が例外だとしても何故急に夢を……いや、もしかして『ネクロノミコン』?」

 

心当りがあるとすればそれだけだった、昔は本当に切り札レベルの使用間隔だったそれがこの基地で解禁してからは訓練と題してそれなりの頻度で使用している、もしかしたらそれがなにか作用したのではと

 

だがそうだとしても疑問が残る、夢を見るようになった原因はネクロノミコン、でも記憶の追体験は?あれも同じ原因だと考えるには少々無理がある、結果、その日は悩みを話しただけで会議は解散となり、ヴァニラに相談でもしようかとも思ったがもしかしたらあの時だけかもしれないしと眠りについて

 

(また、だと?)

 

夢を見た、だが仮眠時の場面とは違い、視界は物凄く鮮明だった、そしてあの時は靄がかかって見えなかった女性の姿に彼女は驚愕した、そこに居た推定【この子供の母親】の顔は

 

(ヴァニラ……?)

 

優しい、初めて見るような微笑みを浮かべていたのは自身のパートナーだった。




という事でヴァニラさんの過去編はっじまっるよー!

え、FMG-9?はて、何の話かな?
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