それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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ただ、もう一度


名も無き科学者のよくある狂気 Session3

かなり重いカミングアウト、FMG-9としても父親は死んでるか何かしら家に帰れない系列の仕事だろうと考えていたがまさか犯され、そして身籠った娘だとは考えもしなかったというのが本音だ。

 

その反応にまぁ当然よねと零しながらヴァニラは語りを続ける

 

「私は昔、鉄血の科学者だったのよ。自惚れかもしれないけど優秀でそれなりの席に居て、プロジェクトの発足とかも出せるような立場だった……まぁ、それが気に食わなかった誰かに雇われたチンピラ複数人に襲われたんだけど?」

 

「嫉妬ってやつですか、当時を考えれば若い女性ってだけでも恨みを買いそうですからね」

 

「人付き合いはよくやってたつもりだったんだけどね~、で運悪くってのは良くないか、ともかくその時に当たって出来たのがさっきも言った【ミーシャ】そりゃあ少し悩んだけどさ、ここで凹んでけしかけてきた奴らの目論見通りになるのもムカつく話だったし、生まれてくる子供に罪なんてないから私はミーシャを育てながら科学者を続けることにしたのよ」

 

あれはもう半分意地だったから若かったわねぇと笑うヴァニラ、そしてFMG-9もその光景は夢で見ていた、襲われたことを悲観する様子もなく、仕事を楽しみ、娘にも笑顔を向ける、とてもいい母親だというのは理解できた。

 

そしてそれをミーシャも理解していたのか、彼女もとても聞き分けの良い娘だったとヴァニラは話す、あの出来事で生まれた娘とは思えぬほどに聞き分けが良く、幼いながらも頭が良くて、自分に似て可愛らしい少女だったと、何だかんだで気付けばラボのマスコット的存在になっていたと

 

「本当に、本当に可愛くて自慢の娘だった……経緯がどうであれ何が何でも守り通してあげようって、思えるほどだったのよ」

 

だが彼女のその思いを踏み躙り、砕いた出来事が起きてしまう、彼女は確かに無理矢理犯され、望まぬ娘を身籠り、それでも気丈に振る舞い、その娘も生んで育て、周囲からは更に注目され尊敬の念すら向けられる存在となった、だがそれを良しとしないのも当然居る。

 

特にチンピラ複数人を雇って襲わせ失脚させようとしていた人物からしてみれば面白くもない展開だっただろう

 

「油断していた、ていうよりもまさかお前がって感じだったわ、だってそうでしょ、学生時代から共に頑張ってきて親友だと思ってた人物が実はそうでしたなんて思うはずもないじゃない」

 

「……よく人間不信になりませんでしたね」

 

「なってるわよ、だけどそれを一々表に出してたらやっていけないでしょうに」

 

兎も角、信頼しきっていた親友とも言える人物にある日、急に入った会議のためにミーシャを預けた、それが全て彼女の仕組んだ罠だったとも知らず。

 

会議室に着いた彼女だったが誰もおらず、突如背中からスタンガンで気絶させられ次に目覚めた時には、複数の男性に嬲り殺しするように暴行を加えられているミーシャの姿、無論助けようと動こうとするが

 

その場面はFMG-9も娘側として見ていたの助けに行こうにも動けない彼女を知っている。

 

「男性二人に抑えられて動けるはずないですよね」

 

「そんなの分かってた、でもミーシャは助けを求めて、私に助けてと訴えて、なのに私は……私は一歩も動けずに殺されていくミーシャを見るしか出来なくて」

 

言葉に、表情に後悔が現れ始める。誰が見てもどうすることが出来ないと分かる状況だった、だからこそヴァニラの性格を熟知してた下手人はそれを利用した、何よりも大切に思ってる娘を目の前で殺せばもう再起不能になるはずだと……だがその考えはあまりに甘すぎた、いや、ヴァニラという女性の本性を見抜けなかった彼女の落ち度とも言えるだろう。

 

幼いミーシャが暴行に耐えられる訳もなく息絶え、そこでヴァニラを開放し自分たちは出ていった。たしかにその時点で彼女の心は壊れていた、が

 

「私は考えたのよ、今まだ死んですぐならばまだ手が打てると、この子を蘇らせられるかもしれないと、道徳も人道も関係なしになるほどに狂ってた私が最初にやったのは娘の死体をすぐにラボまで運び、脳をホルマリン漬けにして現状維持を行うことだった」

 

それを語りだしたヴァニラの瞳に一瞬だけ狂気の色が映り込む、そこでFMG-9は気付いた、コイツは今日までこの狂気を抑えて生きてきていたのだと、同時に自分の中で立てた一つの推測が現実味を帯び始めたということも

 

ヴァニラは狂っていた、それと同時に科学者としての冷静な部分も共存していた、だから次に行ったのはあらゆる機関、鉄血の同僚や上司達に時に金を握らせ、時に弱みで揺する、次々と味方につけてから先ずはとある計画を発足させる、無論少々の反発は合ったが彼女のコレまでの功績を盾に押し通した、そのプロジェクトとは【人形に人間の脳を搭載した際の影響及び実用性】という内容、つまりは人形に生体パーツを積み、今まで以上の処理能力を持った人形を作ろうという話。

 

それから親友だと思っていた下手人とその手下たちを全員捕らえてから、一人一人を使って

 

「臨床実験を行ったわ、生きたまま脳を取り出して鉄血人形に、だけどコレは失敗、下手人以外全部使ったけど禄に動かなかったのよ。そしてじゃあと次に目をつけたのはハイエンドモデル、だけどコレばっかりは中々許可が降りなくてね、来た頃にはソイツは使い物にならない状態で、それでも一応って試したら成功、だけどまだ足りないと思った私はIOPに目をつけた」

 

向こうにも同じ考えの人物は居たので話はトントンで進み、技術提供を条件に情報処理に特化した人形を一体譲り受けることに成功した、そこまで聞けばFMG-9は勘付いてしまう。

 

だが止めはしない、最後までヴァニラの口から聞かせてもらうとばかりに視線を送れば

 

「言わせるの?まぁいいけどさ、そうよ、【FMG-9】の素体を譲り受けた私はミーシャの脳を細心の注意を払って移植して……急に正気に戻ってしまったのよ」

 

自分は今まで何をしていたと、何がしたくてこんな禁忌に近いことをと、勿論、自分がどうしてこんな事をしているかなんて本当は分かっている、ただ彼女は謝りたかった、あの日、あの場面の時に何も出来なかったことを、そしてただもう一度

 

「お母さんって呼ばれたかった、でもさ、此処に来るまでに自分がどれほど汚れてしまったかって気付いた時に、そう呼ばれる資格なんてもう無くなってるって気付いてさ」

 

「それで、私の起動とどう繋がるんですか」

 

「正気に戻ってしまった私は、何もかもを捨てた、当時の名前だった【レナード】、地位、名誉、研究成果も全部を私とミーシャが過ごしてた家に集めて燃やした、でもアンタだけは捨てることが出来なくて、一応の記録処理を行ってから起動したのがあの日よ」

 

一応の記録処理、それを聞いて今になってミーシャが反応が来るようになった理由が判明した、これは当初の推測どおり【ネクロノミコン】との接続が増えたからその処理が外れたからだと、だからヴァニラはこう呟いた「封が開いた」と

 

そうしてアリババと名付けられたFMG-9とヴァニラはハッカーコンビとして活動することになる、何故ハッカーなのかは言ってしまえば全てを忘れたかったのと頃合いを見てアリババと別れる為。

 

「私達がさ、足が付いた事案あったじゃん、あれ私が情報流したのよ」

 

「あ~、道理であっさりバレた訳ですよ……で、じゃあなんであの時私を助けたんです、しかもグリフィンの保護もセットで」

 

「……驚いた、そこまで情報を集めてたの。ってはいはい、話すわよ。結局、どうであれ娘とも言える存在の貴女を見捨てることが出来なかったってだけ」

 

そこまで聞いたFMG-9は漸くあの夢で伝えられた【ユルシテアゲテ】という言葉の意味を理解できた、ヴァニラはミーシャがあの時自分が助けられなかったことを恨んでいると思いこんでいるのだ

 

「おい相棒、一つだけ教えてあげますよ」

 

アンタの娘は、ミーシャは恨んでないですよ。その言葉を紡いだ瞬間、彼女の右の瞳のスカイブルーが濃くなったのをヴァニラは見て何故か驚いた顔になった。




次回か、次々回で終わりかなぁって

グチャグチャですまんのう……やはり仕事がある日に考える話じゃねぇよコレ、頭がめがっさ疲れるもん
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