それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:焔薙
リベルタ、そう名乗ったハイエンドモデルの少女は何というか余りコミュニケーションというものが得意ではない少女らしい、だがそこはシャフトという少女を娘にし、他にも口数が多くない、少し恥ずかしがり屋、引っ込み思案な人形を相手にし続け信頼を得続けてきた指揮官はあの手この手でリベルタとの会話を少しずつ、発展させていく。
(は、話し、易い?)
「そっか、リベルタちゃんがいる所も賑やかで面白いところなんだね」
「あ、えっと、あ、ああ。ただ、面白いかは分から、ない、けど」
「聞いた限りだと、此処とはそんなに変わらないと思い、ます?」
リベルタは指揮官という少女との会話に不思議な気楽さを感じていた、コミュニケーションが苦手なはずの自分がこうやって普通に会話が成り立っているということに驚いているとも言う。
そして指揮官の隣に座るシャフトとも何というか似たような空気を無意識の内に感じ取り、それがまた会話がしやすい要因になっているのだがそこはリベルタは気付かない。リベルタからしてみれば、自身の基地では声が小さすぎて聞き取れないとよく言われている自分の声でも彼女達はきちんと拾い、反応してくれるという方がもしかしたら会話が弾む理由かもしれない。
ともかく、ある種の天賦の才能とも言える人形とのコミュニケーション能力をフルに使われた会話は弾みに弾み、気付けば
「……クッキー無くなっちゃったね」
「そう、ですね」
「10人前、無かったか?」
山のようなクッキー、それは確かに存在していた、リベルタもあまりの美味しさに会話をしながら食べていたが、それでもこんなに早く無くなるのかと一人驚くのだがシャフトにとってはもう見慣れた光景であるし、半分近く食べた当の本人たる指揮官が気にするはずもない。
「お母さんは、沢山食べる人、ですから」
「人は、余り食べると、太ると聞いたが?あ、いや、貴女が太っているというわけ、ではない」
「にゃはは、その辺りは大丈夫、私食べても太らないからね~」
因みにだがシャフト初めとしたP7とステアーが指揮官をお母さんと呼んでいる理由は既に話している、リベルタも驚きはしたが深い事情が見え隠れしているので表面の理由だけで納得している。
ともかくこのまま紅茶だけでお茶会というのも悪くはないが、折角だからリベルタにこの基地を見てもらいたいと思った指揮官、なので本当に、友人を誘うくらいのノリで
「ねぇ、まだお迎えがくるまで時間があるし基地を見て回らない?大丈夫、ここはハイエンドだからって警戒……はまぁ、少ししてる子もいるけど特に問題ないからね」
「え、あ、だが……機密などもあるだろう?」
「うーん、多分大丈夫でしょ。カフェと食堂と救護室と中庭位だったらそんなに怒られないだろうし、いや、怒られる理由ないし」
「……」
困った、そんな感じで黙ってしまうリベルタ。流石に強引すぎたかなぁと少し反省してしまう指揮官だったがそこで動いたのは意外にもシャフトだった。
彼女はリベルタを気に入ったのだ、何処と無く自分と似た空気を感じたとも言える、それと最近、指揮官とアーキテクトが親友のような感じに接しているのを見て自分もそういう存在が、友達と呼べる者が出来ないかなと彼女にしては珍しい願望が生まれていたのである。
だから目の前のリベルタとならもしかしたら成れるかもしれない、そんな風に思い
「あの、私もリベルタちゃ、ちゃ、さんに基地を、紹介、したい、です」
「え……あ、えっと……なら、頼む、ああ、頼みます」
「よーし、じゃあ……バスケットとか返すついでにカフェ行こうか!」
互いに言葉にはしない、だが今のやり取りでリベルタはシャフトに、そしてシャフトはリベルタに、絆を確かに感じ始めていた、友達とは言葉にせずともなれるものである、互いに少しだけ勇気があればよいのだから、そして今まで誰かの陰でヒョコッとして顔を出せなかった娘の成長に嬉しくなる指揮官は穏やかな、だけど少女らしい嬉しい笑みを浮かべながらリベルタに基地を案内を始めるのであった。
三人が行動を開始した時、所変わりキッドとロリネゲブは……
「PKにペチェネグ、バルソクにラインメタルFG42まで、おおおお、凄いなここまでマシンガンが勢揃いな光景本当にたまらないな!!」
「はぁ……ごめんなさいね、キッド兄さんが騒がしくて」
「呵々、良いのじゃ。にしても本当にマシンガンが好きなんじゃなお主」
射撃場でキッドは大興奮し、ロリネゲブはそんな彼に呆れと嫉妬が混ざりに混ざった声で副官に謝り、監視のために着いてきていた副官はそんな二人に笑いながら謝罪を受け入れる。
副官からすれば此処までのやり取りで二人にそういった悪意がないのは分かったのでやり取りを楽しむ方向に変えていた。忘れがちだが彼女はおばあちゃん特有の色恋沙汰を酒の肴にするのが好きな人形だ、懐かしのヘタレPPKと指揮官のやり取りなんて何回酒の肴にしたかもはや覚えてない。
なのでMG人形たちに大興奮なキッドに嫉妬混じりの視線を飛ばすロリネゲブがなんとも面白くて飽きないのだ。
「苦労してるのう、お主」
「な、何の話かしら?」
「安心せい、少なくともお主は積極性がある、なれば後は策を練り、当たるだけじゃ……よいか、世にはどうしようもないヘタレがおるのじゃよ、両想いなくせに一切の進展が無いというヘタレ同士の殴り合いがな」
「アドバイスなのそれ?それともその情報を流して愉悦に浸りたいの?」
さて、どっちじゃろうなぁといつもの不敵な笑みをロリネゲブを見据える、それを受けてむぅとまたキッドに視線を戻す、見ればそれはもう熱の入りすぎたマシンガンのウンチクを話し続ける姿が、周りのMG人形たちが軽く引いている。
「あのバカ、人様の基地で何やってるのよ」
「いやはや、本当に見てて飽きぬのうお主らは……む?」
気配を感じ振り向けば射撃場入り口に指揮官とシャフトとリベルタの姿、いや、他にもPPKとP7、ステアーの姿もあり、何やら紹介をしているらしい。
「って、あれ?おばあちゃんにさっきのネゲブちゃんに、えっと、キッドさん?」
「なに、やってるんだ?」
「うぅ……」
まさか射撃場に皆勢揃いしているとは思わなかった指揮官は驚き、リベルタはキッドの様子に困惑し、シャフトは見知らぬ男性が暑く語ってる姿に怯え指揮官の陰に隠れてしまう。
「驚いたわ、リベルタとあそこまで上手くやれるなんて」
「あ~、まぁあやつはこの手の才能はとんでもないものがあるからなぁ」
「おばあちゃん聞いて、私達リベルタと友だちになったのよ!!」
P7が代表して副官に伝えればおお、そうかそうか良かったなぁと頭を撫でる。その言葉に更に驚いたロリネゲブがそっちを見れば嘘でもなく指揮官達と会話をしているリベルタの姿に、ただ一言
「……人形誑しって言われない、彼女」
「否定はせぬ、うむ」
二人の呟きはリベルタ達には届かない、と言うよりもリベルタは他のPMCである指揮官とその家族と友達になれたことが嬉しく、それどころではないというのが本音だろう。
こうして突発的ではあるがMSFとの交流は成功と言える形で相手側の迎えが来るまで続けられた、因みにロリネゲブは少ししてから射撃場を後にしてこの基地のネゲブに家事を教わっていたのだが
「いい、スペシャリストというのならば掃除も料理もスペシャリストなのよ」
「よく分からないけど、家庭的な技術も持っておいても損はないわよね」
曰く、少し抜けてる姉が出来た妹に家事を教えているような光景だったらしい。
Session分けしたけどこれ前後編でいいじゃんアゼルバイジャン
てかコレ大丈夫?許される?リベルタちゃんトモダチ作戦はコレで本当に許される?(ガクブルガクブル)
あとは向こうが上手く書いてくれるって信じてる!!!(土下座