それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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皆で願いを書いていこう!


空の星に願いを込めて

指揮官は今激しく後悔していた、確かに興味本位の行動で半ば衝動に近すぎた、だがどうしても気になってしまったのだ。

 

あの日、リベルタ達を救出し迎えに来たMSFの司令官『ビッグボス』あれ、『スネーク』だったけとなるが兎も角その司令官と対面したがその大きな威圧を前に怯み会話がままならないとなると向こうが気を利かせて、とあるアイテムを彼に渡せば、司令官は嬉しそうにそれを被り会話をしてくれたので彼女は何とか彼との会話を乗り切ることが出来たのだが、その時にふと思ったのだ。

 

(……そんなに心地が良いのかな?)

 

無論、端から見れば変人とも言える行動だったのは否定しない、が嬉しそうだったのだ、もしかしたら意外と心地が良くて被るのかもしれないと思ってしまった。

 

そのアイテムとは『ダンボール』最近は結婚したり娘が出来たりとかでしっかりしなきゃと控えていたのだが指揮官は基本的に好奇心が赴くままに動きやすい傾向がある少女である、そして今回はそれが抑えきれずに偶々、本当に偶々誰も居ない倉庫にあったダンボールを見つけてしまった彼女は

 

(い、一度だけだから、少しだけ確認するだけだから、ほら、大人のあの人が嬉しそうだったんだよ?私が被ってもなんか発見があるかもしれないじゃん?)

 

と言い訳に言い訳を重ねて、恐る恐る被ってしまった。感想から言えば意外と落ち着くと言うのが最初に来た、狭く暗い空間だと言うのに妙な安心感が来たのだ。コレは確かに嬉しそうにするわけだと一人納得する彼女、少しだけと言いながら数分とついつい被ってジッとしていたがそろそろ戻らないと誰かが探しに来ちゃうなと行動を起こそうとした時……無情にも倉庫の扉が開く音が指揮官の耳に響いた。

 

(!?)

 

動くに動けなくなった、そもそも自分一人で倉庫に入ることすら若干いい顔をされないというのにそれでダンボールを被ってましたとなれば色々と消えてしまうものが出てきてしまうと珍しく危機感を覚える指揮官。

 

だが誰が入ってきたんだろうと被ったまま耳を澄ませば、聴こえてきたのは

 

「あやつめ、何処に行ったのじゃ……目撃証言だと倉庫に入ったのは確かなのじゃがなぁ」

 

最悪な展開が此処に広がった、という事で冒頭に戻る。他の誰かだったら何とかなったかもしれない、だが副官にコレをバレるのは非常にマズイ、一度被るなよと釘を差されてるから尚マズイ。

 

コツンコツンと足音が彼女に耳に嫌に響くが動けない彼女はただじっとし自分は唯のダンボールですと言い聞かせるしか無い、お願いだからバレないでと祈るほどだった……まぁ、現実は少女に優しいわけもなく、足音は無情にも指揮官の側まで来て、そっとダンボールが持ち上げられればそこには無表情でジト目で指揮官を睨む副官の姿。

 

「バレぬとでも思ったか?阿呆が」

 

「……け、結構居心地良かったよ?」

 

ゲンコツが落ちた。そんなやり取りがあったが今日はとある特別な日、『七夕』と呼ばれる日らしく朝から一〇〇式たちが忙しなく準備に走っていた。

 

そんな中指揮官はダンボールを被っていたのだが、指揮官が普通に過ごしていたとしてもやれることは殆ど無いので問題にはならない、強いてあげるなら会場である屋上で合流したPPKにも非常に微妙な顔をされ

 

「ユノ、その、流石に何でもかんでも真似をするというのは如何かと」

 

「うん、今度からもう少し考えて行動する……で、七夕って何をするの?」

 

切り替えの速さはある種の彼女の美点かもしれない。七夕、それは諸説諸々あるが語るとまた日が昇ってしまいそうなのでと一〇〇式が前置きをしてから

 

「この私達が用意しました短冊に願い事を書きまして、それからこの葉竹に飾る、というのが一般的な七夕となります」

 

「だから皆で短冊になにか書き込んでるんだね。あ、P7達は何を書いたの?」

 

丁度近くに、と言うよりも向こうが指揮官に気付いて揃ってやって来たP7達に指揮官が聞いてみれば、三人はまるで聞かれると分かっていたかのように顔を見合わせてから

 

「秘密よ!」

 

「秘密、です」

 

「あ、えっと、ごめんなさい、秘密です」

 

まさかの三人娘からの言葉にありゃ?となるが願い事というのは得てして余り人には話さないものだったかと自分で納得してから、なら仕方ないねと笑顔で三人の頭を撫でる。

 

因みに、三人の願い事は同じで短冊に書かれていたのは『お母さんとお父さんと何時までも過ごせますように』それを三人が寝てから葉竹に飾られてるのを見た二人が嬉しそうに微笑み合うことになる。

 

それぞれが思い思いに願い事を書く中、指揮官はうーむと悩んでいた、願い事がないからではない、寧ろありすぎてどれにしようかという悩みだ、そんな彼女にPPKが話しかける

 

「もしかしてどれにしようかで悩んでますか?」

 

「うん、皆と平和に過ごしたいし、PPKとずっと一緒に居られるようにっていうのもあるんだよね……PPKはもう書いたの?」

 

「ええ、あたくしは『ユノとこれからも共に居られますようにと』勿論、P7達とも一緒ですわ」

 

迷いないその言葉にPPKらしいやと少しだけ頬を紅くして、改めて願い事を考える、自分はどんな願いをしたいのか、考えて、ハッと何かを閃いた彼女は先程まで迷っていたとは思えない感じにペンを動かして

 

「……うん、これがきっと私の今の願い!」

 

自信満々にそう告げ願い事を書いた短冊を葉竹に括り付ける、そこに書かれていた彼女の願い、らしいと言えばらしいが今までの彼女でなく、今の彼女だからこそ生まれた願い、短冊にはこう書かれていた。

 

『皆と、そして繋がりが出来た人たちが笑って、平和に過ごせる日が少しでも続きますように』

 

指揮官はこの世界の現実を知っている、ずっとなんて本当は無理だと分かっている、だからこそ少しでも続いて欲しい、その少しが長くなり、そしてずっとに変わって欲しい。

 

だけど、今は少しだけと欲張らない願い事を短冊に祈るのであった。因みに他の面々の願い事を少しだけ紹介するならば

 

Vector

『この鐘の音が祝福しか告げない日が来ますように』

 

G36

『お嬢様が何時までも笑顔で居れる世界になりますように』

 

ヴァニラ

『この基地が平穏で、のんびり過ごせますように』

 

スプリングフィールド

『少しだけ、勇気を』

 

基地全体の平穏を願う者、個人の事を願う者、割と我欲なことを願う者、思い思いに短冊に願いを書いていく中、最後に葉竹に飾ったのは副官、しかも全員が書き終わり解散してから一人隠れるように飾った短冊にはただ一言

 

『ユノの幸せが、今までの不幸を覆せるほどになりますように』




前半、ダンボールの話じゃねぇかコレ!!!

春田さん、短冊にそう書いたがどうするかなこれ

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