それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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情報部門に人員追加


情報は鮮度が命

あっ、と突然声を上げたのは指揮官、あまりに突然なそれに何事かと副官が怪訝な眼を送るが気付かない様子で、と言うよりもなにか重大なことを忘れていたという表情を晒している。

 

流石にそんな表情をされると不安になるのが副官、もしや自分でも何か忘れている書類でもあったのかと聞いてみれば

 

「ああ、いや、書類とか本社に何かってわけじゃなくてね?」

 

「じゃあ、何なのじゃ」

 

「ほら、私の身体のナノマシン、それをどうにかするナノマシン、えっと『リバイブ』の作成にアーちゃんだけじゃなくてさ、D08基地のドリーマー達も協力してくれてたんだよね?」

 

「うむ、そう聞いておる、アーキテクトが自ら頭を下げ協力を漕ぎ着けたと、でもなければまだまだ時間がかかってしまっていたとも言っておったな」

 

そう、ペルシカとアーキテクトの二人だけだったとしたらリバイブの制作は相当な時間がかかり、そして指揮官の身体に仕掛けられてアーキテクトも気付けなかったリミットに引っかかっていた危険性があった。

 

だがそれを軽く凌駕したのはドリーマー達の協力があったからこそ、そして今回はそこに鍵があった、まぁ早い話が

 

「そこまで協力してくれた向こうに……私達まだお礼してない」

 

刹那、空気が一気に死んだ。これを思い当たった指揮官は勿論、今の今まですっかり頭から抜けてしまっていた副官に至っては今すぐにでも頭を抱えてしまいそうな雰囲気まである。

 

ここから二人の行動は早かった、自分たちだけでは何を用意するかなど決めるには知識が偏りすぎていると判断、ならばと呼び出したのは

 

「やぁやぁ、急に呼び出されてビックリしたけどなにか急を要する案件かな?」

 

「うん、割りと急ぐかも……」

 

我らが財政担当のスチェッキンさん、最近ではスリーピースのプロデューサー業も兼用しだしたらしい。ともかく彼女ならば何かいい案を出してくれるのではないかと指揮官が事情を話していけば、ふむふむと考えるポーズを取ってから

 

「一つ、何か制限はあるかい?」

 

「わしが出れん、それくらいじゃな。特に大きな制限は掛けぬ」

 

「オーケー、じゃあマタニティグッズとベビー用品を格安で向こうで屋台を開こう、それとスリーピースを向こうでライブをしようと思うんだけど、どうかな?」

 

「おお、それいいかも!あ、勿論だけど私も着いていくからね、きちんとお礼したいし」

 

因みに指揮官が出ると自動でPPKと娘三人が着いてくることになるがそれはそれで大丈夫でしょとスチェッキンは判断、スリーピースも許可が降りてならばとスリーピースグッズも売るかと計画を立てていく。

 

細かな調整は向こうとすることになるのでと大まかなことだけを立てていき、そして

 

「じゃあ、タカマチ指揮官に確認の連絡をとって決まったら今度は細かな調整を話そうか」

 

「了解、じゃあ私は今から屋台の商品を準備してくるよ、では失礼……ああ、P38丁度良かった実はだね……

 

「いやはや、何というかアヤツにももう頭が上がらぬのう~」

 

「だね、っさて、D08地区に連絡取らなきゃ」

 

その日の午前はこんな感じに流れたのだが午後は午後で実は忙しかったりする、と言うのも今までの懸念だった情報部の人員の少なさに漸く光が見える話が来たのだ。

 

という訳で場面は広報室、何時も通りFMG-9が今月の記事を作成する流れで情報収集をしているのだがその作業の中でもさっき指揮官から聞いて話を頭の中では疑問が生まれた

 

(向こうから『アリババとメジェド』の名前を出してきた……つまり自分たちを知っている者ですよね)

 

確かにココ最近ではこの名前を使っての活動を再開して情報も集めていた、だが自分たちがこの基地に居る、という事は勿論だが公言していないし誰かにバレたということも確認できてない。

 

だと言うのに相手は自分たちがこの基地に居ると知り名前まで出してきた、無論、警戒しない訳もない彼女はこうやって情報を集めようとするのだが

 

(確証にならない、どれも噂レベルの情報……)

 

上手く集まらない、まるでその部分だけ靄がかかったかのような物しか出てこない、だがそこに答えがあると眼鏡の奥の瞳が鋭くなる。

 

自分は知っている、このやり口を、この情報の消し方を、そして何よりソイツが決まって使うマークがこれ見よがしに集めようとする情報に点々と写っていることで半ば確証になり、ゆっくりとヴァニラ、そして『警備部門』に通信を入れる、内容は簡単に……

 

「急に合言葉とか出されるとさ、どうしようもないと思うんですよ」

 

「そうでもしないと炙り出せませんからね~、『ヘルメス』?」

 

「いつ潜入してたのよアンタ……」

 

「今朝ですよ?」

 

少女の声が響く広報室、そこに居るのは主のFMG-9、相棒のヴァニラ、そして長いツインテールのような髪が特徴的な戦術人形『G17』、だがこれはあくまで表面上の話、彼女は何を隠そう二人がまだアリババとメジェドの頃によく利用していた情報屋『ヘルメス』裏社会どころか表であろうと少し探れば出てくる割りと有名な情報屋である。

 

報酬さえしっかりと渡せば鮮度のいい情報を流す人形、だったのだが何を思ったのかこうして戦術人形としてこの基地に来た理由を聞けば、彼女は真面目な顔をして

 

「この基地、と言うよりボスと言うべきかな。MSFと繋がりを持ったよね?」

 

「流石の速さですね、で、それが?」

 

「うん、正規軍の耳に入ったぽいんだよね、んで私も軽く足付いちゃって逃げ込んで来たってわけよ」

 

サラッと雑談でもするように出されたその話にFMG-9は、大きく驚きはしなかったが表情は真剣そのものになる。それは隣のヴァニラも同じであり、小さくマズイわねそれと呟くのも聞こえる。

 

何時かはそういった話も来るだろうとは予測していたが此処でかというのが素直な感想だった、しかし寧ろこのタイミングでよかったとも言える、MSFと言う強大な他PMCとの繋がり得たことでいくら正規軍と言えど無闇にはちょっかいは出せない。

 

「それよりもヘルメス、足が付いたって大丈夫なんですよね、厄介事丸々来るようなら基地から放り出しますよ」

 

「それは平気よ、だからこうして民生から戦術人形に記憶を保持したまま身体を移して来たんだし」

 

「間違いなく記憶を保持するためにIOP、しかも個人を情報で強請ったわねコイツ」

 

今の会話から分かるようにヘルメスと呼ばれるG17は自身が手に入れた情報で強請るとかを普通にやり、逃げたり更に情報を得たりなども行っている真っ黒な人形だったりする。

 

だがそんな彼女が味方についたのは非常にありがたいのは変わりない、なので

 

「まぁ、歓迎はしますよヘルメス、所でボスたちには会ったんですよね?」

 

「……流石にそこまで礼儀知らずになった覚えは無いよ?」

 

「昔話してあげようか?」

 

ヴァニラの一言にやめてと静かに答える、彼女は情報を集める者、だが自分のことを話されるのはとてもとても恥ずかしい人形だったりするのだ。




D地区にお礼するのすっかり忘れてたやーつ、はい

正規軍関連云々はまぁ、特に大きな意味はないよ、ばら撒いただけよ。

『ヘルメス』
裏でも表でも割と聞かれてた情報屋、相応の報酬であればどんな情報でも集めてくるのでハッカー時代の二人もよく活用していた、その時はまだ民生人形だったのだが足が付いたのを理由に戦術人形に自身を変えてP基地に転がり込んできた。

基地では主にFMG-9と共に広報記事を作ったり情報を集めたりするのが仕事、実は余り射撃などは得意じゃなかったりする。

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