それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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リベロールに対して独自設定をぶっこんでいくスタイル。


名推理だよ、医務長さん!

医務室、今日も今日とて医務長PPSh-41とその助手であるSOCOMがせっせと業務を進めている空間のベッドに彼女は居た、いや、居たと言うよりも

 

「バイタル安定、何度目のセリフか分かりませんが本当に昏睡状態に近い睡眠ですね……」

 

「どうにかしてあげられないのかしらね」

 

SOCOMの言葉にPPSh-41も頭を悩ますその存在とは最近配属された人形であり今こうしてベッドで睡眠……と言うよりも昏睡に近い状態で眠っている【リベロール】である。

 

彼女の配属に関してはペルシカから彼女はかなり特殊だから上手く付き合ってほしいと何と事前に通信が入る程であり、そして当日に至っては

 

「……リベロール1918です、今日からお願いします」

 

「うん、よろしくねリベロールちゃん!?」

 

挨拶もそこそこに倒れ、医務室に緊急搬送されると言うインパクトだけでいえばコレ以上にないほどの配属当日を迎えている。

 

それから数日、一応任務とかはきちんと遂行してくれるのだが終わって戻ってくれば医務室のベッドにてこうして眠っていることが多い、流石に不安になった指揮官から検査を依頼された二人が行い、ヴァニラも色々と検査をして手が加えられる部分は加え改善を図った。

 

のだがこうして昏睡状態になる、その大元の原因がわからないのだ。

 

「IOPやペルシカさんから追加の情報は?」

 

「それが全く、指揮官が問い合しても不明の一点張りらしいわ。でもまぁ私達やヴァニラがあそこまで調べても分からないのだから不明と言われても仕方のないという部分はあるにはあるわね」

 

手詰まりですねそれと思わず呟き自身の席に座るPPSh-41、だがその声には顔には幾分の悔しさというものが滲み出ていた、確かに人間と人形とでは根本的なものが違うとは言え医務長をという立場にいる自分が何も出来ないということ事実がどうにも悔しいのだ。

 

何か見落としてる部分があるのではないかとカルテを何度も読み返しては何度もノートに情報を纏めボールペンでそれを叩く仕草を見せ始めるPPSh-41、そしてそんな行動をし始めたということは考えが煮詰まり始めているときだと長年の付き合いから知っているSOCOMは徐にコーヒーを淹れ始め。

 

「はぁい、ペーシャ。一旦思考を中断しましょうか」

 

「なんですか突然……」

 

「考えが煮詰まり始めてるんでしょ?一度リセットするのも大事じゃなくて?」

 

淹れたばかりのコーヒーに彼女の好みである砂糖とミルクを混ぜ渡せば、お礼を一つ言ってから口に含む、自分好みに完璧に調整された甘さ、それが口の中に広がり詰まり掛けていた思考を解かし始める。

 

身体的原因はない、メンタルモデル部分に大きな異常も見受けられない、そもそもあったら自分たちとヴァニラで完全とも言わずとも修復している……なら?

 

(もっと奥深く、システム、いや、システムでもヴァニラが手を加えられる。なら……)

 

一つの閃きが彼女の電脳を駆け、自分たちが診たのを纏めたカルテとヴァニラからのメンタル及びシステム部分のデータをもう一度一枚一枚確認していく、もし自身の仮定が正しければとPPSh-41が見たのは電脳の思考ルーチンを司る部分、そこの波、そして

 

「そうか、コレだとすれば……」

 

「何か分かったの?」

 

「恐らくは彼女は何もすることがない、つまりエネルギーを使うことが暫く無いと判断した時、ほら、急激にシステム部分が落ちていってるんです」

 

見れば、確かに言う通り彼女が任務を終えた後や、検査が終わった後、もしくは医務室に来てからと言うタイミングでリベロールのシステムは緩やかにスリープ状態に推移していき、最後には今みたいな状態、つまり昏睡状態と呼ばれるスリープに完全に切り替わっていた。

 

「あらあら、まるでG11ね、いや、あの娘は起きたり寝たりだけど」

 

「彼女の場合は違いますけどね、完全な省エネシステムの確立、それがリベロールという人形なのかもしれません……義体やメンタルモデルの不調などはそれに納得させるための後付と考えるのが正しいかもしれません」

 

「見た目のデザインも、配属先に変に勘ぐられないようにの処置ってわけね、で、それを判明させたのだけど今後どうするの?」

 

「不調とかではないのでそのままでも良いのですが……ふむ、一つ、試したいことがあるんですよね」

 

不敵に笑みを浮かべてから、では彼女が起きる前に色々準備を済ませておきますねと自室に消えたPPSh-41、そして相棒のそんな表情を久しぶりに見たSOCOMは何を考えてるかまでは分からないがただ一つ分かることはあると今もスリープ状態のリベロールを見つめて

 

(頑張ってね、多分ペーシャは厳しいと思うから)

 

彼女が何を計画したのか、そしてSOCOMは何故そんな事を思ってしまったのか、答えは割とすぐに判明する、と言うよりその日の内に判明した。

 

リベロールがスリープ状態から復帰した時間、彼女は起きるやすぐにPPSh-41に呼ばれ彼女の前に座れば

 

「リベロール、此処のスタッフになりません?」

 

「え……なんでですか?それに私は診る側じゃなくて診られる側なのですけど」

 

「ふむ、その悲観的な部分は後々に矯正しましょう。で、理由でしたね、貴女の昏睡に落ちる原因が分かったからですよ」

 

PPSh-41は考えた、何もすることがなくてスリープ状態に切り替わってしまうのならば、何かをするということを覚えさせ、そこからスリープ状態の切り替えの練習をさせようと、後ついでに医務室の人員も増やしてしまおうと。

 

勿論、突然そんな事を言われたリベロールは拒否しようとするがPPSh-41からはニッコリと威圧感がある笑みを浮かべられ、救いを求めて隣のSOCOMを見つめるが

 

「あ~、その、この状態になったペーシャはわたくしでも止められないのよ、ごめんなさいね。でも安心して、サポートはしっかりしてあげるから」

 

「ソーコム、変に甘やかさないで下さいね、さてリベロール、今日から座学から始めましょうか、折角ですし此処の手伝いや、いずれは任せても良いようにしたいですね~、いやぁ腕が鳴ります」

 

ニッコニコ笑顔のPPSh-41と対象的に悲観的な表情のリベロール、それに対してどうしたものかと曖昧な笑みを浮かべてしまうSOCOM、こうして医務室の人員にリベロールという人形が増えた、増えたのだが

 

「……要件、どうぞ」

 

「お主が医務室のその席に座っとるほうが不安なのじゃが」

 

「慣れてください、大丈夫です、リベロールには私が責任持って教えてますので」

 

やれやれね~、SOCOMの呟きは誰にも届かない。今日も医務室は比較的平和です。




医務部門にリベロールが加わりました!見た目不安しかねぇけどペーシャ医務長の教えだからヘーキヘーキ!

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