それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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その御蔭でこの基地は上手く回っているのかもしれない


らしくない、だけど

時間は昼前、ふぅ、と誰かの息を吐く音が屋上に響く、別に気落ちしているとか言うわけではない、ただ溜息を突きたくなったと言うだけである。

 

何というか、イメージからかけ離れすぎていた、それが彼女【ジェリコ】のこの基地への指揮官、ユノ・ヴァルターへの第一印象であり、少しばかり言えば落胆を隠せない部分も彼女には存在している。

 

(あれで、指揮官が務まっていたというのか……)

 

「って顔してるわね」

 

声に振り向けば、そこに居たのはこの基地のネゲブ、どうやら洗濯物を干しに来ていたようでダミー達が洗濯物が一杯に入った籠をせっせと運び指定の位置に干していく。

 

それを見てジェリコはまた小さく溜息を吐き出す、先程指揮官にとは言ってたがもっと言えばこの基地にも少なからず違和感と落胆がある、何というか『らしくない』のだ、最前線で、尚且その中でも最高峰と言われるこの基地、噂には聞いていた、似つかわしくないほどに緩い指揮官がそこに居るとは。

 

だが蓋を開けてみれば指揮官だけではなく基地全体が何というか緩さを保っていた、無論任務もこなし、過去の戦績から決して最高峰と言われているのは嘘ではないとは理解している、しているのだが

 

「何があるか分からない、それがS09と言われる地区の筈ですよね」

 

「そうね、ココ最近は物凄く静かだけど常に鉄血の襲撃を警戒しなくちゃ行けないのは確かね……ああ、そういう事」

 

今のやり取りで理解した、どうにも目の前のジェリコは少しだけ誤解をしているようだと、と言うよりもこの基地へのイメージが何処でどう伝わったかは知らないがもう少し

 

「軍のようなのを思い描いてたかしら?ふふっ、噂が流れてないわけじゃないでしょう、この基地はその噂が正しいのよ」

 

「……ネゲブ、貴女は何故この扱いを甘んじて受け入れているのですか?」

 

「戦術人形が主婦みたいなことしたらおかしい?って質問に質問は失礼ね、ええ、私は満足しているわ、それに出撃がまったくないというわけではないしね」

 

隣失礼するわねと洗濯物はダミーと着いてきていたシャフトに任せて、自分はジェリコの隣に立ち柵に体重を預けそこから見える景色を眺めながら

 

「この基地は基本的にはこれが日常よ、誰もが戦う以外の日常を謳歌する……最前線『らしくない』だからこそ、大切な日常をね」

 

「らしくない、だからこそ……では指揮官も?」

 

「あの娘?そうねぇ、指揮官もまぁ簡単に言えばそうね、でもあの娘は『らしくない』ではないのよ、彼女にとってはこれが『日常』こうして人形(わたし)達に囲まれ、時に戦いがあるこの基地の風景が指揮官にとっての普通なのよ」

 

と、ここまでが私が思っている部分だけどと柵から離れて残りの洗濯物を干すのを手伝いに向かう、対してジェリコは今の一言が引っかかり、どういう意味だと聞いてみれば

 

「彼女がこれが日常だと言えてしまう理由を知りたいと思い、覚悟があるのならば副官辺りにでも聞いてみればいいわ、多分答えてくれるわよ」

 

「ネゲブは、聞いてないのか?」

 

「聞いてないわ、多分だけど私は聞いたら指揮官を普通に接して上げることが出来なくなる、そうね、気を使ってしまうというのが正しいわね……だから聞かない」

 

そこで話は終わりだとネゲブは残りを干してからシャフトを連れて屋上から去る、残されたジェリコはしばし迷うように屋上から景色を眺め、ふと視界に入った指揮官、この世界で、この基地で、だけど指揮官らしくない緩い笑顔を浮かべ人形たちと接している彼女を見て、ジェリコは来て早々の自分だが踏み込もうと決心し副官を探しに行動を開始する。

 

そしてその日の夜、屋上に彼女はまた居た。副官から今日までの指揮官の話を聞いた彼女は何処か納得した雰囲気を出しながら夜の基地を一望していると屋上の扉が開かれる音が聴こえ振り向けば【M16A1】の姿、向こうもまさか誰かが居るとは思ってなかったようで

 

「っとと、あ~っとジェリコだっけか?」

 

「ええ、そういう貴女はAR小隊のM16A1、ですよね?」

 

「おぉ、私達も有名になってるもんだ……タバコ、良いか?」

 

どうぞ、と彼女から許可が下りれば、M16は距離を離した所ででは失礼と火を点け一服、しばし余韻を楽しんだ後にジェリコに此処で何してたんだと聞いてみる。

 

聞かれた彼女は視線を動かさず風景を見つめながら今日のこと、つまり自分が指揮官の過去を聞いたことを話せば、あぁとまた一つ吹かしてから

 

「中々あれだっただろ?」

 

「正直、此処までとは思わなかったわ……でもだから少しは理解できた、どうしてこの基地がここまで『らしくない』のかを」

 

「そうだなぁ、私も最初は驚いたが慣れると寧ろこれが心地よくて、だからこそ出撃しても生きて帰ろうとすら思える」

 

M16の言葉にジェリコは静かに同意する、まだ慣れたというわけでもないが最初の落胆したという考えは既に無くなっていた、逆にコレがこの基地が今日まで勝利を収め、戦績を上げてきたのかを自分的には断片的に納得できた。

 

指揮官が笑みを浮かべのんびりと過ごせる日常、それを彼女達は守っている。だからこの基地は上手く回っているのだろうなと、そう考えていたジェリコだったのだが翌日、指揮官の空気の変わりように驚かされることになる、と言うのも急に執務室に呼び出されたのだが

 

「失礼します」

 

「あ、急にごめんねジェリコ。ナガン達がさっき出撃しちゃって此処で補佐を頼めるかな」

 

「私が、ですか?」

 

今、目の前に居るのは昨日ゆるい感じを醸し出していた指揮官なのか。それが執務室に到着してから最初に抱いた感想だった、と言うよりどうしてこんなピリピリしているのかと聞いてみれば

 

「今日の朝かな、ペルシカさんから緊急の要請があってね。内容は闇オークションの撃滅、だけど人数が足りないみたいで今いろんな基地に要請を出してるみたい」

 

「それで副官が部隊長している第一部隊を出して……他の部隊も待機中、なので自分が、と言うことですか?」

 

「うん、と言うよりナガンの推薦なんだよね、ジェリコなら万が一でも大丈夫だろうって」

 

なんでだろと呟く指揮官だがジェリコは何となく彼女の考えがわかった、昨日の話で自分が指揮官に少し落胆をしたと伝えたからだ、なので副官はそのイメージを払拭して貰おうとしてるのだろう。

 

その日、ジェリコは第一部隊が帰還するまで補佐をしていたのだが、まぁ落胆したのは失礼だったと副官に頭を下げたとだけ言っておこう。




なんだろうね、上手く形が整えられんのよね……これは疲れてますね間違いない。

あ、最後は『NTK』様の作品『人形達も守るモノ』へのコラボ出撃の一幕です!向こうも、読もう!!
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