それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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おさらいのような説明のようなお話


ハイエンドモデル化について

先日のバスケの際に発覚したユノ指揮官のさらなる身体能力の向上、及び射撃アシストの範囲拡大、それを聞いた副官も思えば聞こう聞こう思っててすっかり忘れていたなと呟く。

 

彼女も一応はそれに関しては気にかけていた、確かにユノ指揮官の母親であるレイラは正規軍で働いていただけあり身体能力はとても高く、それを遺伝したのだろうとは考えていたのだがそれにしたってナノマシン投与後の彼女の能力の上昇の仕方は副官たる彼女から見ても今思えば

 

「はっきり言えば、異常じゃ」

 

「だろ?貯金があったとしても急激過ぎる……一度、アーキテクトとかに確認したほうが良いんじゃないか、何かあってからじゃ……」

 

M16の心配の声、本音で言えばこれ以上なにか起きるのは彼女のためにも止めてほしいとすら思っている、だがどうしても昨日の事を、そして訓練所での彼女の動きを見ていると不安を拭えないでいた。

 

流石にそこまでの物を感じてしまえば副官も動かざる負えない、という訳で来たのは毎度お馴染みアーキテクトのラボ、インターホンを押せば扉が開き、だが出てきたのはアーキテクト本人ではなくて、割烹着姿のプラウラー『かせいふちゃん』アイツ遂に自分で動かなくなりつつあるのかと思えば、かせいふちゃんはメインカメラで彼女らを認識してから

 

「キャクジン、キャクジン、ヨウケン、ヨウケン」

 

「喋った、だと?」

 

「えらく片言じゃがな、まぁよいアーキテクトは居るか、聞きたいことがある」

 

ピロピロと何とも古めかしい音を響かせて、少ししてから反転してラボへと入っていく、どうやら案内してくれるらしいと着いていけば今日も作業着姿で何かを開発している彼女の姿、だがこちらには気付いてない様子なので声をかけようとした時、かせいふちゃんが彼女の側まで行き

 

「シュジン、シュジン、キャクジン、キャクジン」

 

「むむ、客人?もう、かせいふちゃん、その場で呼んでくれれば向かったのにって副官とイムっちじゃん、どうしたん?」

 

「い、イムっち?16だからか……じゃなくて、アーキテクト、指揮官について聞きたことがある」

 

ユノっち?小首を傾げるアーキテクトに副官とM16は昨日のこと、今までの運動、そして途中で情報整理してて思い出した彼女が一定のキャパを超えると煙を吹いて潰れることの理由、などなどを話していく。

 

その間、アーキテクトも話を整理しつつふむふむと頷いてから

 

「あ~、そういやきっちり説明してなかったっけ?」

 

「うむ、ハイエンド化が進んでいると言うのは聞いておるが、それ以外は特には」

 

「まぁ、殆んどそのハイエンド化で説明が付いちゃうんだけどね、うん、じゃあ一度私もおさらいしたいし説明をしようか」

 

んじゃまぁ少し待っててよと『かせいふちゃん』も使って準備を進め、数分後、先程の作業着姿ではなく白衣にメガネという格好のアーキテクトは出してきたホワイトボードにあれこれと映像と資料、そして文字を書いてから

 

「じゃあユノっちの身体に今起きてること『ハイエンド化』とそのキャパオーバーの原因についてお話するよ、先ずハイエンド化なんだけど、はっきり言っちゃえばコレは心配要らない」

 

「そうなのか?いや、まぁそれならそれで良いんだが」

 

「あまりに急激だから不安になるのも分かるけどね、だけど元々ユノっちはハイエンドモデルの素体として調整されてる、クローンであるからその調整はオリジナルに施されたものよりも断然強力だとは思うし、ほら、少し前にリバイブを投与して肉体とかを正常に戻したじゃん、多分それの影響もあると思う」

 

「もしや、正常化した後のことは何も想定されておらんかったのか?」

 

お、勘がいいね。と今の会話からそれに行き当たった副官を称賛するアーキテクト、彼女曰くユノ指揮官のクローン、及び支配者(ルーラー)の適合実験を行った科学者達はあくまで適合させ、事態が終わったら切り捨てるつもりだったし、態々最前線に、更に戦闘行動などを出来るようになど考えてなかったのでそこまで想定する必要がなかったので支配者(ルーラー)の身体能力がどのくらいになるかなどは全く記述がなかったらしい。

 

「だから今急激に身体能力が向上は支配者(ルーラー)、と言うよりも私達ハイエンドモデルと並ぶくらいになるまでは続くかも、流石にエクスちゃんやハンちゃんクラスまでにはならないとは思うけど……あ、それと射撃アシストについては多分ユノっちの狙うって思考と連動してるからだと思うよ、じゃあ次にそっち方面の話をしようか、キャパオーバーの原因もここにあるし」

 

そう言って次に出してきたのはユノ指揮官の脳スキャンの映像、だが特に変わった様子はない、だが何の変哲がないように見えても彼女の脳は義眼からの侵食が六割進んでしまっている、侵食は止めたのでコレ以上は悪化しないがもし進んでいれば、そう考えてしまうと副官は軽い寒気に襲われてしまう。

 

「さて、何時だったか聞いたけどユノっちの脳は義眼に六割を侵食されている、それは知ってるね?んで、問題と言うか、その六割、つまりは半分と少しが侵食された結果、今のユノっちは『電脳』と『人間としての脳』の2つを無意識下に扱ってる状態になってるんだ」

 

「……え、じゃああれか、妙に覚えが良いとか、指揮の時の頭の回転が速いとか思ってたのって」

 

「うん、電脳による演算機能、それにプラスして普通の脳による反射や勘ってのが大きく働いてるからだね。だから一度にガンガン覚えられたり、義眼とも繋がってるから射撃アシストの可動範囲が広がったりするんだけど結局は電脳としての機能は半分程度でしか使えないからパンクしたり、キャパオーバーして煙を吹いたりするんだ」

 

「なるほどのう、しかし最近はキャパオーバーまでの時間が長かったりする、もしやまた侵食が?」

 

「それは一応警戒して何度か診てもらってるけど進んでないね、だとすればユノっち自身が無意識に電脳の扱いが上手くなりつつあるのかも、そのうちキャパオーバーって事が無くなるかもね。でもこっちもユノっちに悪影響とかは全くないから安心して」

 

もっと細かく説明できるけど、簡単に言っちゃえばコレくらいかなぁとホワイトボードを片付け始めるアーキテクト、副官とM16は今の話を聞いて安全だと分かり一先ず安堵の息を吐く。

 

無論、彼女でも予測はできないので今後何かあるかもしれないが、今日までのユノ指揮官の様子からすれば二人の考え過ぎかもしれない。




Q
つまり?

A
色々向上してるけどなにか危険があったり悪影響があるとかいうのじゃないよ!
ユノっちの頭の回転の速さや稀によく起きてるキャパオーバーは侵食によるものだよ、でも最近は電脳の扱いが上手くなってるから将来的にはキャパオーバーはしなくなるよ!
射撃アシストはユノっちの『狙う』や『撃つ』と言う思考に連動してるからだよ!

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