それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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因みにスリーピースでも勝てないのは本気で歌うVector


目指せ、ボーカルの道!

本日は休日の基地、なのでそこらかしこで人形たちが見せており、その中には勿論ユノ指揮官も存在している。

 

彼女の休日というのは特にコレっと決めている訳でもなく、最近はPPK改めクリミナやP7改めルピナスやステアー、シャフト、家族との団らんだったり、おばあちゃんこと副官とののんびりとした一日を過ごしたりとしていることが多くなった彼女だが何も休日の度にその誰かと一緒に居るというわけでもない。

 

今日のように一人で自由にあっちこっち行ってる時も彼女の休日である、今日は何処で何をしてようかなぁと歩いていると彼女の耳にスリーピースの歌う声が届いた。

 

「あ、今日もレッスンしてる……」

 

そこでふと思った、そう言えば私って歌は知ってても歌を歌ったことはないなぁと言うことに、確かに何時ぞやスオミから聞いたヘビィメタルや、M4が偶に歌ってる童謡などは知っている、が声に出して歌ってということはしたことがない。

 

別に嫌いとかそういうわけでもない、ただ強いて挙げるのならば機会がなかったというのが本音であり、タイミングが合えばやりたいとも思ってはいた。なのでそこで思った、今日は折角だしスリーピース達に教わって貰おうと。

 

そうと決まれば行動あるのみと彼女は聴こえる曲を鼻歌をしながらレッスンルームへと歩を進めていった。

 

「ってことなんだけど?」

 

「なるほどなるほど、では指揮官は今日まで一度も歌は歌ったこと無いんですよね?」

 

「無いねぇ、鼻歌はあるんだけど」

 

「鼻歌が行けるなら歌も行ける気がしますけどね、うーん、指揮官にぴったりな歌、どれだろ」

 

相談を受けたスリーピースはでは先ずはと始めたのはそもそもにして指揮官に何を歌わすのか、ポップな曲?バラード?うーんという声が響く、ジャンルで決めるのは難しい、なので彼女たちは指揮官が歌ってる光景を想像してから決めることにした。

 

もし彼女がステージで歌うとすれば、綺麗な衣装に身を包み、いや、アイドル衣装だろうそこはとスピットファイアが言えば確かにそうだねとなり

 

「じゃあ、この曲なんてどうかな」

 

「お、コレ指揮官に似合いそうじゃないです?どうでしょうか、指揮官」

 

「どっちかと言うと少し前のクリミナや、スプリングの内容な気がしないでもないけど、良いと思うよ!」

 

決まれば後は本業になりつつあるアイドルグループ、先ずは曲を何度か来てもらいリズムや歌詞を覚えてもらう、そこに当初はそれなりの時間がかかるかと思っていたのだが、今や電脳部分も無意識下に使っている指揮官はすんなりと覚えて鼻歌ではきちんと歌えるようになっていた。

 

コレならばかなり期待が持てますねと気合が入るP38、それからボイストレーニング、と言う訳でもないが歌う際の声の出し方などを教え、遂に歌に挑戦することになった。

 

誰もが思った、指揮官の声は綺麗だし歌となればそれはもう素晴らしいものになるんだろうなと、スリーピースの誰もが思っていた……だがこの時はまだ知らなかった、割と何でもそつなくこなす彼女にもどうしようもない欠点が存在するということを、曲が流れ指揮官が歌った瞬間、スリーピースの面々は強烈な違和感に襲われた。

 

「……?」

 

「音が、微妙に違う?」

 

「もしかしたらほら、初めてだし少しだけ合わせられてないだけだよ、もう少し待ってみよ?」

 

PP-90の言葉に一同頷いて物凄く楽しげに覚えた歌を歌う指揮官を見つめる、歌詞は完璧だしリズムも取れている、取れているはずなのだがなにか微妙に違う歌な感じがしてしまう……流石に一番を過ぎた所でそれが修正されない所で最初にフォローしたPP-90だって気付く

 

「あれ、指揮官ってもしかしておnムグっ」

 

「PP-90、その言葉は飲み込んでください、良いですね」

 

ブンブンと首を縦に振る、彼女自身もコレはいけない失言だったと理解している、だが彼女が言おうとしたことは全員分かっている、どうやら指揮官は音痴が入っているらしい。

 

しかもリズムとかがではなく、音だけが微妙に外れるというタイプ、どうにか治してあげようかなと思うのだが此処まで楽しげに歌われるとその行動が移せない。結局、楽しげなまま指揮官は教わった歌を歌いきってパタパタとスリーピースの元へと戻ってきて、キラキラと私楽しかったですという表情のまま

 

「どうだった!?」

 

さて、どうしたものか。リーダーP38は考える、このままさっきのことを素直に評価しても良い、いや、アイドルとして評価して是非とも直した上で更に楽しく歌を歌ってもらいたいと思ってすらいる。

 

だがここまでキラキラな表情をされると事実を言って無駄に悲しませたくはないという感情も生まれる、本当にどうしたものかと悩み、悩んで……

 

「楽しげで、良かったと思いますよ」

 

(まぁ、音が外れてましたとか言えないわよね)

 

(無理無理)

 

(でもほら、楽しげだったのは事実ですし……)

 

P38からそういう評価を貰えば指揮官は更にキラキラな瞳となり、次はどんな歌を教えてくれる!?とせがんで来る、そこで考えたもしかしたら今の歌が駄目だっただけで他のならば行けるのではと、それはリーダーだけではなくPP-90達も同じ考えだった。

 

なので次はHK45の持ち歌にしている曲を教え、先ほどと同じ様に歌ってもらう、やはり楽しく、リズムも歌詞も教えたとおりなのだが……

 

(は、外れてる。しかも物凄く絶妙に)

 

もしやコレが一種の才能なのではと言う感じで曲は崩れてないのに音は外れているという歌い方をする指揮官にもうコレはこれでいいのではとすらなる、別に諦めたとかではない、あの歌い方が彼女の個性なんだと考えることにしただけである。

 

そんな妙な空気に包まれながらも賑わうレッスンルームに今日は珍しくもうひとりのお客が現れた、恐らくは指揮官の声に惹かれてきたのだろうアーキテクトだ、だがこの場で彼女はヤバイかもしれないとスリーピースは思う

 

「り、リーダー。アーキテクトって」

 

「割とバッサリ言う節があります……まぁその場合は私達が直しますと言えばいいだけですが……」

 

「おぉ、誰かと思えばユノっちが歌ってたんだ」

 

「アーちゃん、そうだよ私も遂に歌を初めたんだよ、どうだった?」

 

フフンと先程の評価から自信満々にアーキテクトに聞く指揮官、頼むからオブラートに包むなりしてくれと願うスリーピース、だがアーキテクトの言葉にその願いは無駄だと悟った、と言うのも

 

「すごく良かったよ!だが甘いなユノっち、実は私はもっと前から歌は嗜んでいてね、少し披露してあげよう!」

 

その後は二人のデュエットが始まることになるのだがスリーピースからの評価は

 

「まぁ、その、似た者同士ですからデュエットも不思議と息がピッタリなんですよね。ただ音の外れ方もピッタリなのは驚きましたけど」

 

後にゲーガーに聞いたところ、アーキテクトは鉄血に居る頃から歌は口ずさんではいたのだがその度にイントゥルーダーとかに色々ツッコまれていたと語られるのであった、つまりアーキテクトも指揮官と同じような音痴という話である。




まぁほら、こういう一面があると可愛いやん?って感じで生まれたのが今日のお話です、アーキテクトにも音痴を付与したのは趣味です。


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