それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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狩りは集団で確実に


CUBE作戦(仮)Session3-2

その後、作戦を話し合った結果、第四部隊のダミーを引き連れ404小隊がハンターの現在地に向かい追い立て、進路上の飛行場を通り掛かったところを奇襲を仕掛けて一気に仕留めるという作戦で満場一致となり、現在第四部隊は飛行場で待機している

 

まだハンターが来るには時間がある、その僅かな空白の中、スプリングフィールドはさっき頭に引っかかったあの言葉について考えていた

 

(話には聞いてた、それは本当なのでしょうか。確かに今回の依頼主であるヘリアンさんから聞かされたと言われればそれまでなのですが、彼女が?指揮官の目の能力は確かに信じていますが正直オカルトも良いところの話を只の特殊部隊に話でしょうか?)

 

それにペルシカさんもこの事はあまり話さない方が良いとも言っていましたし、そこでふと話には聞いてた、と発言した時の彼女の顔を思い出す

 

(あれは、聞いてたことを思い出す感じでなく、『読んだ文』を思い出す感じでしたね)

 

ですが仮にそうだとしたら何故あの時にそんな嘘を……?次々と浮かぶ推測とそれに対する疑問で次第に思考の沼へと嵌っていくスプリングフィールド、だがそこから掬い上げたのは別の潜伏場所で待機している【It BM58】

 

《スプリングフィールド》

 

「っ!?すみません、どうかしましたかBM58」

 

《どうもこうも無いですよ、作戦前に隊長がそんな深刻そうな顔されては士気に関わますよ、何か気になることもでありましたか?》

 

「そんな顔してましたか、いえ、大丈夫です、と言うよりあまりにも個人的推測過ぎて喋れないって言う方が正しいですね」

 

突然の通信に驚きながらも彼女の言葉にしまったと思いながらそう言葉を返せば返ってきたのは通信越しのため息、それから

 

《なら良いですが、あんまり考え込むようだったら誰かに話して下さい、特に副官でしたらその個人的推測でも相談には乗ってくれると思いますし》

 

「ふふ、ありがとうございます、ですが目の前の事に集中しないといけませんね。要は私達なのですから」

 

《そうですね、ですが要と言うのならその……》

 

《おう、そうだにゃ、私の事を忘れてもらっては困るにゃ》

 

《貴女はまだ大丈夫かもしれませんがいざとなればあたくしの方が危険度で言えば上なのですが?》

 

IDWの不貞腐れ気味な通信に続くようにPPKの彼女にしては珍しい余裕のない声の通信が入る、この部隊では始めてとなるボスクラス、それもエリート化改造という未知の状態の相手に流石の彼女も緊張するらしい、そんなPPKを見兼ねてIDWが冗談めいた声で

 

《まぁ、うん、PPKはほら、なんとか頑張るにゃ》

 

《あら、ここに素敵な静電気発生装置がありますわよ》

 

バチバチバチと通信越しのはずなのに背筋が凍る音を響かすPPKに流石のIDWも巫山戯るなよお前、なんでそんな危険物持ってるにゃ!?と悲鳴に似た声を上げたところで離れた位置で爆発音が鳴り、【SV-98】から通信が入る

 

《スプリングフィールド、今404から通信来ました、狼は行動を開始した、追い込みを始めるとのことです。また指揮官から移動速度からの飛行場到着時間が出されました、二分です》

 

「分かりました、では皆さん、確実に仕留めましょう」

 

了解(にゃ)!と全員が臨戦態勢に入る、そして二分ピッタリ経ったときハンター(獲物)が飛行場に現れる、その顔は幾分か余裕はなくどうやらダミーの徹甲弾はいい感じに刺さってるようだと判断できた

 

そのまま占領には入らず警戒をしつつ管制塔の側を通り過ぎたとき音もなく、そして普段からは考えられないような目つきでIDWが陰から飛び出て愛銃のトリガーを引く

 

「!?」

 

完全に入った奇襲、パララララ!と軽い銃声が鳴り響きハンターの胴体、及び装備に命中するが今度はIDWが驚きながら叫ぶことになる

 

「かったいにゃ!?装甲付いたって言っても少しは加減するべきにゃ!」

 

「そんな拳銃で貫けるとでも思ったか!!」

 

「拳銃扱いは心外だにゃ!」

 

お返しとばかりに至近距離の射撃が飛んでくるが極限まで集中した彼女の目にはバレットタイムよろしく弾丸がスローに見えているためハンターからの反撃を回避しながらそれでも銃弾を浴びせる、だが勿論、結果は変わらずダメージらしいダメージにならず遂にはカチンッと弾切れを知らせる乾いた音が鳴り、リロードの時間を作るために一気に飛び引く、が

 

「逃がすか!」

 

「にゃ!?」

 

起動装置を稼働させ一気に距離を詰めてくるハンターに驚きながらも横っ飛びで回避、ハンターは追撃とばかりに急停止からの攻撃を試みるタイミングで起動装置に三度の銃撃、だが傷は付かず寧ろ存在をバラすことになる

 

「効かない!?」

 

「やばっPPK逃げるにゃ!!!」

 

「呪うなら、己の迂闊さを呪うんだな!」

 

IDWには攻撃は回避されると判断したハンターは即座にPPKに狙いを変え起動装置の加速を使い一直線にその首を狩りに行く、そう『一直線に』

 

ハンターは見た、目の前のPPKの口元が愉悦に浸ったように歪んだところを、そして彼女からは見えないがIDWも嗤っていた。気付けば加速が途切れていた、自分で機能を切った覚えもなければ理由もない、故障もありえない、なのにまだPPKまで半分という距離でその機能が停止し驚く暇も与えず彼女の胸元を衝撃が襲い、更に胴体各種に続けざまに銃撃を受け遂に倒れ伏す

 

「呪うなら貴女自身の慢心を呪って下さい、それと一つ、貴女に教えて差し上げますわ」

 

倒れ伏したハンターが微かに残った意識で声の方を見ればそこには見下すように視線を送るスプリングフィールドの姿、彼女はそのまま言葉を続ける

 

「貴女は狩りを一人で行うようですが、私達が行うのは集団の狩りです、貴女から見れば弱くとも数と策があればこの通り。蟻だって数さえ揃えば象を倒せるらしいですよ?」

 

「それ、私らが蟻って事にゃ?おいこっち見るにゃ、更に言えばそれ噂レベルにゃ」

 

IDWのツッコミにそっと目を逸らし若干顔が赤いスプリングフィールド、最後の最後で締まらないのがこの部隊かも知れない




静電気発生装置(少なくとも戦術人形の機能を一撃でダウンさせる威力)

システム上は回避100%にならないけど実際のスキル増々IDWって多分、発動中の視点ってバレットタイム状態だと思う今日このごろ

RF部隊の本気と言うかIDWの本気と言うか、まぁこの部隊だとこういう待ちと囮の戦いかなって、PPK?ほら、夜戦時は視界必要だから……

蟻と象の話はネットで見た程度、軍隊アリなら行けるかもレベルだった記憶しかない……違ったかなぁ

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