それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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UMP45、この基地の彼女もミステリアス……


隠し事の一つや二つ

一切の震えなく瓶の中に入っていくピンセット、その先端には形作られた小さな木材のパーツが、それはゆっくりとだが手早く目的の場所まで運ばれ、そっと置かれる。

 

だがまだ終わりではない、今度は作品にピンセットをぶつけないように慎重に、本当に慎重に退いていき外に出てきた時にふぅと彼女は息を吐き、そのタイミングで側でそれを眺めていたUMP45が製作者の彼女、416に

 

「よくまぁ、作るよねぇ」

 

「結構楽しいわよ……よし、コレで完成ね」

 

言葉にせずとも完璧ねと聞こえそうな声にUMP45はその完成した作品を見てみる、それは昔存在したと言われる豪華客船、氷山にぶつかり沈没したと言われるそれ、凝り性たる416があれこれ資料をかき集め詳細な設計図を元に材料から作られたそれはもはや芸術の一種であり、だが同時に

 

(やりすぎって言葉知ってるかな……)

 

見れば船の窓の部分に船内に人がいるように演出したのか影があったり、極小ミニチュアの船員の人形があったりとなんで此処までやったのと聞きたくなるような作品となっていてこれにはUMP45も軽く引き笑いをしたくなるほどだった。

 

だがまぁ態々相手を、しかもこの基地の同僚を怒らす必要もないのでと思い直してから

 

「此処まで凝り性が極まるとある種の尊敬の念を隠せないわね……」

 

「褒め言葉として受け取っておくわ、どう貴女もやってみる?」

 

「いいや、私は遠慮しようかな、じゃあねぇ」

 

面白いのにと言う416の声を背にUMP45は手をひらひらさせてその場を去る、正直言えば彼女はあまりそういうのは腰を据えてやろうとか考える人形ではないのだ。

 

別に物を作ることに否定的というわけではない、ただどっちかと言えばもう少し手軽に、あんなピンセットまで使って瓶の中に細々と材料をくっつけてというのをやるのは少しというのが本音であり持論である彼女は自室に戻り鍵を閉じて、クローゼットを開けて更に隠すように仕舞われている金庫にパスコードを打ち込み開ければお目当てのものが現れそれを取り出して自身の机の上に運んでからテキパキと道具一式を揃えてから

 

「よいしょっと、やっぱり作るならさこれだけ手軽の方が良いよねぇ」

 

彼女が取り出したのは所謂プラモデルと呼ばれるもの、今回のはドイツの戦車である【Ⅳ号戦車H型】そう、彼女は彼女で模型作りに目覚めた戦術人形の一人である、キッカケは416のボトルシップ、だが先程も言ったがあれは何というか細かすぎると言うか何故態々瓶の中にという疑問が拭えなかった彼女、だがある日の街の警邏で立ち寄ったお店でプラモデルが目に付いた。

 

別に初めから作ろうとかは考えてなかった、だがあの416が物を作るということにあそこまでのめり込んでいるのを見て少し気になった、なのでUMP9に隠れるようにそれを購入、そして作ってみたのだが

 

(意外と面白いのよね~)

 

という風に偶に作るくらいには気に入った模様、だが416のようにガッチガチに作ったりはしない、素組みと呼ばれるレベルのもので満足して適当な場所に飾ったりするくらいである、因みに飾ったものをUMP9とかに聞かれるがその時は買ったと言うだけで作ったとは言わない。

 

秘密にする理由は誰にも語らない、本人はそんな大それた理由じゃなくて恥ずかしいだけらしいが、そんなUMP45は箱を開け説明書を開いてそれを読みながら組み立てていく、それからはニッパーでパーツをランナー切り取る音と組み立てる音だけが自室を支配する、彼女はこの音が実は好きだったりする。

 

数時間、素組みなのでそれくらいもあればⅣ号戦車は完成して、とりあえず一通り眺めてから特に問題無さそうだなと判断、さて何処に飾ろうかと部屋を見渡して……一台のダイナゲートを見つけてしまった、はてコイツを部屋に飾っていたかなと首を傾げるUMP45

 

「……お前、何処から入ってきたのかな~?」

 

掴み上げてと聞いてみるもダイナゲート、恐らくは初期の警備用ダイナゲートはカメラアイをピコピコと点滅させるだけで答えてはくれない、だがダイナゲートをこの部屋に入れてこうやって飾ったという記憶はないのでと記憶媒体を確認するために首元からコードを引っ張り出して接続、読み取ってみれば写っていたのは

 

『よぉし、45姉が偶に鍵まで閉めて何やってるか気になるから此処で待機してるんだぞ~?』

 

「……えぇ」

 

いい笑顔のUMP9、どうやら下手人は彼女だったらしい、何やってるのよあの娘はと自身の妹の突拍子もない行動に呆れた所でハッとなりダイナゲートを見つめる。相変わらずカメラアイを光らしている、そう『光らせている』のだ、それはつまりこれが録画ではなくリアルタイムの配信、ということになれば

 

「み、見てた?」

 

繰り返すがこのダイナゲートは反応こそするが言葉は返してくれない、だがUMP45の電脳にはUMP9の『うん、楽しそうだったね!』という活発なあの声が響いた、無論幻聴なのだが響いたそれにダイナゲートをそっと置いてから、崩れ落ちて両手で顔を覆う、完全にしてやられたと

 

UMP9は見つかるまで織り込み済みでこの部屋のこの位置にダイナゲートを待機させていたのだ、作戦中の彼女であれば先ず嵌まらないような罠、だが此処は自身の基地であり完全に施錠した部屋の中、まさか事前にしかも人畜無害そうな妹がこんな事をしているとは思ってもいなかった。

 

「ああああああああ……」

 

思わず唸ってしまう、違うコレは偶々油断してただけだからと誰にしてるのかわからない言い訳を並べているとドンドンドン!!とコレまた勢いよくドアがノックというよりも叩かれて

 

「開けろ45姉、9だぞ!」

 

この妹、どうやら情け容赦なく追い打ちに来たらしい、流石私の妹ねとかヤケクソじみた評価を下しながら半ば諦めた感じな表情で扉の鍵を解除して開ければそこには予想通りとてもとてもいい笑顔のUMP9、それとなんか知らないが微笑みを浮かべている416の姿もそこにあった。

 

「え、え?なに、え?416も!?」

 

「気になってたのよ、私のボトルシップを見てから偶になるほどね~とか呟いてたのが、それで」

 

「私も45姉が鍵まで掛けてしてることが気になってたからダイナゲートを設置したの、おいで~、よしよしご褒美にオイル上げるね~」

 

二人の今回のことをした動機を聞いて、確かに自分もそんな事呟いてたし鍵まで閉めるのは逆に怪しまれるかもしれないと認めつつUMP45は静かに決意するのであった

 

(てめぇら、いつか、〆る)

 

彼女とて乙女であり、秘密を知られるのは良い思いをするということはないのであった




尚、G11は昼寝活動中にニコニコ笑顔でプラモの箱を部屋に持ち込むの目撃して知っていた模様

理由は特にない、何かこう浮かんだので45姉にそんな趣味を付属しただけです、はい
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