それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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嫌いじゃないけどやりすぎないようにね~


君のような勘のいい人形は……

【MDR】という戦術人形が居る、彼女は虚栄心と自己顕示欲が非常に強く、更には趣味のネットサーフィンではブログというブログを読み漁ったり掲示板を荒らしたりと中々に問題児な人形に入る。

 

それはP基地に来る彼女だって変わらない、この基地に配属になると聞いてから彼女は今日まで様々な噂や都市伝説のようなものを集め、それを信じて確信していた

 

(間違いない、この基地は色々口に出せないようなことをしているな!)

 

大当たりだった、だったのだが強いてあげるのならば彼女は『集めすぎた』確かに噂はあくまで噂であり真実ではない、だが幾つもの噂が重なり折り合えば何れは真実にたどり着いてしまうものに変容する可能性を秘めている。

 

彼女の場合は正にそれだった、なまじネットサーフィンが得意で情報収集してからの整理が上手かった彼女は触れなくても良い所まで触れてしまったのだ……そんな彼女は今

 

(し、死んだかなコレ……)

 

「ふむ、なるほどな、このようなサイトが世の中存在しておったとはな」

 

「一応自分たちでもこの手のサイトはちらっとは見てましたが酷く信憑性が薄いのでスルーしてました、がまさか噂という形で情報を売るとは……」

 

「何驚いてるんですか、情報屋の世界では割と常套手段ですよ」

 

ここは基地の未だ指揮官には知られていない密談室、此処最近では出番が地下の特殊戦略室に取られめっきりと減っていたこの部屋に副官、FMG-9、G17の三人が揃ってパソコンを眺め、そしてそれを青ざめカタカタ震えながら見つめるのはこの基地に配属になったMDR、彼女はこの基地に来て早々に副官に聞いてしまった、この基地って裏側真っ黒でしょ、と

 

どストレート過ぎるその言葉に最初は裏が黒くない基地なぞ早々ないじゃろうてと笑うも、次に出てきた言葉で事態は急変、それは

 

「知ってるぜぇ、此処の指揮官って身体を弄くられまくって『ハイエンドモデル』と同等のそれにされてるって」

 

「……何処でその話を聞いた」

 

刹那、副官からの、そして自身の周りの空気が全てが変わった。まるで身体中を針、いや、これはもう弾丸で射抜かれているような痛みを錯覚するほどの殺気にMDRはどうすることも出来ずに身体中から冷や汗を流し、顔を真っ青にしてガタガタと歯を鳴らし始める。

 

恐怖、それだけに思考を塗りつぶされた、言葉は出てこない、命乞いのそれすら。メンタルモデル全てが生を諦める、遂には決して手放すことのない自分で改造した携帯電話を取り落し、最後には呼吸すら思考は放棄しだし、視界が暗闇に落ち始め……

 

「そこまでじゃ」

 

「っ!!!???ヒュー、ヒュー、ごっほ、げは!?」

 

副官がただ一言そう告げただけで周りの殺気が、さっきまで確かに自分を襲っていたそれが霧散し、全ての思考が元通りに戻った彼女が先ず行ったのは呼吸、塞き止められていた物を取り戻すかのごとく深呼吸するが慌てすぎて咽る。

 

急に視界がぼやけ始める、泣いてるのだと気付くまでに時間はかからなかった、生きている、それだけで本気で泣いていると。

 

「本当に良いんですか、コイツ此処まで知ってるなら……」

 

「いや、コイツは白じゃ、だがカマかけという感じではなかったな、答えよ、何処で知った」

 

「ね、ねねね、ネットサーフィンし、してた時に、そういう噂を集めてるサイトが有って…」

 

「あ~、それグリフィンタレコミ掲示板とかそういうのでしょ、結構馬鹿にできないんですよねあそこ」

 

全く気付けなかった、と言うのがMDRの感想な登場の仕方をしたのはFMG-9とG17、因みに先程まで周りから殺気を飛ばしてたのはまだ隠れているウェルロッドとグローザだったりする。

 

兎も角、そういった話が出てくるのならばと四人は密談室へと向かい(MDRからすれば連行だが)冒頭に戻ることになる、今の彼女はこの部屋で死刑執行を待つ罪人のような気持ちしかない、今日まで楽しかったなとか、もし次があるならマトモに生きるんだとかメンタルモデルに異常が出始めた所で

 

「む、おい、平気かMDR」

 

「ヒッ!?あ、だだだ、大丈夫、で、です」

 

「……此処までビビられるとそれはそれで凹むのじゃが」

 

「いや、ビビるなって方が無理ですからね?」

 

やりすぎたかとボヤきつつ頭を掻いてから副官は声を掛けただけでガタガタ震え始めたMDRに出来るだけ優しい感じの声で

 

「安心せよ、お主をどうこうするつもりは無いのじゃ」

 

「へ?あ、だ、だってほら、私知らなくても良いこと知っちゃったんだぞ?」

 

「事故じゃろうて、それに奴がハイエンド化してるなぞこの基地では知れ渡っとるし指揮官も知ってる、問題だったのは外部からのお主がどうしてというところじゃが、どうだ?」

 

「ヒット、委員会に流したのこのIDの持ち主だな、後は発信源を探れば行きたりますよ」

 

「と言うことじゃ、今回に限ればお主のお陰でこの基地の情報を横流しにしてた阿呆を見つけることが出来た、礼を言う」

 

え?え?と事態を飲み込めていないMDRは周囲を見渡し、それから副官を再度見つめる、間違いなく消されると思ってた、それがそうじゃないどころかお礼まで言われどうすれば良いのかわからなくなっているのだ。

 

「それにじゃ、この基地に来た以上、それをどうこうしようとも思わぬ、よほどの悪人は来れぬしな」

 

「まぁあれですよ、今回のことは事故ってことで流しますって話です。ああ、でもそれはそれとして……」

 

やっぱり本題あるじゃんか!!!と叫びたかったが先程から口も言うことを聞いてはくれず声をマトモに出せない、それを知ってか知らぬかFMG-9は彼女の顔を見て

 

「せっかくです、そのネットサーフィンを活かせる部署に来ません?裏も表も情報を集めて時に広報記事を作る情報部って所でなんですけど」

 

「し、知ってるぞ、それ拒否権がないってことは」

 

「まさか、拒否られても何度も勧誘するだけです、貴女の能力は野ばなしにしておくには勿体ないですからなね~」

 

「素直に言いなよ、情報部は私と貴女含めて二人しか無いから人手足りないので来てくださいって、どう、MDR?」

 

首横に振れるわけ無いじゃん!?と言わんばかりに縦に何度も振るMDR、こうして彼女はこの基地の情報部に組み込まれたのだが、その後どうなったかと言えば

 

「お、指揮官丁度良かった、ちょいちょい」

 

「ん、なにMDRちゃん?」

 

「もうちょい、もうちょい、ホイ捕まえた、イエーイ!」

 

「い、イエーイ!」

 

『ウチの指揮官が一番かわいい、異論は絶対に認めない』そんなスレをグリフィンの掲示板を立てるほどにこの基地馴染んでいた模様、因みにそのスレは程なくして各基地の指揮官自慢の場所になった模様。




知らないという罪と知りすぎる罠ってそれBLADEで言われてるからなMDR?

彼女デザインもキャラもそれなりに好きなんだけどどう使ったもんかなぁってなってる。

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