それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ヴァルサー家では割と自由人


ステアーちゃんは手先が器用

ステアーTMP、またはステアー・ヴァルサーとも名乗っており、ファミリネームの通りヴァルサー一家の次女という立ち位置の彼女は元々は引っ込み思案であり指揮官の気を引きたいがためにわざと距離を離して見ていた時期があったくらいである。

 

そんな彼女、基本的に一日の過ごし方に決まりのようなものが存在しない、彼女はP7の様に基地の防衛と言うなのイタズラ地帯を作っているわけでもシャフトみたいに家事の手伝いをしていたりと言うわけでもなく気まぐれに散歩に出たり、その流れで警備の仕事を手伝ったり、日向ぼっこしていたりとかなり猫らしい生活をしている。

 

これだけ聞けば一家の中では割りかしニートではとか言われそうだが、無論きちんと仕事をしているときもある、それは

 

「どうかなステアーちゃん」

 

「これくらいなら、直ぐに直せます」

 

「ありがとー、いやぁ急にエアコンが止まっちゃってビックリしちゃったよ」

 

休憩室、そこで彼女は自分の仕事、主に機械類の修理とメンテナンスと言う仕事していた、元々はP38も行っていたことなのだが彼女は彼女で役割が増えてきたのでとその一部をステアーが担当するようになったというのが経緯である。

 

意外と、言うわけでもなく彼女の耳と尻尾は自分で神経モジュールとも物理的に接合して着けたものだと言えば彼女の機械技術の高さを知れることだろう。

 

ガチャガチャとエアコンを工具で弄り、故障箇所の部品を交換ないし修理してから元に戻してリモコンでスイッチを入れれば

 

「……よし」

 

「直った!本当に助かったよステアーちゃん、はいこれ、少し多く持ってきちゃって困ってたのよ」

 

とモシン・ナガンから差し出されたクッキーを受け取りコートに仕舞い込んでお礼を言ってから休憩室を出る、出てからコートの腰部分にあるポケットから大きさは手のひらサイズでかなり薄いタッチパネル式の端末を取り出して画面を上にスライドさせればその日の予定、もしくは突発的に発生した案件などが表示される。

 

その中から自分がやれそうなことを眺めていき、自分がやれそうなことを決めてから行動に移る、此処で突然だが彼女は確かに機械関連には滅法強いのだがその中でも群を抜いて得意なものがあったりする。

 

「何を、殴ったのコレ」

 

「にゃはは、ちょっと鉄血の鉄くずをぶん殴ったらさ、装甲兵だったんだよ~」

 

「装甲兵以前に先ずぶん殴るという発想を止めなよ……で、M4は、あ~こりゃ弾丸でも貰った?」

 

「イェーガーの一撃が、少し油断してました」

 

医務室の隣にある専用の治療室、此処では主に義手を着けている人形が修理と接続のために利用されることが多い、義手だったらラボでも良いのではと言われそうだがこの基地が始まった当初は技術屋という分野はなくラボを使ってまで何かが開発されるということもなかったため、義手の知識も多少なりと医療として持っていたPPSh-41が簡単な点検のためにと作られたのがこの部屋だからだ。

 

そんな部屋で専用治療台に座り義手の修理をしてもらっているのはM4A1とSOPMODⅡ、どうやら今回の作戦行動中の戦闘で壊れたらしい

 

「それにしても、ステアーが此処まで得意とは知りませんでした」

 

「始めたのは、最近です。でも一番得意、この耳と尻尾も自分で着けましたし」

 

M4の掛け値なしの称賛を聞きながら特に恥ずかしがる様子もなく彼女の義手を修理していくステアー、これが彼女の一番得意な分野であり、事こういった修理とかに限ればアーキテクトも唸るほどの腕前を見せてくれる。

 

「へ、そうだったの?ステちゃん結構器用なことするね~……ねぇ、この義手になにか仕組んじゃ駄目かな」

 

「カッコいいのが良い!!」

 

いや、駄目ですからとM4の静止が入るもSOPとアーキテクトはえ~と抗議の声を上げる、がどちらにせよ彼女たちは厳密に言えばこの基地の所属ではないので勝手に改造は出来ないというのが現実である。

 

因みにだがM4の義手は実は日常生活用、戦闘用、業務用と行った感じに数種類に分かれている、今回のは当然ながら戦闘用のが破損したのだがこの際だからと業務用と日常生活用も点検してもらっていたりする、ステアーとしてもIOPのエリート人形の義手を見れるのは割と楽しかったりするので増えても特に何とも思っていない。

 

それから数時間後、全ての義手の点検及び修理が終わり接続も終わり今は各自具合を見ている。

 

「どうですか?」

 

「はい、問題ありません。ありがとうございますステアー」

 

「こっちも問題なーし、完璧に元通りだね!」

 

「当然、このアーキテクトさんが完璧に仕上げないわけないのだよ!」

 

「なら、義手と神経モジュールが繋がる瞬間の痛みどうにか出来ませんか……あれ、地味に辛いのですけど」

 

M4の言葉に目を背けるアーキテクト、流石の彼女とてそればかりはどうすることも出来ない、それは分かっているのでM4は良いですけどねと呟いてから、そう言えば前々から聞こうと思ってたなと言うことをステアーに聞いてみることにした。

 

「そう言えば、ステアーは何故指揮官をお母さんと?」

 

「確かに私も少し気になるかも」

 

突然そんな話題を振られ少し驚きながらも、彼女はゆっくりと語ってくれた。彼女は最初はP7、ルピナスが羨ましかっただけだったと、だけど何度も指揮官と接している内に彼女の暖かい物が心地よくなり、それをいつまでも甘受したくなり、そうして気付けば

 

「……おかあさんってこうなのかなって思って、最初は建前だけの言葉だったけど、心からそう呼びたくなって、呼んでます」

 

「おぉ、やはりユノっちは人形たちを惹き付ける何かがあるんだねぇ、いや、もちろん私もその一人だけど」

 

「確かに、魅力というべきかは分かりませんが惹き付けるものがあるのは確かですね、私達AR小隊もだからこうしてこの基地で過ごしているわけですから」

 

「居心地が良いよねぇ、あ、でも一度鉄血の奴らの目玉持ち帰って騒動になったっけ、あの時は悪い事したなって反省してます……」

 

懐かしい話が出てきてM4はそんな事もあったなと思いつつ、鋭い目つきでSOPを睨むステアーをさてどう説得しましょうかと、あまり口には出さないし、ルピナスとかに比べると積極的に指揮官にじゃれ付くという感じの少女ではないが娘組に例外はなく彼女だって指揮官のことは大好きであり、何かあれば真っ先に慌てるお母さん思いの優しい少女である。

 

ステアーTMP、機械いじりが得意なヴァルサー家の次女、今日も彼女は基地を好きに散策して機械を直してはそれを夕食時に夫婦に楽しげに、そして自慢気に話すのであった。




ステアーちゃんの耳と尻尾は自分で着けたってウィキで読んで驚いた系作者

暑さでネタが浮かばない今日このごろ、こうなったら幾つかのストックを前倒しで出すしかないのでは……?

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