それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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バッドエンドはノーサンキューだよ!


繋いだ手が見せた奇跡

どうやらドリーマー本人は出てきてないようなのだがそれを差し引いても本気で街を数ですり潰す気だったらしい、それをスペクターは戦いながら感じる。

 

特に瑞著なのは装甲タイプの人形とブルートの数、他も確かに多いのだがこの二種は特に多く感じた、この二体ならば街中での戦闘となればあの人形たちもユノと市民を守りながらとなれば少なからず、いやもしかしたら多大な被害を出してたかも知れない。

 

「しゃらくせぇ!!」

 

だがスペクターには関係ない、装甲兵にはM134の弾幕で食い破りブルートは飛行ユニットを再生成し発射口を展開しそこから小型のマルチミサイルを掃射、更には左手にもう一門のM134を生成し人間では到底出来ない振り回しで周りごと薙ぎ払っていく。

 

これだけ見れば、スペクターがこのまま逆に殲滅しそうな勢いがあるが、実際は違う、確かに理不尽な個が群をすり潰すということはありえないことではないがそれはその個が異常なまでの存在か余程の状況と運がある場合である。

 

(グッアッ、クソがまだ耐えろよアタシ!!)

 

《やるわねぇ、であとどのくらいかしら?最後にナノマシンを打ったのは確か二日前、今日で再度打つ日だったわよねぇ?》

 

「るっせぇ、デク共掃除するくらいにはッ!?」

 

《強がるわねぇ、おかわりはまだまだあるのよ~》

 

一瞬だけスラスターの生成が遅れ被弾、すぐに体制を整えて回避行動をするがそこ途中で両手のM134を破棄、M249に変えて弾幕を張り続けるがやはり先程までの動きのキレがない、スラスターの反応もそして生成までの時間も何処か悪くなりつつありそれに気付いたスペクターが舌打ちをする、もし彼女が万全であればこの群を潰せたかも知れない、だが今の彼女はドリーマーが遠回しに言ったように余裕が既にない、故に段々と追い込まれ始めている。

 

彼女、スペクターは確かにコーラップス技術と逆コーラップス技術で自在に兵装を生成、もしくは飛行ユニットの様に生やすことも出来るのだがそれらを可能としているのはユノにも投与されていたエアハルテンの維持という特性のおかげである、それがなければ生成した側から彼女の身体は崩壊が始まってしまっている。

 

《あらあら、被弾が増えてきたわよ~、それに生成までのラグも増えてきた、限界ってやつよねコレ?》

 

生成の際にはエアハルテンが使われるのだが使い切りではないとは言え生成を何度も行えば体内のエアハルテンは無くなっていく、そうなればもう生成ができない、しかも先程まで二丁のM134と飛行ユニットからの小型のマルチミサイルを乱射ないし掃射してたので唯でさえ残り少なかった残量がいよいよ危険域まで来てしまっているのだ。

 

はっきり言ってしまえば、ドリーマーの言う通り限界が近い、このまま戦い続けても殲滅するよりも早く彼女が戦えなくなる方が早いだろう、だがそれでいいとスペクターは笑いながら

 

「そう煽ってくる割には、余裕ねぇ声してんなそっちも!いや、当然ねぇよな、これだけの数揃えるのにも時間がかかるってのに此処まで鈍亀進軍、挙げ句目的を果たす前に壊滅たぁ、さしものお前も頭がいてぇ話になってるもんよなぁ!?」

 

一度大きく距離を取るためにスラスターを稼働、仕切り直しだとばかりに開戦前と同じ様に軍団の先頭に着地する、スペクターの言葉通り敵の数はかなり減っていた、それでも多いがこれだけでも、更に此処まで派手に戦闘したとなれば嫌でも他の基地に知られ対策を、そして防衛網を引かれるはず、そう考えれば鉄血ドリーマーの作戦は既に瓦解していたと言っても過言ではない。

 

「おう、どうしたダンマリか?ケッ、どうだよ利用するだけ捨てようとした奴に思いっきり噛まれた気分はよぉ?」

 

《薄汚い野良犬が、誰のお陰で今日まで生きていけたと思ってんだ、ああ!?》

 

「知らねぇよ、少なくてもテメェのお陰じゃねぇのは確かだなぁ!」

 

《クソガッ、まぁ良いわ、お前だけでも殺して上げる》

 

そこでドリーマーとの通信が切れたことが分かったスペクターはいよいよ此処までかと悟る、だが最後まで、動けるまで戦うんだと弱りだした心を、そしてガタが来始めている体に活を入れ前を向く、あの鉄血ドリーマーが自身が立てた計画を崩して自分だけを殺すために動き出したそいつらを見て、笑い

 

「ヘヘ、来やがってんだ。もうどうせアタシには何も残っちゃいねぇ、だから残弾全部持ってけ!!!!!」

 

……あれからどれくらい経っただろうか、自身の血なのか、それとも鉄血人形ユニットの人工血液なのか分からない程に血塗れになり、それでも倒れずにだがもう動くことが出来無さそうなほどにふらついているスペクターが居た。

 

勝ったのかと思いそうだがそうではない、彼女の周りにはまだ敵は残っている、数は確かにパッと見た感じで15あるか無いか、だが彼女にはそれらを倒すすべが既にない。

 

(駄目、か。もうナノマシンがねぇ……それに身体も、保たねぇなコレ)

 

物は試しと一番手軽なM9を生成しようとした時、内部から激痛が走り中断させられる、コレ以上の生成は身体が崩壊するだけだと体内に掛けられているセーフティが発動した証拠。

 

見れば飛行ユニットも影も形もなくなっており、この場からの脱出すら不可能だということも判断できる、それを理解した時、遂に足に力が入らなくなり膝から崩れ落ちる、絶望的な状況、しかし彼女の顔は後悔も何もなかった。

 

(ここまで、か……ヘヘッ、此処まで減らしたんだあの能天気バカの基地だけでも対処できんだろ)

 

ドチャリと体全体に力が入らなくなり血溜まりに倒れる、空は快晴だった。今まで自分に眼には曇り空しか無かった空が雲ひとつ無く憎たらし程の青空を彼女の眼に見せていた。

 

周りの鉄血人形が迫ってくる音が耳に届く、終わりを悟る、だけど

 

(手、繋げばよかったかなぁ、そしたらもっとあったけぇもの、感じれたのかな)

 

今更そんな後悔をと自嘲気味に笑う、どうせあの時に弾いた時点でどうしようもねぇんだと空を見つめる、足音が近づく、そして……『リッパー』の頭が吹き飛んだ。

 

何が起きたのかと思う間もなく聞こえたのはヘリのローターの音、その間にも鉄血人形はスペクターとは反対方向に銃撃を始めるが反撃で残りも沈められ全滅、数人の慌ただしい足音が聞こえたと思えば彼女の視界に現れたのは

 

「大丈夫!?うわわ、コレ全部彼女の?!」

 

「I'm still alive, I'll carry it fast!」

 

「担架持ってきたぞ、早く乗せるぞ!」

 

「デストロイヤー、脚を持って!!」

 

「了解よ!」

 

6人の人形たち、彼女らは周囲を警戒しながらスペクターを担架に乗せヘリへと運ぶ、機内ではPPSh-41が既に準備をしており、ダミーを使っての手術が行いながら

 

「こちらP基地PPSh-41、D08基地のドリーマー、聞こえてますか」

 

《その様子だと間に合ったようね、直ぐに来なさい準備は済ませてあるわ》

 

「感謝します、ルガー、飛ばして!!もう大丈夫です、貴女は助かります、助けてみせます」

 

唯でさえ血を流しすぎて思考が回らないというのにコロコロ状況が変わり更に混乱するスペクター、そんな彼女だったが一人の人形、助けに入ってきたUMP45、否、彼女は自由の小隊の隊長

 

「うん、よく頑張ったよ。貴女はコレで自由になれたから……こちら『F小隊』スペクターを保護、これより搬送します」

 

ただ一つ彼女が分かったのは、あの底無し能天気バカの繋がりが自分を救ったということだろう。




繋いだ手は一つじゃない、だからこそこんな方法だって良いじゃない。

今日で終わってないやん!!!どうしてくれんのこれ!?(自虐)

スペクターちゃんの治療後のスリーサイズ考えてたけど、どうあがいてもキネクリさんになったからまぁ諦めてねスペクターちゃん
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